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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
参頁:駆け出し魔法士の目覚め

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76.駆け出し魔法士、未知なる召喚魔物に遭遇する 前編


 ラーウス魔所を目指した矢先、出鼻を挫かれるようにして賊の不意打ちを喰らってしまう。

 浴びた魔法はダメージ要素の無い拘束魔法でとても弱いものだ。


 コピーイメージすら浮かばない魔法だったとはいえ、彼女たちの怒りは凄まじいものがあった。

 それにより賊らしき連中は、惑わされながら地面に寝転がされていた。


「……う……っ」

「い、痛ぇ……うぐぅ……くそ」


 寝転がっているのは4、5人。

 その内の2人だけが先に目を覚ましたようだ。


「エンジさま、気を付けてにぁ」

「うん。でも心配いらないよ」

「ふんふん」


 眠りから覚めない男の腕に触れ、《イグザミン》で相手の状態(パラメーター)を探る。

 すると、やはり単なる賊であることが分かった。

 意識を取り戻すのが早い男たちだけが、多少の魔法を使えるといったところだ。


「……それで、俺たちを狙った理由を聞こうか?」

「知らねーな」

「けっ……誰が――あっあぁぁ……」


 脅すつもりもなく話を聞こうとしているだけだったのに、妙に怯えている。

 どうしてなのかふと横目で見てみると、リウとレッテが全身の毛を逆立たせながら唸り声を上げている。


「お、俺らは言われた通りにしただけだっ! 魔法士の男だけを足止めする……それだけのことだ!!」

「足止め……? 俺を? それにしたって、お粗末な拘束魔法じゃないか」

「へ、へへ……成功したみてぇだ」

「……何?」


 話を聞く限りレッテが咆哮を上げる程の相手では無かった。

 だが何かの狙いがあって俺の注意を引きつけたらしい。


「エンジさま、シェラはどこにぁ?」

「あぁ、レシスなら後から追い付いて……リウ?」

「フゥゥゥー!! 何かが近付いて来る!」

「ん?」

「ヌシさま、ネコの言う通り何か来るです……」


 異常に気付いたのはリウとレッテ。ルールイには賊連中を見張ってもらうとして、今さらかもしれないけどサーチを始めようとすると。


「あ、あぁぁ……アルジさま……ふ、封じられていますわ! わたくしのスキルが――!?」

「ルールイ!? キミまでが一体どうし――」


 俺自身は何も状態異常を感じていない。

 だがルールイは何かの妨害を受けているのか、耳を押さえながら苦しそうな表情を浮かべている。


 リウとレッテは耳を尖らしたまま、俺の後方付近をずっと睨んだままだ。後方といえば、もうすぐレシスが息を切らせて追い付いて来る獣道のはず。


 まさか――?


「エ、エンジさんん……ご、ごめんなさい、うぅっ……」


 レシスの声?

 リウとレッテは変わらず、レシスがいる辺りを睨んでいる。


「レシス、どうしたの? 何でそこに突っ立って……うっ?」


 ぼんやりとしか見えていないがレシスの背後に何かがいることに気付く。

 ――と同時に、その辺りを睨み続けていたリウとレッテが急に耳を押さえて苦しみだす。


「ぎにぁぁぁ!? み、耳が、音が痛いにぁぁぁ!!」

「ガゥゥ……ヌ、ヌシさま、お、音が……ぐ、うぅぅ」

「ふ、二人とも何が起きてる? 俺には何も聞こえてこないのに……」


 賊の一人は苦し紛れには見えない不敵な笑みを浮かべている。彼女たちが苦しみ、レシスも動きを封じられているという時点で、敵であるということだけはっきり分かった。


 恐らくこの攻撃は、何らかの封じ攻撃を目に見えない念じで与えて来ている。俺だけが全く効いていないが、対象を彼女たちだけに絞っているようだ。


「……マホウシ――災いをもたらす古代種……」


 声が出せないレシスの隣に姿を見せたのは、鳥のように広げた羽根と魚の鱗を全身に纏わせた外見の女で、口を大きく開いて何らかの音を出しているようにも見える。


 魔物……か?

 姿こそ異なるものの、ミーゴナの海上で遭遇したハーピーに似た魔物のように感じる。

 リウたちが苦しんでいるのは、歌に似た異音がずっと発せられているからに違いない。


「……エ、ンジさん……しょ、召喚」

「レシス? 召喚って、その魔物が?」

「……う、うぅ」


 召喚された魔物ということは、近くに術者がいるのかあるいは。

 ザーリンがいれば……と、ついつい弱気になりそうになるが、仮に召喚された魔物だとすればコピーすることで解決出来るはず。


 とはいえ、魔物を操っている本体を見つけなければどうしようもない。

 それにしても不明すぎる。

 どうしてレシスやリウたちを苦しめている魔法を向けて来ないのか。


 賊の連中が何かを知っていそうだが、こっちから魔法攻撃を仕掛けてみるしかなさそうだな。


「俺の言葉が通じるか分からないが、攻撃を受けてもらう」

「災い……」


【アブソリュート・ゼロ 対象 羽根のある魔物 追加効果にホールド】


 氷魔法に加えてホールド魔法で動きを封じられるかで、状況が変わる。

 魔物のすぐ近くにレシスがいるが、彼女には絶対防御があるし気にせずに魔法を放つ。


 鋭利な氷の塊が氷雪を吹かせながら魔物に向かっていく。


『ディスペル・エンド……古代種……災い、消去、消去……』


 な、何だっ!? 魔法が消された?

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