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第5話・ダンジョンマスター

 ダンジョンマスターとなった俺だが、そのダンジョンというのは俺がここにいる空間もダンジョンの中らしい。この洞窟を含めあの大きな森もダンジョンの一部で、どうやらここが最深部のようだ。


 ダンジョンコアから受け取った情報を信用するなら、この世界はやはり地球ではなさそうだ。国や人物の情報は全くなかったが、基礎的な知識は得られた。


 この世界の文明レベルは地球の中世程度。しかし決定的な違いは魔法の存在だ。攻撃などに使用するものから、生活に使用するものまでさまざまな用途で使われているようだ。


 そしてこの世界には魔物が存在する。恐らくアラクネや虫たちがそうなのだろう。当然虫だけではなく、動物や魚類のような魔物もいる。この世界の人間にとっては代表的な天敵だ。


 その魔物たちを作り、従えることのできるものがダンジョンマスターだ。ダンジョンに籠り、トラップや魔物を使って侵入者を排除する。同じく魔物を従える存在として魔王なんてものもいるようだが、ダンジョンマスターほど明確には支配できないようだ。


 この世界の人間は人だけでなく、エルフや獣人などの亜人と呼ばれるものたちもいるようだ。そして、魔物の素材なんかを目当てにダンジョンを攻略するダンジョンの天敵であり、餌でもある冒険者なんて職業のものもいるようだ。


 こういった世界の知識は知れたが、ステータスなんかの知識はイマイチわからない。


 またアラクネに聞こうと思い、顔を上げて彼女を見ると、さっきまでと違い何やらモヤのようなものが彼女の周りに漂っているのを感じた。不思議に思い、目を凝らして見続けているとステータスが浮かび上がった。



【名称】 ERROR

【種族】 アラクネ

【ランク】A

【LV】 65


【HP】 150

【MP】 300

【力】  180

【魔力】 320

【防御】 120

【俊敏】 280

【治癒】 60


【スキル】

『闇魔法Lv5』『蜘蛛糸Lv4』

『暗視Lv4』『隠密Lv4』

『『幻惑魔法Lv3』『暗殺術Lv3』

『麻痺毒Lv3』『変化Lv3』

『魔眼(麻痺)Lv2』『毒耐性Lv2』


【称号】

『上級暗殺者』『糸の使い手』



 これは…アラクネのステータスか?随分と物騒なスキルが並んでいるな。それに能力値が高い。俺なんかすぐにやられるだろう。ステータスに関して気になることはいくつもあるが、なぜアラクネのステータスが見えたんだ?


「いかがなされましたか」


 俺の異変に気付いたのか、アラクネが俺に尋ねた。


「いや、お前のステータスが見えたんだ」


「それは看破または鑑定のスキルの能力によるものです」


 看破か鑑定…たしかに鑑定というスキルはダンジョンマスターになったと同時に得ていたが、そんな効果があるのか。2つ述べたということは、同じようなことが看破というスキルでもできるのだろうか。


「看破と鑑定の違いって何?」


「…ステータスの項目に対して、鑑定を使えばお分かりになるかと」


 少し首をかしげながら答えたアラクネの助言通りに、ステータス上にある鑑定の文字を集中して見てみた。



【スキル】『鑑定』

 看破の上位にあたるスキル。注視したスキルの詳細、注視したもののステータスを閲覧できる。対象となるものとの能力の差、または希少さによって閲覧できる範囲が変化する。Lvが上がる毎に効果が上昇する。



 おお、すごい。なるほど、鑑定はこんなスキルなのか。これは結構有用なスキルなんじゃないのか。使う対象によって制限があるようだが、これを使えば相手の実力や所持スキルの詳細まで分かるわけだ。


 なんだか面白いな。気になっていたステータスの項目も調べてみることにしよう。



【スキル】『王魔法』

 王かそれに連なる者のみが使用することのできる魔法スキル。全属性の上位魔法や属性魔法に分類されない特殊な魔法を使用できる。通常の魔法より使用MPが非常に多い。使用できる魔法の数は王としての格に左右される。



