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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
陸頁:再起の魔法士

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124/180

124.ゼースヒル洞窟・属性石広場 1


「エンジさま、こっちこっちにぁ~!」

「あぁ、今行くよ!」


 広い部屋を見つけたリウが、張り切りながら俺たちを誘導してくれている。

 リウだけが身軽なのに対し、レシスとレッテは未だに苦しそうにしていて、ルールイと俺とで彼女たちを引っぱっている状態だ。


「ウ~ウ~ウウウ~……ゲプゥ……はぁひぃ」

「ヌシさま~申し訳ございませんです~ウグゥゥ」


 試練の扉を開くための仕掛けとはいえ、いくら何でも食べすぎだ。

 これに懲りて、特にレシスの食欲が収まってくれればいいのだが……。


「呆れますわね。人間というのはもっと賢い生物かと思っていましたのに、レシスを見るとわたくしの認識があっさりと崩れ落ちそうですわ」

「レシスはあれだよ、えっと……試練の扉を開けたい思いが強かったんだよ。だから人間全てが、彼女の姿じゃないってことで――」

「そんなの、分かっていますわよ! アルジさまは少なくともそうじゃないと見ていますもの」

「そ、そうだよね、はは……」


 レシスの食べっぷりは誰もが驚いた。

 彼女の本来の姿はまだまだ不明だが、きっと頑張りすぎているのだろう。


「ほえっ? エンジさん、私を見つめていますか!?」

「気のせいだよ」

「ゲェプゥゥ……まだですかまだですか~あひぃ」

「広い空間はもうすぐだから、ゆっくりでいいから歩いて」

「はいぃぃ」


 今の姿をラフナンに見せたら幻滅するのだろうか……いや、レシスが好きな彼なら全て許せそうだ。


『エンジさま~ピカピカ光って綺麗にぅぅ! 早く来るにぁ~』


 息を切らせる二人を気にしていたら、俺を呼ぶリウの声が近くなった。

 どうやら広い部屋へは、もうすぐらしい。


 ◇◇


「こ、これは! 宝石……いえ、属性石ですの!?」

「間違いないね。ここにこれだけの光がひしめき合っているってことは、やはり普通の洞窟なんかじゃない。属性獣はいないだろうけど……」

「エンジさま、光のピカピカを拾うにぁ?」

「……それは危険な気がするんだよな。とにかく足下に落ちている石も、うかつに拾わないようにしないと!」


 ――と、いち早くレシスに注意をするつもりだったが、彼女はまだしゃがむこともままならないはず。

 いつでもどこでも問題を起こすのがレシスだ。


 しかし、今回は大丈夫だろう。

 ……などと思い込んでいたのは、やっぱり間違いだった。


「エンジさんっ、これですよ! これこれ!!」

「……ん? レ、レシス……一応聞くけど、その石はどこで拾った?」

「いやぁ~、ようやくお腹がへこんでくれたので、しゃがんで息を整えたら目の前に落ちてまして~」

「あああ……」

「アルジさま。だ、大丈夫ですわよね……? 何も起きませんわよね?」

「分からない。一つ言えるのは、光の属性石は手にしただけでいいことが起きないってことくらい。何も起きないことを祈るしか……」


 少し目を離したら、やはりやってくれた。

 もちろん、光の属性石が散りばめられたこの部屋で、良くないことが起きるとは考えられないが。


「にぅぅ……エンジさま、何かおかしいにぁ」

「む? リウ?」

「ゆ、揺れている気がするのにぁ」

「揺れ……ほ、本当だ。微弱ではあるけど、確かに」

「ヌ、ヌシさま……レッテは地震嫌いです~!! アグウゥゥ……」

「ほえっ? 地震ですか? どこどこ!?」


 光の属性石の部屋で何かが出て来るか、それとも……。

 仕掛け部屋で悩むよりはましだが、早いところ外に出たいものだ。

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