小弐期6
北の大陸は寒い。
北と南の大陸は東や西の大陸と比べてとても広いのだが、寒すぎて人間が住みにくい土地が多いらしい。
環境が厳しい土地の人間達は協力して生活する風習があるらしく、旅人にも色々と無理な頼み事をしてくるらしい。
行商の商人達は、商品をほぼ無料で持っていかれるので極寒の地あたりにはめったに近寄らないそうだ。
北の大陸の首都や大きい町等は南側に片寄っていて、そこの人間達は普通に暮らしている。
父がこの大陸にいるというので、回収に来たのだが、北端の部族に囲われていて連絡もままならない。
強い男性は皆の夫ということで、全員に子供が出来るまで捕まったままらしい。
父ほどの強さがあれば逃げられると思うのだが、歓迎の宴で出されたお酒に薬を盛られて数人と関係を持ったあとは部屋に軟禁され、見張りの兵も女性で逃がしたら酷いことをされると泣きつかれて逃げられずにいるらしい。
光精霊と風精霊から映像と音声を受け取り、こちらからは光精霊で伝言を送っている。
今のところ子供が出来る可能性は無いと言っていたが、抱いてはいるらしい。
我の兄弟が増えすぎるのはどうかと思うので、父を回収したら【精子死滅】の加護をつけておこう。
「父さんを拐ってくるのは簡単だけど、見張りの女性に被害が出るのは父さんが嫌がるからしたくないなー。どうしようかなー?いい案ある?」
夕飯時にシェーシャ母さんと三人娘達に聞いてみた。
「パールさんがつれ戻してくれると思うから、少し様子見してみたら?」
「「賛成~♪」」
「あの地は商人達の敵なので関わりたく無いです。子供が行けば保護という名目で捕まるし、綺麗な女性が行けば皆のものと言って囲われるし、強い男性も同じですね。」
「え?母さんが行っても危ないんじゃ?」
「パールさんは強いから大丈夫でしょう。子供を産む女性が一番地位が高い部族ですから、族長の女性と決闘する形になると思います。勝てば旦那様を連れて帰っても大丈夫なはず。」
なんだか不安だけど、母さんに連絡を取って船に連れてくることにした。
「ミズちゃん、久しぶり。大きくなってーないわね。相変わらず可愛いわ♪」
「母さん、父さんの居場所分かってる?」
「分かってるけど途中の邪魔が多くて、なかなか辿り着けないから助かったわ。」
何でもいく先々で歓迎からの集団暴行されかけ、蹴散らしながら旅をしていたらしい。
「連絡くれれば風精霊で運ぶのに。」
「そうねー。でもあんまり子供に頼ってばかりじゃかっこ悪いじゃない?」
「そう?」
「そういうものよー?」
とりあえず母さんを船内に案内して、ちびっこ達を連れてきてもらった。
「かーちゃ!」
「おばあ様。こんにちは。」
「こんにちは?」
「あら、みんないるの?ホタルとクジャクは?」
「二人は姉さん達と一緒だよ。まだ小さいし、母親が一緒の方が良いでしょ?」
「ごめんねー。母親失格ね。ミズちゃんに任せきりで。」
「姉さん達も最近まで僕任せだったよ。今は子守り精霊任せだから、あまり変わってないよ。というか悪化してる気がするよ。」
母も夕飯は食べた後だというので、娯楽室で団らんしつつ、父の奪還について話し合った。
逃げようと思えば逃げられるのに、逃げないのは居心地がいいのでわ?という話しになって、強制回収することに決まった。
見張りの兵の罰はどの部族も3日間の食事抜き程度のだと母が言ったので、気にすることなく回収することにした。
「おお、ミナツキ元気そうだな。大きくなったか?」
「お久しぶりです。あまりフラフラしないで下さい。この船が完成したので、一緒に世界を回りましょう。」
「旦那様。ようやく会えました。いく先々で色々と話を聞きましたよ。」
「ああ、久しぶりだな。元気だったか?いつぞやは妊婦を押し付けてすまなかったな。」
「私よりもミズちゃんが苦労してました。謝るのならミズちゃんにしてあげて下さい。」
「ああ、ミズすまない。」
「別に大丈夫です。不愉快な思いはしましたが、これも経験ですから。それより父さんに【精子死滅】の加護を付けましたから、もう子供は出来ませんよ?」
「ほう。まあ別に構わないな。不能になってなければ。」
「旦那様。お久しぶりです。ちゃんと機能するか私で確認してほしいです。」
「ああ、シェーシャ久しぶりだな。ここにはシェーシャとパールだけか?」
「ええ。二人だけです。」
「じゃあ二人同時でいいな。ミズ、俺の部屋はどこだ?」
「家精霊に案内させるよ。他にも用事があったら家精霊に言って。気がすんだら話があるから教えて。」
「分かった。じゃあ3日後位に。」
「えぇ~?。嘘でしょ~?」
...真面目に3日待つことになった。
父母達が籠って出てこないので、その間の子守りと北大陸の調査をコツコツ進めた。
途中、コクヨウ兄さんから競技場建設と武闘場建設と競馬場建設の相談を受けたりした。
「ミナツキ、待たせたな。で、何の話だ?」
「あぁ、うん。この船には転移装置を付けてあるから、ここから何処の大陸の場所にも行けるんだ。だから家族でここに住もうって話しになってる。だから父さんもここに住んで?」
「ほう。それは便利だな。分かった。で俺の他の嫁達はいつ頃来るんだ?」
