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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
捌頁:極めの帰結

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162.憎悪の魔法兵


 空を飛ぶことを得意としているルールイに助けられ、上空に浮いた状態だ。

 しかし彼女に負担がかかっている最中に、地上から槍が向けられた。


 魔法では無く矛のついた槍を空で素早く避けるのは、非常に厳しい。

 ここでの最善策は翼のあるルールイから離れ、自分自身の魔法で浮かび上がることだ。


 それにただの長槍ではなく、僅かながら魔力が込められている。

 そう考えると、槍を投げて来たのは手練れの魔法騎士に違いない。


「ルールイ! 俺の手を離していいから!」

「わ、分かりましたわ」


 体重による重さ負担から解放されたことで、彼女は槍が届きそうにない上空に離れて行く。

 地上からの追撃が無かったことで、ひとまずの難を逃れた形か。


 一方の俺は、風魔法を使用して自分自身だけを空に浮かせている。

 魔力の消費は微々たるものではあるが、長く使うことは禁物だ。


 上空から露店、露店から奥に見える通りを眺めると、かなりの人間が空を見上げている。

 どうやら最大級の警戒を出されたようだ。


 外から見えていた景色とはまるで違い、この町は外敵と判断した時点で、相当数のバリケードが展開されるように見える。


(うーん、どうするかな……)


 このまま空に浮いたまま時間稼ぎをしたところで、追っ手は易々と警戒をほどかないはず。

 しかし、落ち着いて話を聞いてくれるような気配はすでに感じられない。


 とりあえず、どこか人がいない空き地にでも降りるしか無さそうだ。

 ルールイの気配が近くに無いことを確認し、俺は民家らしき建物の陰に降りた。


(――ここには、誰もいないようだな。それにしても……)


 上空にいた時から感じていたが、空一面は薄曇りが占めていて、町全体をすっぽりと厚い雲が覆っている。


 何か良くないことでも起きるのか、あるいは気付かなかっただけで元々がそういう環境下なのか。

 天候で戦いが有利か不利が決まるわけでは無いが、敵の思惑だとすれば用心する必要がある。


 上手いこと家らしき陰にひそむことが出来た。

 だが、隠れっぱなしでは動けなくなることは必至だ。


 なるべく気配を消して、リウたちの気配が集まっている所に合流しなければ。

 リウには事前に、ある程度レシスたちを遊ばせたら戻るように伝えてある。


 まずは、その合流地点に向かうことにした。

 だが――


「ここだーー!! ここに隠れていたぞ! 捕らえろ!!」


 ひと気が無かったのは確かなのに、家の陰から動こうとしたその時、どこからか声が上がった。

 まるで空から見張られていたような、そんな感じだ。


 曇り空に紛れて何か追跡系の魔法でも仕込まれていたのだろうか。

 もはや落ち着いて空を見上げる状況になく、厚い雲に対し目を凝らす暇は無い。


 とにかくこの場を離れ、先の方に急ぐ。


「クククククク……復讐の為に訪れた。そういうことだろう? ログナの魔法士……」


 町の通りから離れ奥に見えていた広場にたどり着くと、そこに来るのが分かっていたかのように、敵が待ち構えていた。


 見たところ、魔法兵のようだ。

 だが、俺のことを知っていてわざと待ち構えていたように思える。


「――町から逃げて来ることを分かっていたようだけど、お前は何者だ? 何故こんな真似をする? それに復讐ってのは、どういう意味なんだ?」


 灰褐色の防具に身を包んでいる数人の魔法兵は、俺の言葉を聞いても微動だにしない。

 魔法兵ではあるが、槍や剣を手にしている。


 顔は深いフードで覆われていて良く見えない。

 もしかして、長槍を投げて来た奴と同じ奴だろうか。


「覚えていないのか……? そのまがい物の腕で、ようこそ! と言えば思いだすか?」

「何……? 腕?」

「見たところ、魔力はそれほど弱ってもいないようで何よりだ。ククッ、それとも思いだしたくなくて、記憶の中にでも封じているか? ならば、もう一度……貴様の腕を喰らってやる――!」

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