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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
捌頁:極めの帰結

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166.真の目的


「――ククク、さっきから呆気にとられたような顔を見せているな。そんなに意外か……?」


 目の前にいる魔法兵の女、サランとの最初の接触は湖上都市国タルブックだった。

 その時は、国を忠実に守る兵士としての役割があるからこその態度と動きだと思っていた。


 しかし、事は単純なものでは無かった。

 

「……何故そこまで執着するんだ? 俺とあんたとの間に、そうまでなる因縁は生じていないはず。国を想う魔法兵なら、そこに留まって――」

「国を想う? ククッ、オレにそんな国など無い! ここ、ゲレイド新国にしても同じだ」

「それなら何で俺を……お前の目的は何だ?」


 サランに初めて遭遇したのはタルブックだったが、思い返せば勇者だったラフナンのことから始まっている。彼をそそのかし、陰で操ってログナを転覆させようとしていた正体不明の黒幕だ。


 決め手は、寺院での油断による片腕の強奪。

 レシスたちを救うためだったとはいえ、簡単に信じてまんまと腕を持って行かれた。


 サランの狙いは間違いなく、宝石やアイテムといったものではない。

 代価として俺の片腕を奪った時点で考えられるのは、物ではなく人を明確に狙っている。


 だからラフナンの傍にいただろうし、途中までは操ってもいたと考えるのが正しい。


「オレの目的? 片腕を奪われたことで、とっくに気付いているとばかり思っていたが、勇者ほど賢くないようだな。ククク、勇者……今はただの男か。あの男は良く動いてくれた。だが()()では無かった」


 この口ぶりから察するに、やはり人そのものを狙っていたようだ。

 しかし――


「あれとはどういう意味なんだ? ラフナンには無く、俺にはあったということか?」

「ようやく、答えに近付いたか? クククククク……勇者も悪くは無かったが、圧倒する強さは備わっていなかった。人間の、たかが回復士の女にやられる程度の奴ではな」


 レシスの強さは絶対防御が備わりつつ、光の杖があったからこそ。

 しかし実際は、ラフナンを倒せるほどの強さじゃない。


 少なくともあの時点までは。


「――つまり、俺にこだわっているのも、勇者をも凌駕する力が備わっているからか?」

「ククク、嬉しいか? 勇者を失わせ、従わせ……追放された国を乗っ取った気分はどうなんだ? なぁ、魔法士……」

「お前の狙いは俺を操って、世界支配……そういうことだな?」

「フフフフ、確かに操り人形とするのも面白いこと。しかし、必要なのは貴様の体じゃない……欲しいのは、絶大的に光を生み出す源……貴様の命そのものだ!」


 腕を奪っただけでは、望みのものは手に入らなかったとみえる。

 

「……光を生み出す? 悪いが俺にそんな力は無い」

「無知なのは貴様だけだ。まぁいい、こうしてオレに会いに来てくれたことだ。片腕を失って弱体化した貴様をここで殺し、その全てを消失させてやる……! ククク、楽しみだ……」


 どうやら片腕を失った俺が、大して強くなくなってしまったという認識らしい。

 そう思わせておくのは楽なことだが、まずは彼女たちが集まるまではそうしておくか。


 むしろその方が、この女にとって屈辱的な敗北を知ることになるはずだ。

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