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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
参頁:駆け出し魔法士の目覚め

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78.駆け出し魔法士、魔封ゲートに阻まれる 


 未知なる魔物セイレーンを封じ、俺たちはようやく先の道へ進む。


 俺は状態異常を消去する魔物のスキルをコピーすることが出来た。コピーが出来たのは敵が仕向けてきたからだが、これのおかげで助かったというのは何とも皮肉な話だ。


 レシス以外のリウやレッテ、ルールイたちの動きを封じて来たのは盲点だったが、これからは彼女たちにも事前に防御魔法をかけなければならない。


 それが分かっただけでも良かったということになる。しかし現時点では、仲間にかけられそうな防御魔法をコピー出来てない。ラーウス魔所という所でコピー出来ればいいが……。


「はぅぅ……申し訳ございません、ヌシさまだけで戦わせてしまうなんて~」

「今回は仕方が無いよ。レッテは咆哮で賊を止めてくれたんだからそこは褒めたい所だよ」

「褒めてくれてもいいんですよー?」

「こ、今回はこれくらいで……」

「きゃうん! ハァハァ……い、頂きましたー!」


 狼族の毛触り……。変態賢者の気持ちが何となく分かってしまった。

 この気持ちはずっと隠し通さなければ。


「ふにぁ~……リウも何も出来なかったにぁ」

「リウは賊を見張ってくれたからね。言うことないよ」

「にぅ! エンジさま、リウはもっともっと頑張るのにぁ!」

「うん、よろしく頼むよ!」

「あい!」


 残るはルールイか。彼女のことだからとんでもないご褒美を要求して来るのではと結構心配していたが、珍しくレシスと何かを話し込んでいる。


 とにかく今は、魅惑のラーウス魔所に向かおう。




 ラーウス魔所への道のりは騎士クライスから事前に聞いていた。おかげで迷うことなく獣道を進み、それらしき建造物を肉眼で確認。


「エンジさま、何か見えて来たにぁ! アレがそうなのかにぁ?」


 真っ先に気づいたのはリウで、そこに向かって指を差している。


「リウ、見て来ますにぁ!」

「待って、その前に……」

「にぁ?」

「レシスとルールイたちに近付いてもらおうかな」


 行動力のあるリウならどこでも任せられるが……。


「わ、わたしもですか?」

「それがアルジさまの望みでしたら、喜んで行かせて頂きますわ」


 リウは俺と同様に、広範囲のサーチスキルを持っている。

 これまでは彼女だけを向かわせることが多かった。


 セイレーンとの戦いで学んだことは未知の敵からの油断だ。彼女たちの力に信頼を置いているからこそ、これからは慎重に進まなくてはならない。


 その為にも、行動力が危なっかしいレシスを先に行かせるのも必要なことだ。


「ヌシさま。レッテは行かなくていいのですー?」

「うん。キミはここで俺と待ってて欲しいんだ」

「レッテは嬉しいでーす!! いつもネコばかりお傍にいるのはどうかと思っていたのですー!」

「まぁ、見に行ってもらうだけだから、すぐなんだけどね……」


 そう思っていたのに――


「これかにぁ?」

「近くで見るととんでもなく大きい!! ルールイさん、空から入れそうです?」

「行ってみますわ! レシスさんは落ち着きのないネコを抱きかかえていて下さいます?」

「はいっ! もちろんです!!」


 ルールイに言われた通り、レシスがリウを抱きかかえる。


「リウ、暴れないにぁ」

「うん。リウちゃんはいい子って分かってるよ? でもここは、お姉さんたちに任せなさい!! ゲホッ」

「むー……リウ、子供じゃないにぁ」


 レシスに頼まれたルールイは建造物を飛び越え中へ入ろうと試みる。

 しかし阻まれて入れないようだ。


「これは……何かのゲート? 向こう側が見えているというのに、何てこと……」

「ルールイさーん!! どうですか~? あっちに行けますか~?」

「い、今戻りますわ」


 空を飛ぶことの出来るルールイでも飛び越えられなかったらしく、やむなく引き返し俺たちの所に戻って来た。


「あれ? 早かったね」

「わたくしの力不足ですわ……アルジさま、この償いを今すぐにでもして頂いて下さると……」


 俺が理由を聞くよりも先に、ルールイは全身をくねらせながら俺に何かをして欲しそうな表情を見せている。


「いや、怒ってないからね? 何があったのかな?」

「そうは行きませんわ! 是非ともこの場で! わたくしにお仕置きを!!」

「あ、後でするから、だから何があったのかだけでも……」

「残念ですわ。では、レシスさんからお聞きくださいませ」


 それならそうと言って欲しかったが単に何かをして欲しかっただけのようだ。


「コ、コホン……ではでは、ご説明しますね! あそこはどうやらですね~」

「うん」

「何とっ! 飛べないんですよー!」

「ん? 飛べないってのはルールイが?」

「そうなんですよ! ルールイさんでも飛べないんです。だからとっても難しいのではないかと思うのです!」


 レシスの答えに期待するのは危険だな。


「えーと、レシスはあの建造物が何に見えたのか聞いても?」

「えっ?」

「……ここからでも見えるのに、ルールイでも飛べないあの建造物は何かな?」


 事情を知るレシスの天然がここで発揮されるとは予想外だ。


「ルールイさんが飛び越えられないってことでしたので、そういうものだったんだなぁと……え? そういうことじゃなかったです?」

「エンジさま、あそこはきっとゲートに違いないですにぁ! 開けられそうな感じはしなかったですけどそんな感じに見えますにぁ」

「ゲートか。そう言われれば、見えなくもないかな。リウ、ありがとう!」

「はいにぁ!」


 何という模範的な答え。

 やはりリウは頼りになるんだよな。


「ほへぇ~……ゲートだったんですね」

「レシスが近付いても何も起きなかったんだよね?」

「わたし、上ばかり見ていて触れてもいなかったんですよ~。ふ、触れた方が良かったですか!?」

「……いや、どの道みんなで行くからいいんだけどね……は、はは……」


 俺が言葉足らずだったとはいえ、相変わらずレシスはどこか抜けている。

 今度は全員でゲートらしき前にたどり着くと、違和感にすぐ気づいた。


「ああ~! リウちゃんの言う通りですよ!! 確かにゲート……入り口みたいに見えます!」

「わたくしは最初からそうだと思っていましたけれど、アルジさまに伝えなかったのです?」

「ええっと~そのぅ……」

「全く、何のために話し合いをしたというのかしらね……」


 やはり意思疎通が出来ていなかったのか。それはともかく、眼前に見えるゲートから何かを感じる。


「エンジさま? どうかしましたかにぁ?」

「ああ、うん。とにかくゲートみたいだし、開けてみないとね」

「にぅ」


 変な感じがしたが、特に気にすることなくゲートに手を触れようとした。

 すると、


「――う? い、痛っ……!? な、何だこれ?」

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