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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
参頁:駆け出し魔法士の目覚め

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68.見習い書記魔法士、建国する


 ギルドを追放された頃はこんな能力を得られるなんて、考えられなかった。


 冒険者になることを選ばず、書記で暮らして行ければいい……それだけを思う日々だった。

 それが今や多くの味方を得られて、自分の国を造るまでになれた。


「エンジさま~聞こえているのかにぁ?」

「リウのおかげかな」

「にぁ? ふにぁ~なでなでされるの好き~」


 山奥の洞窟に逃げ込み、そこにいたネコ族のリウに声をかけられなければ、ここまでにはならなかった。


 もちろんまだまだ未熟な魔法を極めないと、先のことは何も思いつかない。


 勇者ラフナンの件はひとまず終わった。

 山奥の国にしつこく来ることは無くなったかもしれないが、あんな邪心を持った奴がまだ見ぬ国に潜んでいるとすれば、広い世界をもっと知らなければ駄目だろう。


「ふにぅふにぅ~」

「ズルい! ネコばかり可愛がって、ヌシさまは狼族の愛を軽んじている!」

「ふんふんふん~」

「ヌシさまぁ、レッテも一緒にお連れください~」

「か、考えてみるよ」

「んんっ! エンジよ、獣を可愛がるのは咎めないが、お前はログナにいるのだぞ? そしてここに集っている者たちに、何かを知らせるつもりなのではないか?」

「す、すみません」


 よりにもよって獣を愛しすぎている賢者に言われてしまうなんて、不覚すぎる。


「あれ? ザーリンは?」

「む? あぁ、彼女ならここには来ないぞ。妖精は人間と交わることを好まないと聞く。それはエンジが良く知っていることだろう?」

「そ、そうでした……」


 まずはログナに宣言をして、それからだ。


『今日より先、ここログナは山奥より興った国フェルゼンに属し、ログナ・フェルゼンとなる。フェルゼンに属する人民街区として、守護するものとする!』


 アルクスは元々砦に付けた魔法名だった。

 そのままでも悪くなかったが、強固な岩に守られている場所でもあるので、”フェルゼン”として認めさせることにした。


「ログナは国ではなく都市?」

「属国と聞いていたのに、一つの国では無くなるというのか」

「生活は? 学院はどうなるというの?」


 ――などなど、ざわつくのは当然かもしれない。

 

 一つの国であることには違いが無く、中心地であることに変わりはないので、そこは時間で解決するはず。

 

「なるほど……山奥には獣が多く、ドールもいる。ログナには学院があり、人間の方が多いからな。国を二つとすると面倒事も増えるはずだ。ログナ人民街区とすれば、山奥の中心に出向く者は少なかろう」

「元より山奥には、森や畑くらいしかありませんから。友好な町の人々が訪れに来るとしたら、ログナを入り口とした方がいいと思っただけですよ。獣たちもそれでいいはず」

「ふむ、そうだな。獣は何としてでも守らねばな」


 獣好きな賢者はすぐに納得して、うんうんと一人で頷いている。


「ご主人の言われたことは正しいのじゃ! ルオは森と山を守る住み方が合っているのじゃ」

「ルオがいるというだけでも心強いよ。フェルゼンの守り狼としてよろしく頼むよ」

「任せてもらうのじゃ!」


 ログナにはギルドがあるし、外からの冒険者だって多く来る。

 そうなると砦に多く集まっている獣たちの所にも行く可能性があるだろうし、国の中で分けるべきだろう。


「あ、あの~わたしもここにいていいのでしょうか?」

「レシスならもちろん、歓迎だよ」

「そ、それはっ! もしかしてエンジさんの!」

「いや、えーとね……とにかく、おかえり!」

「は、はいっ! ラフナンさんもいつかは戻れたらいいですよね」

「時間はかかるだろうけど、いずれはね」


 俺をギルドから追放した主犯格は、間違いなく勇者ラフナンだ。


 魔法兵に接触した辺りから、あるいは属性石と古代書に影響を受けた頃から、勇者は弱く純粋な心を何かに支配されていた。


 追放した時にはすでに古代書に触れていたし、何らかの害が及んでいたのかもしれない。


「エンジさま、砦に戻るのにぁ?」

「そうだね。しばらく戻っていなかったし、国にした以上はさらに固めないと」

「一緒に歩いて行くのにぁ」

「あぁ、そうだ。レッテはアースキンと一緒に、ログナを見回ってくれないかな?」

「えええー? ヌシさまじゃなくて変態賢者とですか~?」

「頼むよ。狼族はルナリア王国で人と共存していただろうし、ログナでもそうしてもらいたいからね」

「うぅぅ~ヌシさまがそう言うなら~」


 育成中の学院生を含めても、ログナにいる冒険者は他国に比べても、戦う強さはアテに出来ない。


 魔法で何とかなっているとはいえ、騎士が守るミーゴナのように、戦って守れるような人間をログナに置かなければ、世界を見て回るのは困難に近いはず。


 いつも賢者に頼るばかりでは、成り立っていかないのは目に見えている。


 とにかくまずは、しばらく帰ることのなかった山奥の砦、フェルゼンへ戻ろう。


 戻って、自分の国をきちんとしていかなければ――

駆け出し魔法士のあとがき魔法帳(魔法編①)


 パラリシス 麻痺効果がある。植物からコピーし、魔法とした。


 ソムヌス  睡眠効果があり、徐々に体力を回復させる効果もある。


 プワゾン  毒、腐食の魔法。清浄な水を腐らせ、涸らすことも出来る。


 スピンテール エンジが初めて覚えた火の魔法。ただし火花程度の威力しかない。


 ストームシリーズ 炎、氷、風の範囲魔法を使うことが出来る。しかし元々は賢者の魔法でもあったので、レベルは低い。エンジが強化する可能性は低い。

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