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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
漆頁:属性石との関わり

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144/180

144.抽出スキルでコピー覚醒


「――あぁぁ……いいですわ! もっと念入りにお触りになって頂いても構いませんわ」

「こ、この辺で……」


 くねくねとした腰の動きを見せながら、ルールイは恍惚とした表情を浮かべている。

 彼女の翼を撫でているだけで何てことは無いはずなのに、どうしてこうも緊張するのか。


 コウモリ族のボスだった彼女だけは、未だに迂闊なことは出来ない感じがある。


「にぅぅ……リウも大人になりたいにぁ」


 リウが羨ましそうにしているが、だからといって変なことは出来ない。

 それにリウはすでに成長していて、何度か大人な姿になったことがある。


 自分の意思では大人の姿になれないようで、何とも不思議な変化だ。


「ふぅっ。回復しましたわ! アルジさま、ところで鉱石の採掘は順調でしたの?」

「いや、まだ何も……」

「わたくしのことを待っていたとでも?」

「まぁ、うん」

「……その間に、小娘たちを甘やかしていた――そうですのね!?」


 魔物に関しては結構倒しまくっていたようだが、リウとレッテの実力では物足りなかった。

 採掘スキルを使おうにも、すぐに戻って来られただけに言い訳も出来ない。


 レシスはまだ起き上がって来られないみたいだし、正直に話すか。


「――というわけなんだ。上の方で何かあったっていうなら、採掘は中止して戻っても……」

「それなら、今すぐおやりになってくださいませ!!」

「採掘を……?」

「他に何がありますの?」

「しかし魔物がいなくなったし、この辺の岩からはいいのが出そうに無いというかね」


 レシスと話をしていた間、実は密かに岩から鉱石を抽出していた。

 しかし光の属性石は出るはずも無く、単なる作業になりそうだったので止めてしまった。


 せめて魔物が現れてくれれば、抽出スキルを存分に発揮出来そうなのだが。


「――魔物? それならもうすぐ降って来ますわ!」

「へ? 降って?」

「退屈しのぎも兼ねて、ここに来るまでに挑発を仕掛けてきましたの」


 挑発したということは、怒り狂った魔物が上層から降りて来るということか。


「エンジさま!! 上から何か来るのにぁ!」

「ガウゥ……!」


 リウたちはすでにその気配に気付いていて、迎え撃つ体勢になっている。

 レシスは地面に寝転がっているが、まぁ大丈夫だろう。


「アルジさま。魔物の息の根は止めても?」

「いや、瀕死状態で頼むよ」

「かしこまりましたわ! あなたたちも、アルジさまのご注文通りに戦うことね!」

「にぅ!」

「はいでーす!!」


 ◇◇


 しばらくして、結構な数の魔物が俺の元に運ばれて来た。

 かろうじて瀕死状態を保っているようで、微かに息がある。


 瀕死状態じゃなくても抽出スキルは発動してくれそうだが、念のためにそうした。

 とりあえずゴブリンとビースト、それと弱そうなスライムに対し手を当てた。


 ≪オニキス:抽出:ビースト≫≪アンバー:抽出:ゴブリン≫

 ≪ムーンストーン:抽出:スライム 加工が可能≫ 

 【魔物パターン・コピー完了】


「おお? これは宝石か!? 岩から採掘するよりも手っ取り早く取れるのか」


 瀕死状態が関係しているのかは不明だが、魔物から抽出したのは鉱石ではなく宝石だった。

 しかも抽出しただけで、魔物からの宝石をコピー出来るようだ。

 

 闇属性と土属性、それと光属性の宝石だろうか。

 光属性に関してはそう簡単に手に入るものでは無さそうだが、これは中々いいスキルだ。


 次から次へと降って来る魔物が瞬殺手前までされて、山になっている。

 いっぺんに抽出したいが、そう上手く出来そうにない。


「アルジさま、お目当てのものは出ましたか?」

「近いものなら出た。だからそろそろ止めていいよ!」

「では、小娘たちに伝えて来ますわ! アルジさま、そろそろレシスをどうにかした方がいいですわよ?」

「うん?」


 地面に寝転がっている彼女の周りには、瀕死状態の魔物が横たわっている。

 まだ目覚めないレシスではあるが、起きたら間違いなくパニックになって何かやらかしてしまいそうだ。


「寝ていますわね……では、お急ぎを」

「レ、レシス~!!」


 ――などと声を上げても、彼女は目を覚ましてくれそうにない。

 そうなると、レシスに近付いて無理やりにでも抱えるしか無さそうだ。


「エンジさまっっ!! でっかいのが降って来たにぁ! 避けて欲しいのにぁ!!」

「ヌシさまっ、避けて~!」

「…………え?」


 相当な魔物を倒しまくったせいか、大物が姿を現わした。

 上を見上げなくても、その体躯はとてつもないものだった。


 洞窟の主という奴だろうか。そうなると早い所、レシスを抱きかかえないと。


「ふんぎゃあぁぁぁ!? な、何ですか、誰ですか!?」

「――あっ」


 レシスの所に行く前に、大物が彼女の所に降り立っていた。

 これはもう、戦うしか無さそうだ。



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