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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
捌頁:極めの帰結

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159.ブリグの町 1


「……なるほど。前方が海で、背後には魔物の庭と大森林に囲まれているってわけか」

「アルジさま、この町……いいえ、ここはもしかして……」

「迷って来たようで、実はここに誘われたのかな……? そうだとすると油断しちゃいけない気がするけど」

「少なくとも、わたくしとアルジさまが気を張っていればいいのでは?」


 俺たちはリウとレシスに誘われるままに、町とされる場所にたどり着いた。

 しかし眼前に広がっている光景は、普通の町の光景などでは無かった。


 頑丈そうな城壁に囲まれた古くからの市街地、そこには細い石畳の路地が両側に敷設されている。

 町入り口に建てられている石碑にはこう記されていた。


【かつてこの地を支配していた魔法士の作り出した石には輝きの魅力があった。しかし石を作り出す後継者は廃れ、町を守る者は皆無となった。だが光の影響を受けた子孫は、堅固な要塞とされる建造物を建てたのである。 ブリグ・ゲレイド】


「――何とも大層な物言いだなぁ」

「ですけれど、外観からして威圧を感じますわ。町は誰でも入れそうですけれど、その先はどうだか分かりませんわね」

「……うん……確かに」


 ルールイが言うように、外から見た城壁だけでもどこまで続いているのか分からない。

 魔物の庭側から見えていた建物の正体は、頂上に何かの像が立っている要塞だった。


 まだ何とも言えないがこの町もしくは国は、いくつもの戦争を乗り越えて出来たものと判断した。

 外観の威圧はともかく、美しい街並みが続いていてそうな感じは見て取れる。


 そのせいで俺とルールイ以外の彼女たちは、真っ先に町の中へと進んでしまった。

 町自体に警戒しても始まらないとはいえ、あまりに無警戒すぎる。


「リウがついていれば問題無いのでは?」

「それはそうなんだけど……レシスの奔放ぶりに引っ張られている気がして、心配になる」


 町の中に興味を惹かれ、レシスを筆頭にリウとレッテがはしゃぎながら駆けて行ってしまった。

 いつもならリウがレシスを制してくれていたのにだ。


 そしてレッテはリウに対抗心があることから、彼女も一緒について行ったというわけである。


「アルジさまは、リウに意思をお伝え出来るのでしょう?」

「ああ、そうだよ」

「それなら、よほど離れない限りは心配いらないのでは?」

「……気を付けるに越したことは無いけど、手前の町にいる間にでも意思を伝えておくよ」

「それがいいですわね」


 俺とリウはいわゆる心の声を伝えられるが、その範囲は万能ではない。

 そうなると、なるべくお互いが町の中にいる間に伝えておく必要がある。


 もちろん、リウに何か危険が迫ればその限りではないのだが。


「とりあえず、俺たちも町の中に進もうか」

「うふふっ、それでしたら、今からわたくしはアルジさまのことを、ダンナさまとお呼びしますわ! そうでなければ怪しまれますもの」

「そ、そうだね」

「腕も組みますわ! 町の人間に見せつけておくのが有効かと」


 ここぞとばかりに、ルールイが密着して来た。

 この場にレシスがいないことが幸いではあるが、町の人間には果たしてどう見られるのか。


 それとは別にルールイが密着している間でも、いつでも戦闘に入れるようにしておこう。

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