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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
弐頁:属性との出会い

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50.書記、絶対防御をフェアリーに奪われる


「エンジさま、エンジさま~! 壁一面にピカピカがくっついているにぁ」

「本当だね。でも迂闊に触っちゃ駄目だよ」

「にぁっ!?」

「――あっ……」


 よくあるトラップに引っかかってはいけなかったのに……。

 輝く宝石に興奮していたリウは、壁に埋め込まれている宝石に触れてしまった。


 すると、どういう原理かは不明だが宝石はそのまま壁の中へ。


「にぁにぁ!? 消えちゃったにぁ~……」


 何かが作動した音は聞こえなかった。幸いと見るべきだろうか。


「これだから獣は単純すぎるんですわ! アルジさまの注意も聞かずにすぐに行動するなど!」

「フゥーーー!! 何にも起こってないのに偉そうに言うにぁ!」

「何ですって!? ム、ムカつきますわね」


 出会った時は敵だったし、味方になったからといって急に仲良くはなれないよな。

 とにかく、


「二人ともいい加減に――」

「――フェンダー。アレらは気にしないでいい。早く進む」

「え、でも……」

「目的は石と魔法。ネコとコウモリは気にしないでいい」


 人工ダンジョンは暗闇の中を進むわけでは無く、都市の光が届いている。

 おそらく普段から利用されているものと思われるが……。


 それでも今のところ、他に人がいる気配は感じられない。もしかすると属性石加工の採掘場を兼ねたダンジョンになっているのかも。


 リウが触れたくなる気持ちが分かるくらいの宝石が壁の至る所に埋め込まれているし、城塞都市が守ろうとしているのも何となく分かる。


「フェンダー。ここ。ここの宝石に触れる」

「え、これ?」

「そう。光の宝石……エンジェルストーン」

「触れればいいだけ?」

「"絶対防御"を呟きながら触れればいい」


 ザーリンの言うことに疑いはないし、やってみるしかないかな。


「言葉に出すことが属性石を作るってことになるの?」

「…………」


 白く輝く石に向かって「絶対防御をエンジェルストーンにコピー……と」


「それでいい……それを渡す」

「あ、うん」

「フェンダーは属性石に絶対防御を移した。あなたはこれから絶対防御に頼ることが出来ない」

「へ? ザーリン、それってどういう――」


 ま、まさか……。


「あなたの魔法コピーによる成長は絶対防御によって遅くなった。この石にコピーしたスキルは、しばらく預かる。レシス・シェラのスキルを手にしていては、あなたは成長の見込みが無くなる」


 ザーリンの言うことに疑いを持ったことは無く、導く者として信じて来た。

 それがまさかこんなことになるなんて。


「で、でも、勇者が襲ってきたら?」

「魔法だけで守れる。守護獣を得ているし、リウがいる。あなたは魔法を使わなさすぎる……それでは強くならない」


 魔法とリウと守護神獣……それは分かるけど。

 でも、


「それはそうなんだけど、いきなりこんな……」

「あなたは贅沢な人間。既にあんな勇者ごときに怯える必要は無い強さを得ているのに、どうして本気にならないのか不思議」

「そりゃあ勇者をいなくさせるとかそれは出来るかもしれないけど、俺は懲らしめるだけで……」

「古代書はあなたの成長を望んでいる。シェラの力は相対しているから駄目」


 だからザーリンは人の姿に戻ったのか?

 これ以上何を言っても無駄だろうけど……。


 何とか気を取り直して先へ進もうとした時、一瞬の気の緩みと油断が不意を突く。


「うわっっーー!?」


 何もトラップなんて無いと思っていたのは俺の油断だった。宝石の埋め込みは発動の合図と思うしかなく、進もうとした足下には何も感触が無く俺はものの見事に落とし穴に落ちていた。


 スキルを失くした直後の落下だっただけに痛すぎるトラップだった。今までは痛みの無い状態にあったからこそ、何も気にすることなく行動出来ていた。


 しかしそれを失ったことで、再び痛みを感じる体となってしまった。


「うぅ……腰を打ったかな」

「エンジさま、痛いのかにぁ?」

「うん、手も擦り剥いたみたいだし腰を……って、リウ?」

「はいにぁ」

「い、いつの間に……」


 俺を真っ先に見つけ、顔を覗かせたのはリウだった。

 

「コウモリが飛び降りるよりも早いのがリウなのにぁ! えっへん!」

「そっか。ありがとう、リウ」

「ふみぅ」


 穴の大きさは人一人分くらいだ。

 とはいえ、ルールイがここに降りて来るのは厳しい。


「エンジさまは自己治癒力があるはずなのにぁ」

「そのはずなんだけど光魔法はもう……」


 自分を回復する魔法は確かコピーしてある。そのはずなのにその力が弱くなった気がしてならない。ザーリンに絶対防御を奪われたせいなのかも。


「奪っていない!」

「え、あれ? 君もいたのか」

「フェンダーの傍にいるのが役目。仕方ない、回復魔法を使うからすぐ覚えて」

「君は使えるんだね」


 手をかざしながらザーリンは詠唱を唱え始めた。


「……光の加護の下……その者を癒す――ルーメン・キュア」


【フェアリーの光 回復魔法A 固有魔法名なし 編集可能 成長により回復量増加】


 おぉ、これは……。


「す、すごい……痛みが無くなった! それに魔法があれ……?」

「覚えたなら自分で何とかする」

「あ、ありがとう」


 回復魔法を瞬時にコピーさせてくれた。

 もしかしたらザーリンなりのお詫びだったのかもしれない。


 彼女はフェアリーの姿のままで、とっとと穴の上まで上がって行ってしまった。上にはルールイが残っているはず。


「にぅ? エンジさま、治ったのにぁ?」

「うん、痛みが消えたよ」

「ふんふん?」


 確かめるようにリウは俺の体に鼻を擦り付けながら甘えて来た。


「にぅぅ~何ともないみたいにぁ!」

「ありがとね、リウ」

「ふにぁ」


 たまにはスキンシップをしないと駄目なのかもしれない。

 ということで、リウの耳をモフっとしてみた。


「にぁ~……エンジさまあったかいにぁ」

「そういえばリウは唯一共有出来るんだっけ?」

「ですにぁ! エンジさまのしもべですですにぁ」


【回復魔法 共有 ネコ族リウ】


「むむっ!?」

「リウ?」

「むふふふ……エンジさまをお助け出来るのも、リウの強さにぁりん!」


 どうやら彼女に伝わったみたいだ。絶対防御を失ったけど回復を代わりに覚えられたし、後は属性石を作ってアースキンのお土産にでも出来ればいいのかな。


 まずはダンジョンから抜け出さないと。



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