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みんなで綴る物語  作者: サラサ
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小弐期8

 武闘大会の予選が始まった。


 各国で同時に行った選挙も無事に終わり、代表が決まったので、共和国設立を内外に通知して記念式典が各地で開催されている。

 便乗して色々なお祭りも催されていて、どの国も活気があった。

 我も色々と見て回りたいのだが、各国を結ぶ空路も一般市民に無料開放中なので、空路の管理で忙しい。


『ミズ様。人間が多すぎて運ぶ入れ物が足りないようです。』

『土精霊に造ってもらって!』


『ミズ様。運んだ人間のうち、何人かは具合が悪くなっています。』

『獣人の医者を配置するから、具合が悪くなった人間は医務室に運んで!』


『ミズ様。興奮した妊婦が出産しそうです。』

『ミズ様。こちらは出産しました。』

『何で出産間近な妊婦が乗ってるの?!搭乗制限かけて!妊婦さんはダメ!出産した妊婦さんは医務室運んで!陣痛中の妊婦さんはまだ持ちそう?』


 発着所に医務室を急遽作ったけど、移動用の箱にも医務室を作って医者を常駐させた方が良いようなが気がしてきた。


『土精霊、内装変更して!一角を区切って医務室を作って!』

『今飛ばしてるのは到着してから変更して!待機しているのはすぐに変更して!人間が乗り込んじゃってるのは一回外に出てもらって!』


 お祭り騒ぎは一年間継続される予定なのだが、混雑が予想される開催直後はもっと規制すれば良かった。

 武闘大会も毎月開催される予定だし、陸上競技大会も競馬も毎日どこかでやるはず。

 でもやはり最初は注目が集まるという事か。

 会場の人数制限で溢れた人間達が暴動をおこしたり、届け出のない露店があちこちに出ていて取り締まりの兵士が足りない状況だった。

 空路も、今の期間だけ無料で各国の首都を行き来出来るからと、商人が大量の商品の運搬に使っていて、観光客から苦情が届けられた。


『持ち込む荷物の制限かけて!ああ、お土産はどうするかって?体積と重量に比例する料金をもらって!いくらって?もう!知らないよ!』


「ミズ、手伝いましょうか?」

「ミズっち機嫌悪い?」

「怖い顔~」


 イライラしながら念話していたら三人娘達が手伝ってくれた。

 料金は荷馬車で運ぶ時と同じに設定して、持ち込めるもののは手荷物程度のリュック一袋とし、大きい荷物は外に置いて一緒に飛ばすことになった。


「とりあえず空路はこれでいいいか。治安維持の方は傭兵や自警団にも手伝ってもらってても足りないって話だし、なんとかできるなら何とかしたいよね。」

「そこは大人に任せていいのでわ?」

「いい加減遊びにいきた~い。」

「賛成~♪」


「そうだぞ、ミズ。何から何まで世話をしていたら、いつまでたっても頼ってばかりの駄目な国になってしまうぞ。」

「大丈夫よ。ミズちゃん。多少の死傷者はお祭りにはつきものよ。それにみんな自衛してるから一般の人達には被害はないでしょ?」

「大兄、大姉、それがそうでもなくて。子供に被害が出てるから、何とかしたくて。」


「どういうことだ?」

「何かあったの?」

「中兄、中姉。それが迷子になった子供を拐ってる人間がいるらしくて。」


「捕まえましょう。」

「抹殺しましょう。」

「小兄、小姉。捕まえたいんだけど手際が良すぎて。迷子の親を探してあげてるように見せかけて連れ去ってるらしくて。しかも子供を寝かせて空路で飛んでから荷馬車で運んでるみたい。」


「連絡つく前に運び去ってるのか。」

「大手の人身売買組織みたいね。粗方潰したと思ったけどまだ残ってたのかしら?」

「父さん、母さん。」


『ミズ様。集められた子供達を船に乗せるようです。これは、別の大陸に行く船ですね。どうされますか?』

『今すぐ出港停止にするように伝えて!獣人達に海上封鎖してもらって!』


「別の大陸の組織みたい。船で運ぼうとしてるようだよ。北大陸行きにも南大陸行きにもいるみたい。別の組織?なのかな?」

「北も南も西も、人手が足りてないから人さらいが多いな。人身売買が普通に行われている所もある。」

「私も捕まって勝手に売られそうになったわ~。全員叩きのめして逃げたけど~。」

「ああ、俺も寝てたら手枷と足枷が付いてた事があったな。」

「父さんや母さんでも捕まるなら子供なら簡単に捕まってしまうよ。何とかしないと。」


「ミズ、俺たちはこれから武闘大会の予選があるが、手が足りないなら手伝うぞ?」

「そうね。来月参加でもいいし。」

「中兄、中姉。ありがとう。精霊達がいるから、手は足りてる。どうするかの対策案を一緒に考えて。」


 どちらかと言わなくても脳筋な両親と兄姉達では捕まえて潰す以外の案が出てこない。


「大本を潰すのは分かるけど、潰しても新しく別の組織が出来て同じ事をするんでしょ?」

「まあそうだろうな。一月前には全滅させたのに別の大陸にまで来るんだから、新しく大手になった組織があるんだろ。」

「無事だった農村から老人と乳幼児以外の者達を徴兵してるのは見たわ~。」


 信じられないことに、母親だけでなく子供も五歳位から労働させるために連れていかれていたそうだ。

 母親を連れていかれた乳児は村の老人達が家畜の乳を与えていたが、お腹を壊すことが多く、脱水症状が酷い子は死んでしまうらしい。

 天罰とはいえ、その後の状況が悪すぎる。

 この大陸は壊滅に近いけど、他の三大陸はそこまで酷くなかったはず。

 教会を排除しようとした街は半壊させたと聞いているが、全部の建物を半壊ではなく、街の半分を通るように竜巻を発生させただけなので、街の機能も停止していないし、発生から通過まで時間があったから死者もそれほど多くなかった。

