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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
壱頁:コピー・アプレンティス

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34.書記、召喚魔法とクラスをコピーする


 ううーん……? 召喚の獣からではなくてどこからコピーが出来るんだ。そもそも魔法のコピーは受けたらイメージが浮かんでいたし、受けるだけでは……。


「エンジさん! どうして反撃しないで受け続けているんですか!?」


 レシスの必死な声がずっと響いて来る。だが反撃しようにも獣たち単体の技はそれぞれで異なるのでコピーのイメージが浮かんで来ない。


 召喚士たちに近づく……。しかし近付こうとすると召喚獣たちが召喚士の壁となる。ダメージは蓄積されないとはいえ、持久戦となると俺一人だけでは複数の召喚士を相手にするのはまだ厳しい。


「レシス!! 機巧ドールたちをここへ呼んでくれないか?」

「え? あのドールさんたちですか? わ、私では出来ないですよ。エンジさんなら、名を呼べばここに来るんじゃないでしょうか?」


 考えてみれば俺の心を見て名を与え遷って来た彼女たち。召喚とは異なるが、俺も名を呼んでここに集結してもらう。


「機巧のピエサ!! えーと、この場に与する召喚獣に対し、我が身を救え!」


 半ば命令のようになってしまった。これで合っているのだろうか。召喚士たちが次々と呼び出す異形の獣たちの名は、最初に受けたティアマトしか聞こえなかった。


 普通にコピー出来ている魔法。それとはコピーする難易度が違う可能性も否定出来ない。そう思っていたら、いつの間にか機巧ドールたちが立ちはだかる獣たちの正面で壁となっていた。


「古代アプレンティス、フェンダー……ティアマト、人間……詠唱――」


 魔法は詠唱するもの。今まではそれを受けることでコピーして来た。しかし召喚は召喚詠唱をしている本体、人間に触れてイメージをコピーする……。


 その理屈だと、使えないと言っていたレシスの固有スキルが有効となるが。

 確か"イグザミン"だっただろうか。


 レシスからコピーした絶対防御の他に必要となるスキルがあるとは。そう考えると勇者が彼女を仲間にしていたのも頷ける。もっともあの勇者はそこまで気付いていないだろう。


「ふぅ、君がいてくれて良かったよ、ありがとうレシス!」

「え? プロポーズですか!?」

「……違うからね」


 勘違いをしたレシスから離れ、側面から召喚士たちに近づく。本体たちは俺の姿と気配に気付いていないようだ。魔法や攻撃を受けるだけではなく、相手に触れて詠唱イメージをコピーするのは盲点だった。


 召喚魔法だけは特殊扱い……そういうことらしい。


「な、何っ!? い、いつの間にここに」

「――そういうことなので、あなたたちのその詠唱を貰います」


 召喚士たちは召喚した獣を俺に差し向け、本体は警戒を緩めていた。そのせいか俺が近付いたことに今気づいた感じだ。


 レシスに似た光の杖を装着。本体は手かざしと詠唱、その状態で異形の獣を呼び出していた。隙を突き、ティアマトを呼び出している召喚士に近づきざま、イグザミンを使用。


 そのまま詠唱する本体に触れてみた。


【召喚士:クラスC 専用召喚ティアマト 物理耐性E 魔法耐性C 精神力A 成長力C】


 なるほど、召喚士それぞれの専用召喚なのか。コピー出来たのは専用召喚と召喚士のクラス、精神力といったところ。


 ドラゴンを召喚出来るのかは、未だにイメージが浮かんで来ない。もしかすれば召喚士本体(オリジナル)のクラスが関係しているかもしれないがこれも俺の成長次第か。


「くっ、いい加減離れろっ! うあっ!? な、何だ……お前、その防御力は――!?」


 名も知らない召喚士の男は、触れていた俺を払いのけようと必死だ。だが見えない何かに弾き返されていた。恐らく絶対防御が常時発動しているおかげだ。


「……ここから離れますんで。それと勇者を信じて俺に攻撃をすればどうなるかは身をもって分かったはずです」


 脅すつもりも無ければ、召喚士たちを懲らしめるつもりも無かった。しかし案外素直に言葉をそのまま受け取ってくれた。どうやら大人しく引き上げてくれるみたいだ。


「……た、退却する!! 各々、獣の帰還を!」


 クラスこそ高くは無かった。だがティアマトを召喚した彼の声を受け、他の召喚士たちは詠唱中止。そのままこの場を離れて行った。


 事態に気付かず高みの見物をしている勇者。彼は獣好き賢者と共にルオのいる森に行ったようだ。


「アプレンティス、撤収でヨロシイ?」

「え、あ……そ、それでいいよ」

「ショウチ。ショウカンヲガクシュウ!」

「へ?」


 言葉も学習したのか、機巧ドールのピエサは言葉を話していた。


「フェンダーは、まだ見習い(アプレンティス)だから。マスターになるまでは、ドールたちを学習させる」

「あ、見習いって意味なんだ。そ、そうか」

「あなたがドラゴンを呼べなくてもドールたちが呼べるようになった。ここの守りはさらに強くなる」


 ドールたちのことは教えてくれるのか。


「それじゃあ、俺は召喚魔法のクラスを上げ――」

「正解」

「まぁ、ここが守られるならそうするしかないよね」

「編集可能になるにはクラスを上げる。編集して、獣から受けた攻撃を魔法に変えるべき」


 召喚魔法は機巧ドール向け、介するものということらしい。他にも特殊な覚え方があったりするかもしれないけど。


 まずは召喚士たちを撤退させた。あとは、しつこすぎる勇者を何とかしよう。

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