第1章 [プロローグ]
「どうしてお前なんかが勇者なんだよ……」
俺はこの言葉をパーティの皆んなに最低でも一日に三回は聞かされている。
そして今日、勇者である俺がパーティから外された。
別に悲しいなどという気持ちは一切ない。
いつかは今日のような日が来るだろうと心構えていたからだ。
逆に肩の荷が下り、気持ちが晴れ晴れしている。
そう、最初から勇者などという名は俺にはふさわしくなかったのだ。
そんなことを思いながら元パーティの前から立ち去ろうとしたその瞬間だった。
「もう足手纏いな存在が消えたぜ!!」
「今日は宴だ〜!!」
「やめなよ、まだ居るんだよ。あの 、の•ろ•ま•が!!」
などの会話が聞こえた時だった。心の奥底で悲しみや怒りなどとはまた違う何かが……。
身体がゾクゾクするこの気持ちは何だろう。
今まで感じたことのない感情が生まれた。
今思えばそれは憎しみだろう。
俺はその瞬間から固く決意した。
いつかこいつら全員に復讐してやると。
そして俺は元パーティの前から立ち去った。