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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
零頁:落ちこぼれの書記

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12.書記、勇者に再戦を挑まれる 前編


「にぁぁぁ!? お城~? 壁が地面から生えて来たにぅ」

「ネコ、騒がない! フェンダーが魔法とスキルの使い方を覚えて来たからこそ。あの壁が私たちの"お城"になるのだから、黙って見ている!」

「うにぅぅぅぅ……お城? やっぱりお城にぁ!」


 内心ドキドキしながら勇者ラフナンたちに対し、城壁の姿を見せつけることが出来た。スカラーを編集して鉄壁な守りをイメージして浮かんだ魔法、アルクス。


 中腹から眺めることになった城壁は、間違いなく度肝を抜いた。勇者がしばらく立ち尽くしているのが何よりだろう。


「――あんな壁、今まであったか?」


 驚愕しているラフナンが仲間たちに聞きまくっている。

 あの姿を見れば動揺しているのは一目瞭然だ。


「い、いいえ、わたしたちは初めて見ます」

「俺らは麻痺してすぐに眠ってしまったんで……」


 ここに初めて来たとされる者たちも落ち着かない様子を見せている。


「おい、レシス! お前の"イグザミン"であの壁の耐久性は見られないか?」

「え、でも、わたしの魔法は直に触れないと効果が……」

「……ちっ。まぁいい。所詮書記が作り出したものだ。こうなれば、目に物を見せてやる!」

「あ、あそこにいるのは書記のエンジさんです。どうか、ひどいことはやめてください」


 何やら勇者の周りが騒がしくなって来た。もしかして攻撃でも仕掛けて来るのだろうか。


「頂上にあるのはログナの大事な拠点だ! そこを不法に占拠しているのはギルドの追放者。遠慮はいらない! 各自、あの壁に向けて力いっぱいの魔法を放て!!」


「おおおおーーーー!!」


 どうやら連れて来た魔法士たちのやる気を駆り立て、壁に魔法を撃つつもりだ。

 

(それなら、誰でもいいから火の魔法を放ってくれないかな……)


「喰らえ! 追放者!!」


 魔法の言葉は聞こえて来ていない。

 しかし、壁を壊す為なのか石魔法を撃ち始めているようだ。


 作り出した城壁は、元々オークが使おうとしていた岩石でそれをさらに強化した壁。どんなに攻撃されたとしても、びくともしないはず。


「だ、駄目だ。全く効いて無い! こうなったら毒だ。毒で壁を腐食させるんだ! 放てー!!」


 何とかしようと試みて何も出来ないと諦めたのか、違う魔法で攻撃を仕掛けて来た。

 ――これはコピーするチャンスだ。


【コピー 魔法名プワゾン 毒属性 追加効果徐々に腐食 付加装備品の耐久値を下げる】


(よし、出来た。なるほど毒魔法を放って来たのか)


 火の魔法を撃って来なかったのは残念だ……。しかしそもそもログナは山間の国。火属性魔法を使える魔法士はいなかったかもしれない。


「そ、そんな! 何も起こらないなんて……ラフナンさん! 勇者様のお力添えをお願いします!!」


「書記エンジ!! どんな手を使ったのか分からないが、壁に隠れたままでは何の解決にもならない! 悪いようにはしない。隠れていないで、僕らの前に姿を見せるんだ!」


(仲間の後方で隠れている勇者がよく言う)

 

「フェンダー。すぐに編集出来た?」

「うん。イメージですぐに編集されて付加も付いたし、追加効果も!」

「じゃあそれを敵に使う。そうすればフェンダーは成長出来る」

「敵……俺の魔法って、攻撃とかで使わないと成長しないの?」

「する。でも使うことでスキルが上がる。魔法もいい。だけど敵の身体能力もコピーする」


 単純に魔法だけコピーすればいいというわけではないみたいだ。

 ここはリウの力も借りて、勇者の近くに向かうとしよう。


「よし、リウ! リウにも手伝ってもらおうかな」

「にぁ? 人間を攻撃?」

「どっちかというと、素早い動きで魔法を撃てなくして欲しいかな」

「はいにぁ!」


 リウの尻尾を捕まえた連中は勇者と同じ所で様子を眺めている。

 しかしこの前と違ってリウの素早さは相当上がっているし、捕まることはないだろう。


 案の定――

 

「くそっ! ちょこまかと!! ラフナンさん、ネコを捕まえられません!」

「何てことだ! こうなればネコ(あいつ)を囮にして、エンジに一斉攻撃する。そして砦を奪うぞ!」

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