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みんなで綴る物語  作者: サラサ
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小弐期5

 東の大陸から離れて洋上に出たので飛行速度を上げた。

 乗っている分には分からないが、外から見れば鳥より早く飛んでいるのが分かるだろう。

 ここから学校に通うには風精霊に運んでもらっても時間がかかるので、海に出る前に獣人の国から転移装置をもらってきた。


「ミズっち、これで学校にすぐ行けるの?」

「学校直行の転移装置じゃないから、すぐは無理かな。教会に繋がってるから、協会から通う感じかな?」

「首都の教会から学校だと歩いて一刻位かしら?馬車か鉄道を使えばもう少し早くつくかしらね?」

「鉄道にしようよ!改良した機関車の試乗してないし!」

「そうだね。ご飯食べてから行ってみようか。」



 転移装置を起動して行き先を首都の教会に設定した。

 床から天井までの光の柱に触れると教会の地下に転移していた。


「獣人の国に行き来するやつとは違うね。」

「「そうだねー。」」

「少し驚きました。」


 こちらから船に戻れるか確認しようとしたら、弾かれて転移できなかった。

 どうやら一方通行のようだ。

 帰りは教会に置いてある転移装置に行き先を追加するのか。

 飛空船は移動してるから現在位置を把握していないと設定出来ない。

 位置固定しても転移するには船が停船していないと位置がずれるから船に転移できない。

 帰りをどうするか悩んでいたら司教さんがやって来た。


「ミズ様。皆様。おはようございます。」

「おはようございます。」

「「「おはようございます。」」」


「今日から通学開始ですか?」

「はい。週2日か3日位ですが、十歳までは通う予定です。」

「私は来年十歳なので、今年が最後です。」

「「私達は来年いっぱいで終了~。」」


「皆様、上の学校には通わないのですか?」

「学校は余り行く意味が無くてね。特別クラスは自習ばかりで自分達で研究開発するだけだし。」

「逆に先生として他の子達を指導しなくちゃいけないから、面倒です。」

「「だね~。」」


「皆様特別優秀なのですね。では、獣人の国の大学に留学してみますか?」

「え?いいの?人間は入国禁止でしょ?僕はよく行ってるけど、三人娘達もいいの?」

「「「私達もですか?」」」


「ミズ様の治療時に特例で入国しているので、多分大丈夫かと。ただ、すぐには受け入れできないので、ミズ様がこちらの学校を卒業される頃になるかと思います。」

「それでも良いです。先進国の技術を学べるのはとても楽しみです。」

「「やった~♪」」



 学校まで改良した機関車に乗車することにしていたが、人気が高すぎるのか混雑していて乗れなかった。

 朝夕は通院、通学、買い物客で混雑していているらしい。


「蒸気機関車は人気だね。まだ馬車鉄道も走ってるけど、遅いし揺れるから人気ないね。」

「馬車が線路にいると機関車が止まってしまうから、別の線路が欲しいところです。」

「退くのを待つ時間が結構長いよねー。」

「ね~。」


「うーん。線路を複線にして馬車を鈍行、機関車を急行扱いにすればいいかな?」

「「良いね!」」

「良いですね!えーと、何処に申請すれば良いのかしら?」


 共和国の中央政府が出来つつあるので、そちらに丸投げすることにした。

 まあ、資材の調達やら運搬やらでまた我に話が来そうではあるが、そろそろ自立してもらわないと自由に世界を回れない。

 少しずつ我の手掛けたものを政府に委ねていた。


「そろそろ授業始まる時間だけど、どうする?」

「せっかく来たのですから、とりあえず顔を出しに行きます。魔法の講義もずっと自習にしてましたし。」

「「そうだねー。」」


 三人娘達が授業に出ると言うので、学校まで風精霊に運んでもらった。

 我は相変わらず自習なので、帰路の転移装置の設定をどうするか考えていた。

 位置は光精霊に伝えてもらえばすぐ分かるので、後は移動速度に合わせて修正した位置を入力すれば良い。

 たが入力して光に触れるまでの経過時間でまたずれてしまうから、それも計算に入れないと駄目だ。

 数値の補正を自動で行う装置を開発すれば楽になるのだが、今すぐには出来ない。

 一日中、ああでもないこうでもないと試行錯誤していたら、もう帰宅時間になっていた。

 とりあえず今日は船の近くの空に転移して風精霊に船まで運んでもらう事にした。


「ミズ、お昼食べに来なかったけど、お腹すいてないですか?」

「あぁ、忘れてた。思い出したらお腹すいた~。早く帰ろう!」

「サンドイッチ取ってあるよ~♪」

「食べながら帰ろ~♪」


 学校から帰るときも機関車は混雑していて乗れそうもないので、また風精霊に運んでもらった。

 教会の転移装置におおよその座標を入力して転移すると、何もない海の上の上空だった。


「ミズ、ちょっと怖いです。」

「「ここどこ~?」」

「ごめんね。移動中の船の中に上手く転移出来ないから、外にした。近くに船が飛んでると思うけど、隠蔽してるから見えないね。」


 まあ見えても鳥より早く飛んでるから、すぐに通り過ぎてしまうだろうが。

 風精霊に船まで運んでもらって、無事甲板に着いた。


「にぃに、お帰りなさい。」

「ぉかえりなぁさい。」

「にぃに。お帰り~。」

「ただいま。ゲンブ。ハツキ、フミツキ。」


 甥、弟妹達の後ろの方にヒルコが隠れるように来ていた。


