101.白狼の守護と快復の刻
「――ハァハァハァ……うぅっ、く……」
「にぅぅ……心配にぁ」
「ご主人様のことは、我が看ておく。ここは気分を落ち着けて休むがよい」
「お願いしますにぁ……」
何かが抜け落ちた。
そんな感触、状態変化を感じている。俺はどうなってしまったんだ。
◇
「うぅぅっ……!? こ、ここは……?」
「目覚めたか、ご主人様。ここはご主人様の国フェルゼン。そしてルオのねぐらなのじゃ」
「フェルゼン? ……ラーウス魔所にいたはずなのに、どうやってここに……」
「ドールと妖精、そして賢者なる者が救いに行ったのじゃ。そして今は、ルオがずっと傍にいる。ここにいれば、時を忘れ、次第に良くなる」
「そう、か……ありがとう、ルオ」
白狼のルオは偉大なる獣フェンリルだ。
ルオのおかげで森移動も出来ているし、獣たちも素直に言うことを聞いているので、その辺りは感謝しか無い。
それにしても油断が過ぎた。
俺は確かに、魔法に関しては無敵とは行かないまでも、ほぼ極めた。
そう思って動いていたのだが……。
しかし妖精ザーリンによって、物理無効の絶対防御を取り上げられたことで、物理防御だけは普通の人間と同じか、やや高い程度だった。
魔法攻撃には無敵と言って正しいが、物理攻撃には耐性が無く、油断次第でやられる可能性もあったのだ。
そして今まさにそうなっている。
俺の腕……片腕が無くなっている感覚だ。それが油断したことによる代償に違いない。
「ご主人様……フェンダー様はお強く、優しいお方なのじゃ。今はゆっくりと休まれよ」
「……あぁ。そうするよ、ルオ」
俺は白狼が見守る中で、休息を取ることになった。
自分の国を作っておいてよかったと、今になってようやく感じられている。
◇
「にぁ~退屈にぁ……」
「ネコはだらけすぎだ! ヌシさまが見ていないからって、さぼるな!!」
「そんにぁこといったって、リウ、エンジさまがいないとやる気が出ないのにぁ……」
「レッテだってやる気なんか無いのだぞ! だけどここは、レッテたちにとって楽園なんだ! ヌシさまが元気になった時には、もっといい風景になれればいいなと思っているんだぞ」
「にぁう~~」
俺が休んでいる間、フェルゼンは主に獣たちやドールによって改修されているらしい。
いったいどれほどの変化を遂げたのか、楽しみではあるが、問題は……。
「はぅぅぅ……エンジさんがぁぁぁぁ……グズッ」
「ハァァ……あまり言いたくはありませんけれど、わたくしも同じですわ……」
「どうしてあんな変哲もない壁に触れてしまったんでしょう?」
「わたくしの知る所ではありませんわ。でも、もしかすればあなたおひとりを狙ってのことだとしたら、アルジさまはすでに敵に狙われていた可能性があるのかもしれませんわね」
俺のことでレシスとルールイはすっかりとふさぎ込んでいるようだ。
レシスに関して言えば、予測不能な動きをすると分かっていながら単独行動をさせた。それは俺自身が反省すべき点だろう。
ルールイは回復したらご褒美を与えてやらねば……。
今はとにかく寝よう……寝て、またすぐに――




