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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
弐頁:属性との出会い

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49.書記、ダンジョンに入ることを決める


 翼を持つルールイのおかげで、俺は崖上にそびえ立つ城塞都市近くの森に着地出来た。白狼のルオが力を解放したおかげもあり、今では行く先々で森を見つけたら寄ることにしている。


「アルジさま、何故森に?」

「俺は空は飛べないけど森から移動魔法が使えるんだよ。でも、初めての森の場合はそこに立ち入る必要があるんだ」

「そのような魔法が……。さすがアルジさま! 翼がある身としては羨ましい限りですわ」

「翼がある方が俺はいいって思うんだけど、大変なこともあるってことなのかな?」

「そのとおりですわ! 気持ちよく飛んでいても雨に降られたら乾きにくいし、雨宿りの場所を探す手間がありますわ。それに濡れますし……翼が濡れますのよ?」


 くねくねと体を捻らせながらルールイは翼が濡れることを猛アピールしている。

 どういう意味でのことだろうか。


 ともかく、城塞都市は空を飛んでいた時に見えた。リウが先回りしてくれたようで、手を振っていた所に近づく。


「こっちにぁ~」

「あれ? 街の入り口はすぐそこに見えるけど行かないの?」

「エンジさま、リウは入ろうとしたのにぁ。でもでも、人間がいっぱい通せんぼ!」

「気楽に入れない都市だったりするのかな」

「ピカピカが溢れてて綺麗だったにぁ~」


 賢者から聞いた話では、街へ行くのに必要なことは無いということだった。そうなると外から見た感じで判断するに、堅そうな守りの都市ということなのだろうか。


「どこから入ればいいのかな?」

「ふにぅ……」


 俺の言葉にリウは耳をへたらせていて落ち込んでいる。こういう時に限って、ザーリンは姿を見せないしルールイも無言だ。

 

 どうするべきか思っていると、突然のひらめきがあるのか、突然耳をピンと立たせたリウが俺に抱きついて嬉しそうに話し始めた。

 

「むふふふ……エンジさま。リウは見つけてしまったのですにぁ!」

「うん?」

「洞窟にぁ! きっとそこから侵入出来るに決まっているのにぅ」

「ダンジョンってことかな? もし属性石をそこから掘り出しているとしたら、そこから見つけ出すのも面白いかもしれないね」


 落ち込んだように見せといて実はすでに見つけていたってことかな。


「アルジさま、わたくしは反対ですわ!」

「ええ? ダンジョンに入ることにかい? でもコウモリ族って穴の中で生活していたよね?」

「そういう問題ではありませんわ!」


 穴の中とダンジョンは違うと言いたいのかな?


「人間が頑なに守っている洞窟。その意味とは、面倒なことが多いと取るのが普通ですわ。地図も無しに進むのはいくらアルジさまでも見過ごせませんわ!」


 コウモリ族は暗闇移動が得意だ。しかし人間や他の敵と遭遇するのは避けたいということか。 

 

「俺もリウもサーチに長けているから大丈夫。内部がどうなっているのかは確かに分からないけど、都市につながる洞窟だろうし、そこまで危険なことにならないとは思うよ」

「だから危険なのですわ! こうして外から訪れる者を拒んでいる都市が危険を仕掛けていないなんて、そんなのはあり得ないに決まっていますわ!!」


 案外心配してくれているってことかな。初めは俺のことを封じ込めようとしたルールイとはいえ、ダメージを与えるようなことはして来なかったし争いごとは好きじゃないのかも。


「今回のことは俺のわがままだから、何か起ころうとするのを防ぐし守ると約束するよ」

「そ、それならば付いて行きますわ。他に見知らぬコウモリ族がいたら説教をして差し上げますもの」

「そうだね、それはお願いするよ」

「し、仕方のないアルジさまですのね」


 リウは直感で動くタイプで、ルールイは慎重に動くタイプか。


 やり取りをしながらリウの案内に付いて行くと、城塞都市の裏に位置する外壁の一部に、入り口と(おぼ)しき窪みがあった。


 いくらサーチが使えても紛れたものを見つけるのは苦手だ。それだけに、リウがいてくれてよかったと思える。


「ここから入るんだと思いますにぁ」

「うん、そんな感じがするね」

「人工の洞窟にいい感じはしませんわ……」


 ルールイの言うとおり人が手を加えて出来た洞窟に見える。そうだとしても、都市に入る手段はここしかなさそうだし入るしかない。


 そう思っていたら、ザーリンが人の姿で現れた。


「フェンダーはここで沢山作る」

「何を作るのかは聞かないでおくけど……その姿になった意味はあるのかな?」

「作るのは属性石。人の姿になるのに理由が?」

「い、いや……」

「さっさと進む!」


 素直じゃない彼女が少女姿となって姿を見せたことに、ついつい疑問を持ってしまった。

 いずれにしても属性石を現地で作る――それで間違いないみたいだ。


 人工的なダンジョンといえば機巧ドールたちによって作り直されている山窟がそれに当たる。似た感じだと仮定すれば、ここにも常駐の者がいる可能性があるかもしれない。


「フェンダーはここでいくつかの魔法を石にする。そうしないと魔法の覚えが遅い。遅いのは駄目」

「そ、そうだね、頑張るよ」


 見知らぬ魔法を石からコピー出来る……こんな機会は早々無いし、都市の中に入ることが出来るなら、まずはダンジョンの奥深くまで進まないと。

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