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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
漆頁:属性石との関わり

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142/180

142.新たなスキル、開花する?


 鍛冶師デリオンとともに、俺たちはかなり下の層まで降りて来た。

 そこからはさすがに人の手が加わっていない地下深い洞窟ということもあって、至る所から魔物が襲って来るようになった。


 彼を助けながら採掘していた俺たちだったが、徐々に追い付かなくなっていた。


「うわっ……!? ぐ、ぐぅぅっ……なんてこった」

「レシス!! デリオンに回復を!」

「は、はいい~! 今すぐに~!!」


 ◇◇


 彼の実力は冒険者レベルではそれなりにあるものの、複数の魔物相手ではてんで手に負えない。

 戦闘に慣れている彼女たちに頼らなかったこともあり、足にいくつか傷を負ってしまった。


「わたくしが言うのもアレですけれど、コウモリの動きについて来れないのは当然ですわね」

「レッテは問題無いでーす!」

「あなたじゃなくて、あの人間のことですわ」

「え、俺は?」

「アルジさまは普通の人間ではありませんもの! アルジさまのお強さと比べること自体おかしなことですわ」

「は、ははは……そうなのか」


 人間相手に慣れたように思えたが、やはりルールイの態度を見る限り、俺以外の人間には厳しさを感じる。


「ヌシさま。あの人間は、そろそろ足手まといになると思うでーす!」

「う、うん……」


 彼女たちの気持ちもわかるが、そもそも鍛冶師デリオンに帯同してここまで来られた。

 彼の助けが無ければ、鉱石を採掘することは不可能に近い。


 レシスに回復させてはいるが、そろそろ厳しい状況を作りそうな感じだ。

 そうなると彼の採掘スキルをコピーするしか手は無いが、どうしたものか。


「エンジさま、どうするにぁ?」

「レシスの表情を見る限りでは治したように見えるが……」

「足を引きずっているようにも見えますにぅ」

「思ったより重そうだな……」


 レシスは俺たちと離れた所で、回復に力を注いでいる。

 デリオンが負った傷はそんなに重いものでは無いが、この先は厳しそうだ。


「エンジさ~ん! デリオンさんが回復しましたよ! ですので、こっちへ来て欲しいです」

「――分かった。今行く!」


 レシスに呼ばれ様子を見に行くと、デリオンが膝をついて休んでいた。

 見た感じでは回復したように見えるが、彼の表情は暗い。


「エンジ……す、すまん。オレはここまでのようだ」

「え? 回復したんじゃ?」

「しましたよ? わたし、こう見えて優秀な回復士なんですから!」


 レシスにツッコミを入れるか迷うが、ここはスルーしとこう。


「じゃあどうして?」

「古傷ってやつだ。こればかりは回復魔法でも完治出来ねえだろうな……」


 そう言うと、デリオンは膝の古い傷を見せてくれた。


「え、それじゃあ――」

「ここから先は、エンジたちだけで進むしかねえな」


 敵のレベルによるものではなく、まさかの古傷によるリタイアとは。

 ルールイたちを見ると、胸に手を当ててなで下ろしている。彼のことで不安がっていたらしい。


 遅かれ早かれだったとはいえ、そうなると採掘スキルをどうするべきか。


「え、じゃあ、採掘はどうすれば?」

「スキルはさすがにあげられねえからな。だが、お前なら魔物を倒せるだろ? 採掘は無理でも、魔物からのドロップに期待出来ると思うぜ!」

「……それはまぁ」

「まぁ、何だ……ここまで下層に来られたのは、エンジのおかげだ。ありがとな!」


 ここまでのお礼のつもりなのか、デリオンは握手を求めて来る。俺も彼に名残惜しさがあるので、彼の手を握り返した。


 ≪採掘スキル:抽出を習得≫ ≪鉱山、岩に限らず生物からも抽出可能≫

 ≪無属性≫ ≪コピー完了≫


「えっ……!?」

「ん? 急に手を離してどうした? 痛かったか?」

「い、いや、大丈夫。意外と力があったなぁと」

「まぁな! 昔はつるはし握ってたし、力は強い方だからな! ははははっ」


 まさかのコピー完了とは。

 それも単なる採掘スキルじゃないようだ。


「デリオンの採掘スキルって、岩に手をかざすだけだよね?」

「一見簡単だと思ってるかもしれないが、鉱石があるポイントが分かるってのは大変なんだぜ? こればかりは、経験だな! 後で鍛冶師ギルドに行ってみるのもいいと思うぞ」


 鍛冶師ギルドなんて、そんな暇と時間を作ることは恐らく無理だろう。


「それって魔物にも有効とか?」

「そんなわけねえだろ! 魔物の腹ん中にあるもんを分かったら苦労ねえよ。まぁ、分かってたとしても簡単に倒せる魔物じゃないのが悩みだな……」

「そ、そうなんだ……」

「経験に尽きるな! それなのに途中で抜けてしまうのは、本当にすまん」


 どうやら鍛冶師のスキルをコピーしたことで、スキルそのものが変化したようだ。

 これなら彼がいなくても鉱石を探しつつ、石を削れる。


「それじゃあ、デリオン。その足では地上に戻れないだろうから、送るよ」

「お?」

「ルールイ! 彼を外まで頼む」

「……かしこまりましたわ、アルジさま。戻って来たらわたくしを――」


 ルールイのお願いはもちろん、アレに違いない。


「も、もちろん!」


 空を飛べる彼女に頼むしか無かったが、ここからは俺たちだけになるという意味で、ルールイは素直だった。


「ではっ、行きますわよ!! デリオンさん、わたくしにお掴まりになってくださるかしら?」

「おぉぉ? じゃあな、エンジ! それと嬢ちゃんたち!! 見つかるといいな、光の属性石!」

「ありがとう、デリオン!!」

「デリオンさぁん、お元気で~」

「さようならなのでーす!」

「ばいばいにぅぅ!」


 ルールイが戻って来たら、スキルを試してみるとしよう。

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