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みんなで綴る物語  作者: サラサ
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小参期3

「ミズ、もっと丈夫な剣が欲しいんだが、獣人に鍛冶職人はいるのか?」

「う~ん。鍛冶職人はいるけど、武器は作ってないよ?包丁とか(はさみ)ならあるけど、父さんが使うような剣は東の大陸に戻って買う方が良いんじゃないかな?」

「それだと同じ剣にしかならないから、別のいいやつが欲しいのよね~?」


「異世界の剣が結構良かったんだが、使える金が無くて買えなかったんだよ。何か換金出来れば買えたんだが...」

「ああ、そっか。でもその辺の魔物倒して換金出来なかったの?」

「それが~、魔物倒すと何も残らないのよ~。消えて無くなっちゃうの。向こうの世界の人が倒すとちゃんと残るのよ~?何でかしらね~?」

「そこそこ強いやつは残ったから、鱗とか爪とか牙を取れたんだが、買い取ってくれなかったんだよ。」

「結構良い素材だと思ったんだけどね~。売れないならって崖から棄てたら回りの人が焦ってたわね~。」

「ああ、どうやら不法投棄はダメみたいだな。その後は倒して残った魔物はさらに攻撃すると消えるのが分かったから、消すことにした。」


 う~ん。普通の魔物が残らないのは、父さん達が強すぎて消滅してるだけだと思う。

 それに、父さん達がそこそこ強いというのはかなり強い魔物だろうから、その素材は高すぎて普通の行商人には買い取れなかっただけな気がする。


「異世界の魔物の素材は気になるから、売れなかったら持ってかえってきてよ。それに、宝石とか金とかなら異世界でも使えるんじゃないかな?今度持って行って試してみたら?」

「ああ、次はのんびり回るつもりだから、色々やってみるつもりだ。何か冒険者ギルドとかいうのがあるらしいし、自由に回るなら冒険者として登録してもいいし、魔王討伐だけならどっかの国に短期で傭兵として雇われるのもありだな。」

「さっき行った世界の魔王ってあちこちにいっぱいいるんですって。特に悪さすることもなく友好的な魔王も多いそうなのよ。」


「え?父さん達、いきなり戦闘して倒してたみたいだけど、良かったの?」

「ガチで真剣勝負しただけだからな。頭切り落としても死なないって言ってたしな。大丈夫だろ。」

「そうね~。生首になっても『楽しかったまたやろう』って言ってたから、平気でしょ~。」


 ふむ。異世界の魔王は不死なのか。

『魔王は不老不死にしたのか?』

 人と獣に問いかけてみた。


『はい。ミズ様。人口調整用に魔王発生を促しているのですが、余り発生しない世界は魔王を不老不死にしています。』

『ミズ様のいる世界はあと10年で魔王発生予定です。すでに候補のものは何体かいます。』

『ほう。この世界にも魔王が誕生するのか。』


『はい。ミズ様。そちらの世界の魔王は主に病原菌を撒き散らして人口を減らすタイプです。』

『人口が増えてなければ獣人にワクチンを作らせます。増えすぎていれば人口が二割減るまで病原菌を拡散します。』

『天罰で人口は大分減ったから拡散は無しだな。ワクチンは作らせておくか。』


「ミズ、どうした?不快だったか?声聞こえなかったなら首が飛ぶ映像だけだろうから、気持ち悪いよな?」

「ごめんね~。大丈夫?ご飯食べられる?悪夢見ちゃいそうなら今夜はお母さんと一緒に寝る?」


 人と獣と意思疎通していて黙りこんでいたから、落ち込んでいるように見えたのか両親が様子を伺うように見てきた。


「ううん。大丈夫だよ?ちょっと考え事してただけ。」

「そうか。なら昼飯食いに行くか。」

「そうね~。お母さん、お腹空いちゃった。」


 妹弟、甥っ子、姪っ子も連れてみんなで食堂に行き、お昼ご飯にすることにした。



「そういえば、コクヨウ達はどうしてる?」

「三人娘ちゃん達はしばらく帰って来ないのよねー。」

「コクヨウ兄さんとムツキ姉さんとヤヨイ姉さんは夜には戻って来るはず。キサラギ兄さんとイワナガはお城に連れていかれて歓迎会に参加するって連絡があったし、ウツキ兄さんとコノハナとサクヤは町中散策して今日は教会に泊まるって連絡があったよ。婚前旅行組は何事もなければ2~3ヶ月は帰ってこないと思うよ。」


