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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
捌頁:極めの帰結

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173.光の抵抗 後編


 闇の空間から見えているのは、レシスが怒りを露わにしながらサランに突っ込んで行く姿だ。勢いのある彼女に動揺を見せているが、レシスの突進は難なく避けるに違いない。


 むしろそれが狙いなのだが、果たしてレシスの突進をどうするつもりなのか。


「ああぁっ!? レシスが突っ込んで行くにぁ!!」

「あのおバカ!! アルジさまがあれほど口を酸っぱくしていたというのに!」

「…………レッテは気にしない。あの娘はレッテよりも堅い」


 リウとルールイは慌てた様子を見せているものの、レッテは目の前の人形を黙々と倒すつもりのようだ。

 サランは――


「フフフ……回復士の人間ごとき、相手をするまでも無い。そのまま異空間にでも突っ込むがいい……ククク、闇へとな」


「エンジさぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」


 気合いの入った声で叫びながら突っ込むレシスだったが、やはりサランは相手にするでもなく簡単にかわしてしまった。かわしたうえ、サランは俺を封じた暗闇空間にレシスを誘おうとしているようだ。


 リウたちから見れば何の変哲もない空間に対し、レシスは何も無いそこに向かって突っ込んで行く。


「ククク……人間の女を封じれば、ここに残るのは獣だけ。消すのは容易いものとなる……」


 どうやらレシスを暗闇空間に封じ終えれば、残ったリウたちを始末するつもりがあるようだ。そうさせるわけには行かないが、レシスは今どの辺りを駆けているのか。


 そう思っていると、周りの人たちが次々と何かに気付いている。


「魔法士様、何かひび割れのような音が聞こえませんか?」「聞こえます、聞こえてきます」といった感じで、ざわざわと騒ぎ出した。


 もしかするとこれは上手くいっているのか――


「いたーーーー!! エンジさん、探しましたよおおお!!!」

「レ、レシス! ど、どこから?」

「まっすぐ突進して来たら、壁に穴が開いちゃいまして~そこからです! あれれ? エンジさん。ここにいる人たちはどなたですか? 何だかすごい人数に見えますよ!?」

「……全く、予想以上の動きを見せてくれるね、君は」


 本人だけは全く気付いていないが、レシスの全身は眩い光を放ち続けている。この光によって、闇で覆われた空間が徐々に保てなくなりつつあるようだ。


 レシスが穴を開けたとされる空間と外との間に歪みが生じている。こうなるとサランが召喚した黒闇もすぐに存在ごと消えるはずだ。その前に住民たち全てを外に逃がす必要がある。


「ほえ?」


 首をかしげているレシスはとりあえずそのままにして、住民たちには事前の説明通りに動いてもらうことにした。もっともすでに属性石を投げ終わっている人たちは行動が素早く、外の空間へと急いでいる。

 

 かなりの人数がひしめき合っていたものの、外へと解放された住民たちはあっという間に脱出した。

 幸いにしてサランにはばれていないようで、素早く逃げ場所を確保したようだ。


「よし、レシス。君は俺と一緒に脱出だ。外に出たら、リウたちを回復してやってくれ!」

「ええ? ここはどうなるんですか?」

「ここは光の……レシスの抵抗を受けて崩れ去る」

「私の抵抗? 私はエンジさんになら素直に受け入れをですね~」


 詳しく話すとまた暴走しそうなので、有無を言わさずレシスを抱き抱えることにした。

 

「レシス、じっとしてるんだ!」

「と、とうとう!? エンジさんが私を連れて行ってくれるんですね!! 大人しくしますとも!」


 軽い彼女を抱えて、暗闇空間から外へと飛び出す。

 その直後――


 うめき声とともに、黒闇の飛竜がその姿を保てずに崩れ出していたのだ。


「――な、何!? お前は……魔法士!? バカな、どうやって――」

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