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追放されたギルドの書記ですが、落ちこぼれスキル《転写》が覚醒して何でも《コピー》出来るようになったので、魔法を極めることにしました  作者: 遥風 かずら
伍頁:強国の敵

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108.片腕、復元


「レッテ、ここで少し待っててくれるかい?」

「はいです!」

「すぐ……かは分からないけど、遅くならないと思うから!」

「お待ちしてますでーす」


 レッテとログナへ行く前に、彼女の所に行く必要があると思った。

 フェルゼンの中では、人間よりも獣やドールの方が数が多い。


 しかしログナは昔から暮らす人間たちが圧倒的だ。

 俺の身に起きたことを知らない住民に、今の姿を見せるわけにはいかないだろう。


「……フェンダー、何?」

「えっと、この腕のことなんだけど――」

「それじゃあイメージして。フェンダーの腕を自分で浮かべる。そうすれば、難しくない」

「そ、それだけ?」

「そう」


 俺が魔法士として目覚めた時は、厳しさを失くしたと感じていた。

 それが油断で腕を一本失くした、それだけでザーリンの俺への厳しさは以前より上がってしまった。


 イメージ……俺の腕をコピーして、それから……。


「右なら右。左なら左。そうしないと人間はすぐに気付く」

「うん、分かってるよ」

「それなら早くする!」

「うぅっ、厳しいな」


 片腕をコピー、右は右、左を左とする。

 左腕に属性耐性を付与。右腕から全魔法の発動を可能に変更。


 こんなところか。

 利き腕の右では無く左腕を奪われてしまったが、片腕だけで助かった。


「……出来た?」

「右をコピーして、それを左に付けた後に左腕として変えたよ。これでどうかな?」

「……ん。フェンダーは国王。王が五体満足で無ければ、また以前のようにしつこい奴が来ても全てを防ぎきれなくなる。たとえコピーされた腕だとしても、民は安心する」

「やっぱりそうだよね。ありがとう、ザーリン!」

「あなたは国王。魔法士。魔物と獣の王だから、何も心配いらない。気を付けて行く! 行っていい!」


 やはりザーリンは、以前よりは優しくなっているようだ。

 俺が思っていたことと同じ考えを持っていたし、離れていても分かっているのは本当だった。


 コピーした左腕は見せかけではあるが、敵をあざむくには十分な出来だ。

 これならログナの住人にも違和感なく接することが出来る。


「レッテ、待たせたね!」

「! ヌシさま、その腕はどうされたのです!? どうやって……」

「レッテは忘れたのかい? 俺はコピースキルがある魔法士。これくらいのことは出来るってわけだ」

「さ、さすがです! さすがレッテのヌシさまなのでーす!!」

「よし、今度こそログナに行こうか」

「はいでーす!」


 ずっと旅に出てフェルゼンはおろか、ログナにもろくに立ち入ってなかった。

 住民は俺のことを王と認めてくれているだろうか。


 レシス、リウがどこかに行っている今だからこそ、威厳を示せるいい機会かもしれない。

 レッテとふたりだけで動くのもあまり無いことだし、ログナを見て回るとするか。


「ヌシさま、耳と尻尾は隠した方がいいです?」

「いや、ログナにも狼族は住んでいるはずだから、そのままでいいよ」

「分かりましたです! ヌシさまの身は、レッテがお守りするでーす!」

「うん、頼むよ」

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