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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
捌頁:極めの帰結

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160.ブリグの町 2


「は、恥ずかしいな……」

「うふふふっ、なるべく自然に……そうしないと警戒されますわよ?」

「いや、それにしたって……」

「アルジさまは、何もせず、堂々とお歩きになっていれば問題ありませんわ」


 俺たちはブリグに入った。

 外から見えていた以上に、ブリグの街並みはとてつもなく巨大で、行き交う人の多さに驚いた。


 どうやら面積で考えれば、大きな国の中の町だということが分かる。

 リウたちは近くにはいなく、町に入ってすぐにサーチをかけた。


 その結果、それほど遠く離れた所にいるわけでもなく、だだっ広い町の中を自由に歩き回っているだけのようだった。


 それでもリウにだけは、心の声を通して自重することを伝えておいた。


(――そういうわけだから、あまり遠くには行かないでおくんだよ?)

(ふんふん、分かったにぅ。すぐにでも戻れるようにしておくにぁ!)


 リウの言葉を聞く限り、自由に動いているのは、主にレシスとレッテだけのようだ。

 そう考えれば、やはりリウを信じておいて正解だった。


「……よし、と」


 他の人には聞こえない心の声は、どういうわけかリウとだけしかやり取りが出来ない。

 これは恐らく、俺の成長が彼女に関係した時からだろう。


「アルジさま。宝石の露店が見えますわ! もしかしたら、ここに何かがあるかもしれませんわ」

「宝石か。ここも、アルファスの町みたいに鉱山が豊富なのかな」

「恐らく。ですけれど、そうで無かったとしても何らかの関わりがある気がしますわ」

「……うん」


 ルールイの言うようにここは市場通りになっているのか、見渡す限りの露店が並んでいる。

 中でも、圧倒的に数が多いのは宝石を並べている店だ。


 アルファスの町は、自前の鉱山があった。

 しかしこの町を隅々まで調べても、鉱山らしき場所は見当たらない。


 そうなると、さらに奥まで進んだ場所に中心となる国があり、そこから供給されている可能性がある。

 果たして宝石自体に、属性石がどれくらい含まれているのか。


 まずは露店の宝石に近付いてみることにする。


「うふふふ、わたくしは何でもおつけしますわ! おつけ頂ければ、もれなくわたくしのしなやかな翼を存分に――」

「はは……な、何がいいかな」


 隣でくねくねとした動きは、さすがに見せていない。

 しかしどこか嬉しそうにしているルールイには、日頃のお礼も兼ねて買ってあげたい気がする。


「どうだい、お客人! 綺麗なお連れさんに、アメジストストーンなんてお似合いじゃないかい?」

「アメジスト……雷の?」

「運がいいよ、お客人! その石はただの石じゃない。属性石ってやつで、手にしているだけでびりっとさせられるんだ。そうすれば、お連れさんを痺れさせて――」

「あっいや……そ、それはちょっと……」


 随分といきが良くて、押しの強い商売人だ。


(しかしまさか、属性石も売っているとは。属性石にそんな使い方があるなんて)


 ルールイは期待した眼差しを俺に送っていたが、そこは気付かないことにしとく。

 痺れさせて何をさせようというのか。


「それじゃあ、お客人が望む石は何だい? 可能な限り、取り寄せるよっ!」


 そもそも露店で並ぶ宝石もしくは、属性石にそこまで期待をかけられない。

 ここはルールイの言っていた様に、無難な対応をしておけばいいはずだ。


「そ、その~、別の露店も似た石を売っているんですか?」

「そりゃあそうさ! ブリグの町は常に、お客人を満足させているからね! どうするんだい? うちの店ならどこよりも安く売っちゃうよ?」

「むむ……」


 はっきり言って、宝石どころか属性石も買う必要が無い。

 しかし何か適当な石を買わないと、ここを抜け出せないような気もする。


「ルールイ、どれがいい?」

「……アルジさま。どれでもいいので、触れて……それからご準備を」

「――!」

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