【スキル】『逆鱗』

 激情によって発動するスキル。全能力値が一時的に上昇する。Lvが上昇する毎に効果が上がる。



【スキル】『蟲王』

『眷属支配』『眷属召喚』のLvをMaxに上げ、効果も増大させる。また、蟲王の力を開放するスキル。



【称号】『蟲王』

 蟲の王に与えられる称号。所有者に『眷属支配』『眷属召喚』』『眷属創造』『蟲王』のスキルを与える。



【称号】『幼体』

 未熟な虫の魔物に与えられる称号。まだ成長の余地が見られることを意味する。



 なるほど、こんな能力だったのか。魔法と聞いて少し興奮していたが、王魔法は使い難いな。他のスキルも蟲王の力を開放するってなんだ。スキルの詳細を知れたのはよかったが、新たな謎もできたな。しかし、なかなか面白い。本当にゲームのようだ。他のものも見てみたくなった。せっかくだ、アラクネのスキルも見てみるか。



【スキル】『闇魔法』

 基本属性魔法スキルの一つ。相手を妨害する魔法や代償を必要とする魔法など、癖の強い魔法が多い。



【スキル】『変化』

 姿を変えることのできるスキル。主に魔物が人に化けるために使用する。


 変化か…アラクネが人になれば相当な美人になるだろう。美しい姿で人を惑わして、殺してきたんだろうか。人の姿ちょっと見てみたくなった。


「お前は変化を使って、人の姿になれるか?」


「はい。できますが、やりましょうか」


「ああ、やってみてくれ」


「かしこまりました」


 その瞬間、アラクネが光り始めた。つい眩しくて目をそむけてしまった。数秒して光が収まると、そこには絶世の美女がいた。身長は160センチほどだ。もともと整っていた美貌は変わらず、人形めいた白い肌にはわずかに赤く血の気が差したようだ。蜘蛛であった下半身はすらっとした綺麗な人の両足に変わっていた。


 どこからどう見ても人にしか見えない。スキルとは偉大なものだと実感した。ところで、魔物は普通、服は着ない。それはこのアラクネも例外ではない。そんなアラクネが人の姿に変われば当然裸なわけで、いろいろ丸見えだ。


「あんなところまで精密に変化できるのか」


 俺は目をそむけながらそう呟いた。そんな俺に対して、魔物であるアラクネは全く恥じる様子もなく堂々としている。胸はもともと見えていたのだが、魔物として見ていたため気にしていなかった。しかし、いざ人間の女性の姿になり意識すると、女性経験の少ない俺には直視する勇気がなかった。


 頭の中に先ほど見た裸体が浮かぶ。もう一度ぐらい見てもいいんじゃないのか。そんな誘惑が俺を襲うがそれを振り切り、別のことを考えることにした。


 魅惑の裸体に思いを引きずりながらも、思いついたことがあった。鑑定って種族の項目に使ったらどうなるのだろうか。蟲王はなんて書いてあるか何となく予想ができるから、アラクネに使ってみるか。


【種族】アラクネ  ランクA

 Aランク上位の虫族魔物。糸を使う技に長け、暗殺を得意とする。また、糸によって人や魔物を操ることができる。亡国で20年間、国王を操っていた個体も存在する。



 アラクネってやばい魔物なんじゃないのか?国王を操っていたって…。いや、決めつけるのは早い。アラクネの多くがそうなだけで、このアラクネがそんなことをしていたわけではない。そうに違いない。俺は自分に言い聞かせた。


 しかし、アラクネが何をしてきたのか、考えれば考えるほど気になる。俺は我慢できずにアラクネに聞いた。


「お前ってさ、今までどうやって過ごしてきたの?」


「私はこのダンジョンで生まれて、それ以来ずっとここで過ごしてきました。」


 良かった。少なくとも国相手に何かしたわけではなさそうだ。していたとしても、このダンジョンに侵入した奴らを殺したくらいだろう。そのくらいなら自己防衛の範囲だ。


「昔からここにいるのなら、このダンジョンについても詳しいのか?」


「そうですね、ダンジョンの隅々まで知っているわけではないですが、特徴くらいなら説明できるかと」


「なら、頼めるか」


「わかりました」


 そうしてアラクネからこのダンジョンについて聞いた。このダンジョンは全部で31階層。この世界にはいくつかのダンジョンがあるが、最大級の大きさらしい。ちなみに判明されている最大のものは33階層だ。


 昔に一度だけ、最深部であるこの階層まで侵入されたことがあるようだ。なんでも国に攻められたらしい。魔物の編成は虫以外の魔物もいるが、9割近くが虫系統の魔物のようだ。


 こういった説明を受け、頭の中で整理しているとアラクネが俺に話しかけた。


「ダンジョンについて申し上げたいことがございます。」


「何?話してよ」


「現在このダンジョンには侵入者がいます。現在23階層まで突破されています。」


「は?」


 何を言ってるんだこいつ。


最新話の終わりから感想、評価をつけることができます。


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