「コクヨウ兄さんの手伝いをしてるから、建国が落ち着いたらかな?聞いてみるよ。」
「おう。北の連中も気にしてたな。いつ頃になりそうだ?国交使節団を派遣するって言ってたな。」
「もうすぐかな。今は建国を祝う祝典用に色々と建築してるとこだよ。武闘場では武闘大会をする予定だから、父さんも参加してね。」
「おう。それは楽しみだな。」
父さんに船内を案内しながら建設予定の競技場や武闘場の話をした。
一通り案内した後はコクヨウ兄さんの所に行くというので、転移装置で送った。
ちなみに母達が部屋から出てこれたのはさらに3日後だったりした。
競技場は速さを競う短距離・中距離・長距離のトラックと槍投げやハンマー投げ等の投擲をするフィールドの陸上競技場と同じく速さを競うが、水泳をする水泳競技場を建設中だ。
ついでに娯楽系の競馬場も建設しているが、作業する人間達が競馬好きなのか、競馬場が一番早く完成した。
各地から馬を集めて早速練習を始めてもらっている。
「ミズ、こっちの図面を確認してくれ。ボート競技場を作ってくれと言われてるんだ。あと、海上の禁域解除されたから、商人達から航路の見直し依頼が来ている。頼めるか?」
「大兄、人使い荒いよ。あと僕まだ子供だよ?良いの?」
「いいんだ。ミズ以上に優秀な人材がいない。まだまだ育成途中ばかりだから。」
「僕、汚染大陸の復興中で忙しいんだけど。しょうがないな~。」
「ありがとう。ミズ。今度旨いもの食べに連れていってやるから頼んだ。」
建設中の見学に寄ったら、コクヨウ兄さんに捕まって色々と手伝わされた。
母さん達は父さんが来たので部屋から出てこなくなってしまったそうで、人手不足に陥っていた所だったようだ。
予定より遅れている武闘場の客席部分は土精霊にお願いして完成させた。
とりあえず建国式を開催する準備はギリギリで終わり、後は前日に共和国の代表を選挙で選ぶだけになった。
今までの代表は留任してもいいのだが、全員辞めると表明してるので、各国から代表一名補佐二名を選出してもらい、その中から代表一名をさらに選ぶ事になっている。
「やっと終われるわー。」
「疲れました。」
「ヤヨイ姉さん、サツキ姉さん、お疲れ様です。ホタル、クジャク、久しぶり。」
「「あぃ!」」
「あー。やっと終わりだー。」
「流石に大変でした。」
「キサラギ兄さん、ウツキ兄さん、お疲れ様です。」
「ミズちゃん!あ~癒される~。」
「ムツキ姉さん、お帰りなさい。お疲れ様です。」
ムツキ姉さんには抱き締められた。
みんな引き継ぎ用の書類作成が苦手らしく、四苦八苦していたらしい。
「後は引き継いで終わりです。もう少しの辛抱ですよ。終わったら家族で旅行しましょう。」
「コクヨウ兄さん、今日のお仕事は終了ですか?僕と三人娘達で商会を立ち上げることになったので、ご相談したいのですが、お時間ありますか?」
ヤ,サ:「「えぇー?」」
キ:「ミズ、商売始めるのか?」
ウ:「僕達も手伝うよ?」
ム:「ミズちゃんの事だから凄いもの売り出しそう。」
「うーん。魔道具はそれなりに出すけど、一番は人材派遣かな?家精霊達の管理をする必要が出てきて、育児精霊も増えたから商会で管理してもらおうと思って。僕も忙しいから細々とした管理は面倒で。三人娘達は日頃開発してる魔道具を売る気満々みたい。」
「ああ、今日はもう終わったから夕食後に相談に乗るよ。とりあえず、みんなでご飯にしよう。」
商会の代表は父になってもらい、コノハナとサクヤの親とイワナガの親の商会に後ろ楯になってもらうことになった。
「そういえば中兄、最近よく船に来るよね。イワナガと仲良くしてるの?」
「ああ、婚約者だしな。落ち着いたら結婚するつもりだ。」
「えぇ?早くない?イワナガまだ9歳だよ?」
「年が明ければ10歳だ。問題ないだろ?もう妊娠可能なんだし。」
「イワナガにはもう言ったの?僕何も聞いてないんだけど。」
「まだだ。引き継ぎ終わったら言うつもりだ。」
「う~ん。イワナガが抜けると研究が進まないよ~。昼間は研究に借りていい?」
「新婚旅行休暇はとらせてもらうぞ?三ヶ月な。」
「あ~やっぱりそのくらいとるんだ~。う~ん。コノハナとサクヤだけで進められるか心配だな~。」
「ミズちゃん、お姉ちゃん達が手伝うよ?」
「ありがとう大姉。でも魔法の研究だから魔力を扱えないと無理なんだ。気持ちだけ受け取っとくよ。学校の子達で使えるようになった子はいたかなー?」
来年早々に結婚する宣言されてしまったので、今度学校に行ったときにでも進捗を確認しておこう。
競馬場が完成したのが一番早かったせいか、早くレースを開催して欲しいとの嘆願書が多く寄せられるようになっていたので、選挙期間中から開催することになった。
兄姉達も馬に乗れるので、自慢の愛馬を連れてきて参加した。
結果、上位入賞を家族が独占していた。
第一レースの一位に父、二位に母、第二レースの一位に同着でヤヨイ姉さんとキサラギ兄さんが、第三レースの一位にウツキ兄さん、二位にサツキ姉さんが、第四レースの一位にムツキ姉さんが、第五レースの一位にコクヨウ兄さんが入っていた。
「...やらせ?」
「「凄いね~♪」」
「キサラギ様。格好いいです。」