 首都はここと同じ雷の嵐で火災も発生したから壊滅に等しいかもしれないが、それでも母親と子供まで強制労働に連れていくのは信じられない。


「父さん、北や西や南の大陸の首都は行った?どんな感じ?」

「ああ、建物は全壊してたから撤去作業をしていたな。仮設のテントが一杯あったぞ。」

「首都に住んでいたお金持ちは近隣の街の無事だった建物に引っ越ししてたわね。住んでた人間を追い出してたのが気に入らなかったわ~。」

「ああ、俺も見たわ。使用人も主人の身代わりに人間の盾として使い捨てたから足りないってどっかから強制的に連れてきてたみたいだった。あれは農村から連れてこられた人間達だったのかもな。」


 別の大陸にも復興支援で少し手伝ったのに、ここまで酷いままとは。

 衣食住は整ったからと安心していたのだが、人員不足だからといって農村から強制的に連れてきたら、作物を作る人間が足りなくて食糧難になるのではないだろうか?

 食糧はまた支援してもらえると思っているのだろうか?


「コクヨウ兄さん、他の大陸との交易ってどうなってるか分かりますか?」

「ん?どうだったかな?詳しくは知らないが、確か交易は増えたと言っていたな。」

「ミズっち、交易知りたいの?最近は食糧に需要があるよ~。値段も普段の二倍♪」

「そうですね。このままいけば五倍位まですぐに上がりそうです。収穫期はもうじきなのに、作物が育ってないそうです。狩猟に出る人数も少ないらしく、肉や魚も品薄ですね。」

「他所の大陸の方が高く買ってもらえるから、今年の収穫はほぼ輸出に回されるかもって言ってたよ~。」


 この大陸の市場でも食料品は少しづつ価格が上がってきているらしい。

 余剰分を売るのはいいが、国内流通分まで売るとこちらが食糧難になってしまう。

 生産者から直に買い付けて回る商人達に、輸出は控えるように規制をかけるべきか。


「商人達に輸出しないように言っても駄目かな?食糧を他所に売られちゃうと自国の分が無くなっちゃうよね?」

「皆がそう思うように商人達も分かっています。品薄になれば国内も価格が高騰するので、自国でさばく分はちゃんと取っていますよ。」

「別の大陸に輸送するのはお金かかるしね~。こっちで高く売れるならその方がいいと思うよね~。」


 去年までの穀物はそれなりに備蓄されているそうで、今年収穫される分を輸出してもまだ国内消費より多いらしい。

 天罰で人間が減ったので大分余剰があるそうだ。

 儲け第一なので正直に余ってるとは言わないで、儲けられる時には儲けさせて貰うということらしい。


「う~ん。お金のない人は買えなくなっちゃうのは困るから、程々にしてもらって。余り酷いと獣人の国から食糧持ってきて配給しちゃうよ?売れなくなったら困るでしょ?」

「ええ。その辺は父達も分かってると思いますよ。」


『ミズ様。出港停止中の船はどうなさいますか?』

『子供が行方不明になっている両親を連れていくまで待つように』


 忙しくてワタワタしていたが、ようやく落ち着いてきた。


「ミズ、私はそろそろ予選に行きますが、終われば暫く間が空くから手伝いますよ?誘拐犯を処分しますか?」

「いや、他国の人間をこちらの法で裁けないだろう。捕まえて送り返すしかないな。」

「大姉、大兄、こっちは何とかするから、予選頑張って!応援に行けないけど映像は運んでもらうから、ここから応援するよ!」


 武闘大会は予備予選で16384名に絞り、予選で8グループに分けて上位16名×8の128名が本選に出場する。

 我の家族は実力が認められているので、予選から参加することになっていた。

 しかも予選でぶつからないように全員グループは別に分けられていた。


 武闘大会

 ・予選第一グループ(コクヨウ)

 ・予選第二グループ(ムツキ)

 ・予選第三グループ(キサラギ)

 ・予選第四グループ(ヤヨイ)

 ・予選第五グループ(ウツキ)

 ・予選第六グループ(サツキ)

 ・予選第七グループ(父)

 ・予選第八グループ(母)


 今日は午前中に予備予選のバトルロワイヤルから勝ち上がってきた人間達をグループ分けし、午後から予選が開催される。

 予選会場は各国に一つ、この国に三つの八ヶ所で開催される。

 第一グループと第七第八グループはこの国の会場なので、コクヨウ兄さんと父と母はそれぞれのグループに分けられた。

 他の兄姉達はそれぞれ代表を務めていた国の会場になるようにグループ分けされた。

 参加者の移動は空路だと数刻かかるので、グループ毎に各地に転移して貰うことになっている。

 観戦者は空路でしか移動できないので、グループ分けの発表から出場者の転移集合時間まで数刻あけてある。


「いってらっしゃい」

「「おう!行ってくる!」」

「「「「「「行ってきます」」」」」」


 家族を送り出したので今後の対策を考える事にした。

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