「ヒルコも迎えに来てくれたんだね。ただいま。」

「...」


 やはり返事はもらえなかった。

 三人娘達にくっついて内緒話のように小さな声で「お帰りなさい。」と言うのが聞こえたが、我に言ったのではないようだった。






『ミズ様。まもなく禁域にさしかかります。よろしいのですか?』

『ああ、汚染大陸の浄化をしてしまおうと思っている。ここが通れないと色々と不便だからな。』


 我は見える範囲でしか浄化を行えないので、禁域の周囲を回りながら汚染大陸の中心まで航行する予定だったのだが、久しぶりに【獣】と【人】から【意思】が届いた。


「ミズ様。お久しぶりです。お元気そうで何よりです。浄化はお任せください。」

「すぐ。...終わった。」

「ああ、すまんな。手数をかけた。」

「この程度は何でもありません。また大きな変更があればお手伝いします。」

「...また。」


 最近は全く意思を感じなかったのだが、我の動向を見続けているようで、星の環境を変える位の大きな修正には出てくるようだ。

 とりあえず禁域を見てみたが、汚染物質の垂れ流しも無いし、空気も海水も普通になっていたので、汚染大陸に上陸することにした。


 長い間汚染されていたので、草木も生えず、生き物のいない寂しい大地だった。

 土精霊に聞くと大地に栄養がなく、このままだと雨を降らせても作物は育たないらしい。

 我は雨に栄養になる物を混ぜて降らせてみることにした。


「土の栄養ってなにかなー?」

「やっぱり肥やしでしょ?」

「えー!肥やしの雨降らすの?やだ!」

「...ちょっと考えちゃいますね。」


 皆に不評だが、船の上に降らす訳ではないので、やってみることにした。

 見える範囲で船に溜まっている肥やしを雨と一緒に降らせた。

 ここに停泊していると臭くなりそうなので、適当に草の種も蒔いて北の大陸に向かう事にした。


『ミズ様。我らに土壌回復を任せてくれませんか?木精霊や草精霊おりますし、緑豊かな土地にしてみせます。』

『そうか?じゃあ土精霊に任せるが、肥やしはどうする?』

『海には魚がおりますから、水精霊でも風精霊でも取ってこれるでしょう。細かく砕いてしまえばそれも栄養になります。まずは微生物の回復からですかな。』


 目に見えない位の小さな生き物が土の中にはいるそうで、それらが活発に動き始めないと始まらないらしい。

 土壌の回復は精霊達に任せて、北に向かった。




 汚染の浄化が終わったので、獣人の国に禁域の解除要請をしてみたが、調査団を派遣して問題なければ海の禁域は解除するそうだが、元汚染大陸は古代文明の遺跡が多いので、上陸禁止にするそうだ。

 禁域は汚染物質が漏れないように海底から上空まで見えない何かに覆われているので、境界を突破するには特別な許可が必要だった。

 その境界を海から海岸近くまで縮小するらしい。

 上陸禁止にするというより実質上陸不可になっている。

 我らは特例で許可をもらっているので、ここに家と研究施設を作るつもりだ。

 自給自足できる程度の田畑と家畜も考えている。

 娯楽もある方がいいだろうから、探検できる洞窟とか作りたい。

 潜る度に地形が変わる仕組みにすれば飽きずに何回でも潜れそうだ。

 お化け屋敷のような脅かす役の生物もいた方がいいか。

 どうせなら四大陸から魔物を連れてきて洞窟内に放つか。

 魔物退治できないと兄姉達が退屈するだろうし。

 等々、色々と今後の事を考えながら夕飯までのんびりしていた。


 夕飯には何故かお赤飯が出ていた。


「誰か誕生日なの?それとも結婚?出産?」


 お祝い事に赤飯を炊くので、一番ありふれた事を聞いてみた。


「「違うよ~♪」」

「イワナガちゃんが大人の女性になったお祝いよ♪」

「えっ?もう?おめでとう~。」


 9歳だとちょっと早い気がするけど、既に大人な雰囲気もあるイワナガなら納得かな。


「キサラギ兄さんには連絡した?」

「先程連絡しました。明日、此方に来るそうです。」

「この船に?どうやって?」

「ああ、違います。首都の学校待ち合わせです。」

「そうか~。キサラギ兄さんも結婚か~。早かったな~。式はいつあげるの?」

「来年、私が卒業してからです。」

「そうだね。もう学ぶものも無いけど卒業はしたいね。じゃあ成人の儀式は明日、キサラギ兄さんとするのかな?」

「ええ。そうなります。」


 顔を真っ赤に染めるイワナガを見るのは初めてで、こっちまで赤くなりながら夕飯を食べた。


 次の日、首都の学校にキサラギ兄さんを迎えに行き、船まで連れてきた。


「中兄、イワナガの準備が出来るまでだけど、船内を案内するよ!」

「あ、あぁ。」


 心ここに在らずの状態の兄の手を引きながら、船内を案内し娯楽室に連れていった。

 暫くするとシェーシャ母さんがキサラギ兄さんを呼びに来た。

 女性の成人の儀式は性交する必要は無いが、指か張形でもいいから腟に挿入する。

 婚約者がいる場合は婚約者に任せ、いない場合は父親か兄、それもいない場合は学校の先生や先輩等の身近な異性が担当することが多い。

 性交する必要は無いのだが、相手に任せるので子供が出来てしまう事もあり、通常好きな相手を女性の側から指名できる。

 父はよく指名されていた記憶があるが、口と指しか使わないと言っていたので、正規の手順だったのだろう。


「中兄、頑張って!」


 キサラギ兄さんの背中に声をかけて見送った。

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