「城か...大丈夫なのか?」

「そうね~。ちょっと心配ね~。」

「お城だと何か問題なの?礼儀作法とか?」


「いや、平和ならさほど問題ないが、そうじゃない場合利用される可能性が高い。俺も良く使い回された。」

「そうね~。キサラギちゃんは強いからね~。イワナガちゃんを人質にされたら、いいように駒にされちゃうわね~。」

「イワナガは結構強いよ?人質にされるような状況だったら逃げ出すと思うけど?」


「ああ、でもまだまだ子供だ。いくらでもやりようはある。」

「そうね~。料理に睡眠薬とか~。寝てる間に拘束しちゃえば抵抗できないしね~。加護があっても傷がつかないってだけだから、催眠とか洗脳とかは受けちゃうし~。」

「...なんだか心配になってきた。こまめに連絡とってみる。」




 ちびっこ達を昼寝させてから両親が武器の調達に出掛けたので、キサラギ兄さんを覗いてみた。

 どうやらイワナガは側にいないようで、大きなベッドに一人で横になっていた。


<中兄、聞こえる?>

<ん?ミズか?>

<お城に連れていかれたから父さん達が心配してたんだけど、大丈夫?>

<あぁ、特に問題ないぞ。親切にしてもらってる。>

<そう。イワナガはどうしてる?近くに見えないけど。>

<ん?イワか。多分お姫様達と一緒にいるんじゃないかな?もう7日も会ってないけど伝言だけは毎日届いてる。>

<7日?こっちはまだ7刻ほどだよ?>


 キサラギ兄さん達が行った世界は、一日がこちらの一刻になるようだ。

 今の連絡もずれが生じているはずだが、時空精霊が干渉してくれているから遅延はない。

 イワナガの様子も確認したいので、光精霊達に移動してもらいながら城内を見ていると、色々と見てはいけないものが映っていた。

 服装から多分王子だと思われるが、彼らも父のように情が深いようだ。

 一部屋づつ中を確認していって漸くイワナガを発見した。

 回りに他の人間がいるので連絡は取れないなぁと眺めていると、先程見た王子達がやってきた。

 何を喋ってるか聞き取るため、風精霊達に音声も届けてもらう。


「ご機嫌いかがかな?巫女様。」

「そろそろ承諾してくれる気になったかい?」

「貴女は神の花嫁にこそ相応しい。」

「残される勇者様は妾が責任を持って降嫁するので問題ないぞよ。」

「えっ?!姉様!勇者様は私の婚約者よ!」

「いいえ、姉様達よりも私の方が年齢が近いから私の婚約者です。」

「皆様。私とキサラギ様は実質婚姻を結んでおります。残念ながら処女ではないので神の花嫁にはなれませんし、キサラギ様の第一婦人は私ですので、降嫁されるのでしたらお姫様達は第二婦人以降で受け入れましょう。」



 キサラギ兄さん、いつの間に?!

 いつイワナガとそういう関係になっていたんだ?

 全く気がつかなかった。

 まさか成人の儀式の時か???

 いや、あの時は我慢したと言っていたはず。



「えっ?処女じゃない???」

「うそ?まだ10歳だよね?」

「勇者が幼女趣味とは。」

「一夫多妻なのかえ?でも妾は姫だから、妾が正妻で妹達が第二第三で、そなたは第四婦人よの。」

「結婚出来るなら第二でも良いかな?」

「姉様達。私達が同じ方に嫁げる訳がないでしょう?姉様達に隣国から婚約の打診が来てると聞きましたわよ?なので私が正妻です。」

「私の国では10歳で成人です。成人の儀式も終えているので妊娠出産も可能です。また私の国では正妻というのは無く、結婚した順番で呼ばれるので私が第一婦人です。第一でも第四でも特に差はありません。」



 うん。母さん達に上下関係は無いな。

 子供のいない母さんも僕たちを可愛がってくれているし、僕らもどの母さんも母さんと呼んでいる。

 ただ、一夫多妻は婦人同士で寵愛の奪い合いをするし、気持ちが離れると簡単に別の夫を求めるから、妻達を繋ぎ止めておける男性は余り多くない。



「仕方ないね。神殿に上げるのは諦めるしかないけど、代わりに魔王の生贄(いけにえ)になってもらうよ。」

「可哀想に。残念だよ。」

「生贄は女性であれば良い。年齢も純潔も関係無い。汚された貴女に相応しい。」

「不憫よのう。短い付き合いじゃったのう。」

「落ち込む勇者様は私が癒して差し上げましょう。」

「まあ!流石巫女様。自ら進んで生贄を代わって差し上げるのですね!今年の生贄候補の乙女達が喜びますわ。」

「生贄って何ですか?私を害することは不可能ですし、そんなことをするとこの国は滅びますよ?」



 うん。【絶対防御】を付けたから大丈夫だよね?

 後、兄さん達を良いように使うつもりみたいだから、ちょっと警告しておこう。



<その者を利用することは許さない。すぐに解放しないと天罰を下す。>


「何だ?どこから聞こえる?」

「天罰だって?」

「神を語るつもりか。どこだ?」

「神様かえ?」

「御神託は二人の支援だけだったはずよ?」

「優しい巫女様は生贄の交代を希望するでしょうから、支援して差し上げてるだけですのに。」

「生贄など希望しません!キサラギ様の所に連れていって!」



 やはり言葉を告げるだけだと神とは認めてもらえないようだ。

 イワナガに付けられている装飾品が魔法を封じているようなので、光精霊達に光線で焼き切ってもらった。



「な?!」

「何だ?」

「光が!」

「えっ?」

「熱っ!」

「痛っ!」

「あぁ、やっと自由になれた。『氷よ!』」



 光線で焼き切るついでに第二王女と第三王女にもちょっと光線を当ててもらった。



<ミズ、助けに来るのが遅いです。>

<ごめんね。こっちとそっちの時間の流れが違ってるなんて思わなくて。まだ一日目の昼だと思ってた。>

<そう。時間の流れが違うのね。疲れたからキサラギ様を連れて一度帰るわ。>

<分かった。>



 光精霊達にキサラギ兄さんのいる部屋まで先導してもらって、合流できたところで簡易ゲートを繋げた。

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