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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
捌頁:極めの帰結

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151.シンヴァルト大森林1 ダークエリア


 唯一使える移動魔法(エンラーセ)を使って、俺たちはルファス鉱山を脱出した。

 しかしオーグリスの足に生えていた(こけ)程度で、どこに飛べるのか。


「ぎにぁぁぁ!? 暗いにぁ、怖いにぁ~!!」

「ほえぇぇ!? 何も見えませんよぉぉぉ」

「アルジさまっ、わたくしにお掴まりになって!」

「レッテ、耐えるでーす」


 彼女たちは突然の暗闇空間に驚いている。

 移動魔法の不安定さが露呈した形だが、果たしてどこにたどり着くか。


 ◇◇


「噛めば噛むほど……味が~むにゃ」

「ううぅ……痛いにぁかゆいにぁ」


 すぐ近くでレシスとリウの声が聞こえる。

 レシスは、また寝惚けながらリウの尻尾を噛んでいるのか。


「あぁぁっ! お、おやめになって……いえ、そこではなくもっと別の場所ですわ」

「レッテ、ヌシさまのここが落ち着くでーす……スゥ」


 ルールイとレッテの声は間近で聞こえるが、ルールイの反応が怪しい。

 レッテのは恐らく、胸の上に感じているモフった感触が答えのはずだ。


 そうなるとルールイの反応は、両手から感じる感触のことを言っている。

 幸いにして顔周辺には、何も障害となるものを感じない。

 

 しかしさっきから俺の両手は、はね返りのある柔らかい布と硬い骨のようなものを、交互に撫でている気がしている。


 まずは落ち着いて、ゆっくりと目を開けよう。


「……あぁ、やっぱり」


 想像していた通り、レッテの耳というかレッテそのものが、胸の上でスヤスヤと寝ていた。

 そしてリウたちは少し離れた所に見える。


 俺の両手はルールイの翼を撫でまくりながら、強制的に胸の辺りに引き寄せられ中だ。

 ずっと腕枕をしていたおかげで痺れがあり、腕と手の感覚があまり感じられない。


 いいのか悪いのか。


「だーー!! ルールイ、そこまでで!」

「――あら? お目覚めになっていながらわたくしをお許しになるなんて、アルジさまも目覚めてしまったのですね?」

「目は覚めたよ」

「……そういう意味では無いですわ。でも、わたくし久しぶりに満足を得られていますわ!」


 妖艶すぎるルールイはあからさまに、くねくねとした動きで悶えている。

 それが俺への愛情表現ということは分かっているが、未だに慣れない。


「ところで、ここはどこかの森かな?」

「わたくしも少し上空を飛んでみましたけれど、未知の森……来たことが無い場所だと思いますわ」

「そうか。でも移動魔法は成功したってことかな」

「ですけれど、大きな問題が……」


 空を飛べるルールイから感じ取れるのは、見るからに不安を感じさせる表情だ。


「――どういうところが?」


 胸の上で眠っているレッテを起こし、ルールイの話を聞くことにした。

 レッテはまだ寝ぼけているが、それはいいことにする。


「まず、地形が複雑すぎますわ。明らかに道である所と、そうでない所の境目の見分けがつかないですわ。そして既に嫌な汗が出る程の多湿。これは今まで訪れて来た森とは全く雰囲気が異なりますわね」


 ただの森でもなく、異様な雰囲気か。

 白狼のルオと出会った森とも違うとなると、別の国にある森に飛んで来たということが考えられる。


「とりあえずサーチしてみるかな」

「その方がよろしいですわ」


 《シンヴァルト大森林 ダークエリア・南》


 聞いたことの無いエリアだ。

 大森林ということは、簡単には出られそうにないほど広いということか。


 一瞬だけ見えたのは、属性の名前でエリアが分かれていることだけだ。

 今いる場所がダーク……つまり闇が強い場所だとすると、敵もかなり厄介だと想像出来るのだが。


「フギャァーー!? な、何にぁ!! 尻尾が何かに噛まれているにぁ!!」


 どうやらリウも目が覚めたようだ。

 彼女の尻尾を噛んでいるのはレシスのはずだが、ここで騒ぐのはまずいか。

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