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第4話・ステータス

ステータス登場です

 明るくなったおかげで気づいたが、この広間はメチャクチャでかく、ドーム状になっているようだ。壁や天井は大理石のようなものでできており、発光しているのが見て取れる。劣化の酷い絨毯は広間全体にひかれているようだ。


 この壁や天井、一体どうやって発光しているのだろうか。それ光り始めたタイミングも気になる。そんなことを考えながら、ようやく一望できるようになった観察していると、天井から何かが降ってきた。


「 ひっ、な、なんだよ次から次へと」


 俺から5mほど離れたところに落ちたようだが、一体なんなのか。天井から降りてきたものを確認して見ると、どうやら生き物のようだ。


 明るくなったおかげでよく見える。大きさは2.5mほどで下半身は蜘蛛、上半身は人間の女の姿をしている。神話などに登場するアラクネと呼ばれるものの姿だった。


肌は陶磁器のように白く、濡れ羽色の美しい髪を肩にかかるほど伸ばしている。精巧なつくりの顔についたルビーのように赤い目がこちらを見つめていた。


 その赤い目で見つめられた俺はまるで蛇に睨まれた蛙のように身動きが取れなかった。俺の危機的状況にも思えるが、俺を主として護衛する虫たちは行動を起こさない。


 虫たちが反応しないことから、敵ではないと思うが得体が知れない。動くことができず棒立ちのままアラクネを見ていると、アラクネが蜘蛛の足を動かしゆっくりと俺に近づいてきた。


 俺は固まった体をなんとか動かし後退を始めた。しかし、俺の後ろにあるのは玉座。かかとが玉座にあたり、また玉座に座り込んでしまった。


 その間にもアラクネは俺へと近づき、両者の距離が近づいていく。やがて、俺の数歩前まで進みその歩みを止めた。


 そして、アラクネは蜘蛛の足を折りたたみ、人の頭を下げて透き通った美しい声で言った。


「ようこそおいでくださいました。蟲王様」


 その言葉をきっかけに、俺に追随していた虫たちも姿勢を下げひれ伏す形となった。それはまるで王と謁見する姿のようだ。


「えっと…なにが?」


 一人状況の掴めない俺はこんなふざけた応答しかできなかった。普通なら話を聞いていなかったともとれる失礼な発言だ。しかし、アラクネはそれを意にも介さず冷静に答えた。


「私たち虫の頂点たる蟲王様である貴方様がお越しいただいたことに感激しているのです」


「蟲王?」


 意味の分からぬ言葉についつい質問してしまった。


「蟲王とはその名の通り、虫を統べる王のことです。我々虫の生与奪権を含めた全てを支配することのできる存在です」


 なにそれとしか思えなかった。蟲の王なんて言われても身に覚えがないし、そもそも俺は虫なんかじゃない。


「なんで俺が蟲王なんだ?」


「なぜとおっしゃられましても、申し訳ありませんが私には説明できません。」


「そうなんだ…」


「しかし、貴方様が蟲王であると確認することはできます。」


「えっ、どうやって?」


「ご自分のステータスを確認なされば良いのです」


 は?ステータスってなんだそりゃ。ゲームか何かの話をしているのだろうか。俺にはアラクネの言っていることがさっぱりわからなかった。それが態度に出ていたのかアラクネが答えた。


「ステータスとはご自身の能力などが書かれたもののことです。集中して自身の内側を探るイメージをすれば見ることができます」


 ほう、そんなものがあるのか。俺はアラクネが言ったことを、早速試してみることにした。


 言われた通りに目を閉じて集中していると目の前に半透明なプレートが現れ、文字が浮かび上がった。



【名称】 カナデ

【種族】 蟲王

【ランク】ERROR

【LV】 1


【HP】 30

【MP】 200

【力】  15

【魔力】 200

【防御】 10

【俊敏】 15

【治癒】 1000


【スキル】 

『毒無効LvMax』『超再生LvMax』

『眷属支配LvMax』『眷属召喚LvMax』

『不老LvMax』『孵化LvMax』

『言語翻訳Lv3』『眷属創造Lv1』

『逆鱗Lv1』『王魔法Lv1』

『蟲王Lv1』


【称号】

『蟲王』『虫使い』『幼体』

『超越者』『ポイズンイーター』



 うおっ、これが俺のステータスか。異様に治癒が高いが、強いのか弱いのか良くわからないな。ランクという欄がERRORになっているのはどういうわけなのか。でも、確かに種族が蟲王になっている。人間なら人と書かれるはず、ということは本当に俺は人間じゃないのか?


「本当に俺が蟲王なのか?」


「はい、間違いありません。我々眷属には蟲王様の存在を本能的に感知できますので」


 まじかー、どうやら本当くさい。蟲王になったからといって体に変化があったわけではないのだが、自分が蟲王だと実感するとなんか気持ち悪い。虫の頂点ということはゴキブリたちの頂点でもあるわけだ。いや、これ以上蟲王の欠点について考えるのはやめよう。気分が悪くなるだけだ。


 ステータスについても聞きたいことがいくつもある。なにから聞こうかと悩んでいるとアラクネが発言した。


「失礼ながら申し上げますが、ステータスについての疑問もお待ちのご様子、初めにダンジョンコアから情報を受け取ってはどうでしょうか?」


「ダンジョンコア?」


「はい。蟲王様が持っていらっしゃるその赤い宝珠のことです。」


「ああ、これか」


 どうやらこのおっかない赤い球はダンジョンコアというらしい。俺はダンジョンコアを手のひらで転がしながら尋ねた。


「どうやるんだ?」


「ステータスの開示と似ております。ダンジョンコアの中に意識を向ければ自然とわかるはずです。」


「ふーん。わかった、やってみよう」


 俺はダンジョンコアへと意識を向けた。すると少しずつ情報が流れ込んできた。感情の濁流と似ているけれど、これは緩く穏やかだ。


 そうして、1分ほど情報を受け取ると自分自身が少しだが、明確に変わったのを感じた。不思議に思い俺はもう一度ステータスを確認した。



【名称】 カナデ

【種族】 蟲王

【ランク】ERROR

【LV】 1


【HP】 30

【MP】 200

【力】  15

【魔力】 200

【防御】 10

【俊敏】 15

【治癒】 1000


【スキル】 

『毒無効LvMax』『超再生LvMax』

『眷属支配LvMax』『眷属召喚LvMax』

『不老LvMax』『孵化LvMax』

『言語翻訳Lv3』『眷属創造Lv1』

『逆鱗Lv1』『王魔法Lv1』

『蟲王Lv1』『鑑定Lv4』new!


【称号】

『蟲王』『虫使い』『幼体』

『超越者』『ポイズンイーター』

『ダンジョンマスター』new!


 やはり、少し変わっている。スキルと称号が一つずつ増えている。しかし、俺は驚かなかった。ダンジョンコアから、この瞬間俺が何になったのか情報を得ていたからだ。


 俺が何になったのかは称号を見れば明らかだ。そうダンジョンマスターだ。


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