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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
伍頁:強国の敵

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110.回復士レシスと元勇者、再会する 後編


 再会するとは思っていなかった。

 ラフナンを目の前にしながら、レシスは何度も首を振り続けている。


 少し離れた所で彼女らを見守るリウは、警戒したままだ。

 アースキン、ルールイも不安な表情を浮かべている。


「む、むぅ。エンジに言われた通りに連れて来たが、あの娘のあんな表情は初めて見る」

「ええ、それはわたくしも同じですわ。あんなドジで間抜けで、放っておけない娘があそこまで強張るなんて、アルジさまはどうして……」

「何かあったらリウ、容赦しないにぁ!」

「その気持ちが分からないでも無いが、エンジの命令だぞ?」

「にぁ……ぅぅ」


 三人それぞれの心配を感じつつ、レシスは下を向いていた顔を上げる。

 ラフナンとまともに向き合い、きちんと話をする意思を固めたようだ。


「あのっ――! ラフナンさんはいつから……」

「全て話すよ」

「ログナを、ギルドを追い出した時からエンジさんを憎んでいたのですか?」

「僕がおかしくなったのはその前だよ。君の杖と古代書を見つけたダンジョン……全てはそこからなんだ」

「そんなっ――! そんな時からなんて……」

「でも、本当に自分を抑えることが出来なくなったのは、魔法兵の女と接触した頃なんだ。それまではそこまでじゃなくて――」

「で、でも、何度もしつこく砦を襲いに来ましたよね?」

「あれは……どうかしていたかもしれないけど、彼と戦うのが楽しくなっていたっていう、言い訳に過ぎないものなんだよ。レシス……君を巻き込んで本当にごめん」


 ラフナンから聞かされた真実に、レシスは口を手で覆うほどのショックを受けた。

 同時に、理解の出来ない戦いの繰り返しをした彼には、信じがたい気持ちしか芽生えない。


「わたしはラフナンさんを信じて、信じ抜いて言うことを聞いていました。それなのに、楽しいというただそれだけで、人を傷つけられるんですか!?」

「……そうだね、本当にどうかしていたんだ」

「どうしてそこまで……」


 信じ切っていた勇者ラフナンに酷い目に遭わされた。

 それがありながらも、そうじゃないと言い聞かせた自分。


 レシスは心底落胆を覚えてしまう。


「僕は……君を、レシスをエンジくんに取られたくなかったんだ」

「――? え、どういう意味ですか?」

「レシスを僕の傍に置いておきたかった……君のことが好きだからだ」

「ほえ?」

「だ、だから僕はエンジくんに勝負を挑ん……レシス? 言葉の意味を理解していないとかじゃ?」


 回復士レシスの緊張が唐突に途切れる。

 ラフナンからの『好き』という言葉により、エンジから言われたことを思い出したからだ。


「ラフナンさん、わたしのことが好きだったんですか?」

「そ、そうなんだ。だから僕は――」

「それならわたしもですよ~!」

「えっ? じゃ、じゃあ……」

「それがですね、わたし、エンジさんに噛まれてしまいまして~……しかもですよ? 同じ湯の中に裸で入ったんです! エンジさんには何もかも奪われたようなものでして~」

「そ、そんな……くぅぅっ。完敗すぎる……彼には敵わなかったんだ」


 元勇者ラフナンの告白、天然娘レシスの復活。

 彼と彼女の緊張の再会は、あっさり終えた。


「にぁ? シェラが元に戻っているのにぁ」

「全く、油断も隙も無い娘ですわね」

「でもでも、これでエンジさまの元に帰れるにぅ!」

「……ふ。この俺が、ラフナンを鍛え直してやるとするか」

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