102.リウとレシス、外の町を巡る!?
ゲレイド新国からの刺客であり、元はタルブック魔法兵だったサラン。そいつによって俺は片腕を失くした。ルオによれば血は一切流れていなかったらしい。
だがその光景を目の当たりにした彼女たち、特にリウは相当に心配をしたようだ。
レシスとルールイについては俺の油断によるところが強い。
レッテも心配しているだろうが、今はただひたすらに眠るだけ。
◇
「そうじゃないにぁ!! リウ、エンジさまの為に働きたいのにぁ!」
「ネコに何が出来るっていうんだ! レッテだって動きたい!! でもヌシさまのお傍にいたいのだぞ!」
「リウだけでも行くったら、行くにぁ!!」
「勝手にしろ! ネコめ」
俺とはスキルのほとんどを共有しているリウだが、居ても立っても居られないといったところか。
彼女の強さをとても頼りにしているが、知らぬ間に単独行動させて何かあっても困る。
ルオに頼んで伝達してもらうか、それとも――
「リウちゃん、どこに行くの?」
「シェラもリウを止めるつもりなのかにぁ!?」
「そんなことしないよ? わたしもエンジさんの為に何かしたいし……リウちゃん、一緒に行こう?」
「にぁ? シェラも来てくれるのにぁ?」
「エンジさんの為に行かないとダメだなぁと」
「ふんふん?」
「どこに行くの~?」
「町にぅ。人間がいる町に行って、聞き出すにぁ!」
――これは後に聞かされることになる、リウとレシスの二人だけの旅の話。
どうやらレシスはリウの前ではとても真面目口調で、頼りになりそうな感じになるらしい。
何故俺と話す時は天然ぶりが炸裂するのか、これはずっと謎だ。
「よし、じゃあ早いとこ行こう?」
「はいにぁ!」
しばらくしてルオが声をかけて来た。
この時点で俺はまだ、体を起こすことが出来ずにいる。
さらにいうと意識もはっきりしていない。
耳だけが音や声を拾っている。
「ご主人様。聞こえているか?」
「……」
「ご主人様を狙った不審なる女ではなく、以前まで我が砦にしつこく来ていた人間の男が来たのだ。どうすればよいのじゃ?」
「……けん――」
「ふむ? 賢者と言ったか? あの者に任せればよいのじゃな? なに、ご主人様は眠っておるのじゃ」
リウとレシスの他に、国となったフェルゼンにあの男が来ていたようだ。
さすがに懲りて改心していると思われるが、その辺はアースキンに任せるしかない。
勇者だった、ラフナン……か。




