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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
陸頁:再起の魔法士

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116/180

116.ゼースヒルの洞窟 2


 洞窟を物見させたまでは良かったが、どういうわけか大の男二人が血相を変えて全力疾走。

 何かに追われているのか、一直線で戻って来る。


 レッテは何かが来ていると言っているが……。


「ヌシさま! 頭を低くして(かが)んでくださいっ!!」

「うっ?」

「早く、早くです!! 少し失礼するでーす!」

「あわっ!?」


 モフったレッテの感触と肉球が、俺の頭に触れて来た。

 むぅ、これは中々……なんてひたっていると、頭上から無数の羽音が聞こえて来る。


「頭を上げては駄目でーす!! ヌシさまっ、今しばらくの辛抱です」

「わ、分かった」

「通り過ぎるまで待つです!」


 何やら訳が分からないままだが、ちらりと横を見るとレシスとリウが、地面に這いつくばっていた。

 ルールイは完全に翼で身を覆い隠し、何かが過ぎ去るのをジッと待っている。


 ◆◆


 どれくらいの時間が経っただろうか。

 ――とはいっても、数十分程度だと思われる。


「ヌシさま、もう大丈夫でーす。お顔をお上げくださーい!」

「……んん」


 柔らかな感触に優しく頭を押さえられていたせいか、不思議と不安を募らせることが無かった。

 レッテに間近で守ってもらったことがなかったが、彼女にも意外な一面と力があったようだ。


「ヌシさま、あの洞窟から来たものなんですがー……」

「うん」

「キラーバグっていう虫だったでーす。アレらに触れてしまうと、全て噛みつかれてしまいには溶かされて消えてしまう恐れがあったでーす」

「む、虫!? そんなものが大量に出て来たってこと?」

「はいでーす! ですけど、ほとんど出て来たみたいですから平気でーす」


 何て恐ろしい……。虫は苦手だし、敵としても出来れば戦いたくない。

 そんなのがいる洞窟に、古代書があったというのだろうか。


「レッテの耳は平気かい? ほら、垂れて――」

「ウキュゥゥン!! そ、それは初めからで……ヌシさま、不意打ちズルいです」

「あ、ご、ごめん」


 ついつい耳に触れてしまった。

 リウといいレッテといい、ケモミミの誘いは恐ろしすぎる。


『ぬぅぅ……お、驚いた……ラフナン、無事か?』


 どうやらアースキンたちも無事なようだ。

 しかし、虫たちが通り過ぎた森は見るも無残に、根こそぎ溶かされ何も残っていない。


 どこに飛んで行ったのか気になるが、今は無事を喜ぶことにする。

 立ち上がったアースキンとラフナンが、俺の所に来た。


「みんな、ご、ごめん。まさかあんな急に襲って来るなんて予想してなくて……いや、それよりもあんな虫は見たことが無いんだ。レシス、君もそうだよね?」

「ほへ?」

「いや、いいんだ……」

「そうですか~? ラフナンさん、元気出してくださいね!」


 レシスの天然にはラフナンもお手上げか。

 

「エンジさん。すまないけど、僕とアースキンでは洞窟の中までは入ることが難しいようだ」

「そこまでの難易度が?」

「いや、でもこれだけは言えるんだけど、あんな虫がいるような危ない洞窟では無かった。だからもしかしたら、異変が起きているかもしれない」

「ふむ……モンスターのレベルが凶悪なものになった……と?」

「……ああ。そんな所に案内してすまない! 僕とアースキンは、ログナに戻って街を守るから、だから――」

「分かった。ラフナン、それとアースキンはログナとフェルゼンを守ってくれ。後は俺たちが動く」

「本当にすまない」


 どうやら相当に恐ろしい気配を、洞窟の中から感じたようだ。

 物見で豹変しなくて安心ではあるが、これは心してかからなければならない。

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