第8話 [攻略]
ダンジョンの中には先が見えない大きな階段があった。
イヤ、それしかない。
階段を上がるのが面倒だと慶一は後ろを振り返り出入り口を探したが、どこにも無い。
慶一は頭を抱えて言った。
「アァァァァ〜、そうだった! 出口は最深部にあるんだった!」
そう、ダンジョンはボスを倒して攻略するまで出られないのだ。
「シス、早くこんなダンジョン攻略して外に出るぞ!」
そう言って慶一は走り階段を上がって行く。
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「ハァ、ハァ、なんでどこにもモンスターがいないんだ?」
慶一は不思議そうに考える。
頂上に着いた慶一達は周りを見渡す。
そしてある物を見つけた。
「オォ、あんな所に宝箱が!」
シスは宝箱がある所に走って行った。
そして宝箱を開ける。
すると、壁からモンスターがうじゃうじゃ出て来た。
「そういうことか、トラップボックスがあったからモンスターが居なかったんだ!」
ダンジョンに出てくるモンスターは千匹だと限られている。
そんなことを考えている内に、逃げ場が無くなっていた。
「フッ、攻略不可なダンジョンなんてこの世に無いんだ」と言いながら、逃げ場を探す慶一。
「シス、その宝箱の中を調べてくれ!」
そう言われ宝箱を調べるシス。
すると、
「慶一! 宝箱の底が開いて、下の階が見えるよ!」
「出来した!」そう言って宝箱の中に飛び込む慶一とシス。
「うわ、高い!」
このまま落ちたら確実に死ぬ。
慶一が叫んでいる中、シスは地面に向かって魔法を使った。
「風魔法 飛竜のはばたき!!」
すると、ふわりと空中で身体が浮いた。
そしてゆっくりと地面に着地する。
「おいシス! お前風魔法使えたの!?」
シスはコックンと頷き言った。
「攻撃には向かないけどね……」
そんなことは良いと慶一はシスに泣きながら感謝する。
「ありがとう、ありがとう。シスが居なかったら絶対に死んでた」
シスは抱きつく慶一に「早く行こう〜」と言う。
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しばらく歩いていると、大きな扉が見えた。
慶一は走りその扉を開けた。
そこには、外への出口があった。
そして、ダンジョンのボスが居た。
しかし今は寝ている様だ。
慶一はその隙にボスの口の中に手を突っ込み、魔法を使った。
「ラムズ!! ラムズ!!」
シスはそんな戦い方をする慶一を見て、一歩引いた。
ボスは丸焦げになった。
そして出口への扉がゆっくりと開いた。
慶一がダンジョンを出ようとした時ある物が目に止まった。
「ん? あの紙切れは?」
「勇者がパーティーから外されたそうです」を読んでくださりありがとうございました。
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