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みんなで綴る物語  作者: サラサ
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小弐期1

 新年になり、我は七歳になった。


 去年も色々あった。

 一番の事件?は我の兄弟だと思っていた赤子達は全て他人だった事だろうか。

 父の愛人達は実際は愛人希望でしかなく、胎児を殺そうとしていた所を父に止められて、我の国での出産を薦められただけだった。

 愛人(希望)達は出産後、体調が回復すると赤子を預けて自国に戻って行った。

 帰国の護衛を付けろとか旅費が無いから出せとか色々言っていたけど、今までの生活費を溜め込んでいるのは知っていたので、全て無視した。


 赤子の世話も父に頼まれているので、養護施設に入所させたのだが、一度に12人も増えてしまって人手が足りないし、ベットも足りないから何とかしてほしいと言われてしまった。


 共和国設立に向けて各国にも子供の死亡率を減らすようにお願いしているのだが、まだ養護施設が我が国にしかないので、各国から赤子が日々やって来るようになっていた。

 各町に建設した施設はもう満員で、各村にも建設したのだが、どこも定員超えで受け入れが限界になっていた。

 受け入れ拒否の施設もちらほら出てきているので、早急に対処するため、各国にも養護施設を建設することにした。

 幸い、各国の代表は兄姉達なので、建設はすんなり認められ、学校や図書館の建設予定地の一部を施設に割り当ててもらった。


 建物はすぐに作れるが、人員確保が間に合わない。

 家精霊でも簡単な育児は出来るが、ここは育児専門の精霊を造って肉体を与えてしまう事にした。

 最近は欲しいと思える精霊を媒体なしで顕現させられるようになっているので、すぐに取りかかる。


『育児精霊よ!』


 我が念じると光が集まってきて、小さな緑の光球がフワフワ浮いていた。


『※※※※※※※※※※※』


 このままだと意思疎通が出来ないので、いつものようにレベルを書き換えた。

 今回は数が必要なので、書き換えるレベルは50にした。


『早速で悪いが、分霊してくれ。』

『はい。ミズ樣。』


 数が必要だと分かっているようで、とりあえず百体の育児精霊(小)が生まれた。


『今、器を作るから、一体づつ入ってくれ。』

『※※、※※※※。』


 育児精霊(小)のままだと小さすぎて念話が聞こえないが、肉体に宿ると声を出すことが出来るので、レベル1でも充分に役に立つ。


 創造したのはいいが、実際に育児が出来るか検証していなかったので、弟妹達の世話を任せてみた。


「ゲンブ、新しい乳母はどんな感じ?」

「あ、にぃに。優しくて好きだよ!」

「「あい!」」


 ホタルとクジャクにも好評なようだ。

 育児精霊は、どんなに子供がむずがって暴れても、精霊なのでイライラすることもなく、何度も優しく諭して着替えさせたり、玩具を片付けたり、ご飯を食べさせたりしていた。


 我は思い通りにならないと少しイラッとしてしまうので、声が少し乱暴になったり、扱いが雑になったりして、弟妹達を怖がらせたり、泣かせてしまったりすることもあった。


 最近は特に夜泣きが酷くなってきて、なかなか泣き止まずにイラッとすることが多くなっていた。

 夜泣きで泣いているのか、我が怖くて泣いているのか分からないが、毎晩、本当に辛かった。

 少し前までは、夜は姉達が面倒を見ていたのだが、夜泣きが酷くなると匙を投げて我に押し付けに来ていた。

 母とシェーシャ母さんは育児経験者なので、普段は自分達で寝かしつけていたのだが、余りにも酷いときは、やはり我に預けに来ていた。


 我はよく徹夜で研究しているので、子守りにちょうどいいと思っているのだろうか?

 昔は早く寝ないと大きくなれないから、早く寝なさいと言われていた気がするのだが、最近は全く聞いていない。

 今もそろそろ寝ようかと思っていたら、赤子の泣き声が近づいてきた。


「ミズちゃん、起きてる?」

「今夜もヨロシク。」


 姉二人がそろって赤子を連れてきた。


「夜泣きの世話も親の務めじゃないの?」

「分かってるけど...。」

「ダメ。息の根を止めてしまう。」


 てっとり早く黙らせる方法が危険すぎる。

 あやすのが苦手な姉達は、高い高いをするにも高く投げすぎて、天井にぶつける事件を起こしていた。

 死にかけたクジャクとホタルを何度も治療したのは記憶に新しい。


「良いよ。今夜も面倒みるよ。」

「ミズちゃん、大好き。ありがとう。」

「ミズちゃん、よろしく。お休みなさい。」


 泣いているクジャクとホタルを育児精霊に渡すと、育児精霊は優しく抱いてユラユラ揺らしながら、子守唄を歌い始めた。

 我が聴いてもリラックスする音程で、音の波に揺られているような心地よさがある。

 育児で一番大変な夜泣きの対処を任せられるので、我の子守りもだいぶ楽になった。


 我が家で検証できたので、養護施設でも検証することにした。

 結果として、育児精霊が世話をするようになると、どんなに泣いている赤子でも寝かしつける事が出来たので、とても感謝された。


 育児精霊が役に立つことが証明されたので、赤子二人に育児精霊が一体、施設に家精霊が一体となるように派遣していき、人手不足は徐々に解消していった。

 人間の雇用が増えるようなら、回収すればいいので、各施設には一時的な措置なので、引き続き人員の確保に勤めてもらうことにしている。




 養護施設は一段落したので、各国に建設途中の学校の視察に出掛けた。


 養護施設建設が緊急だったので、学校建設に確保した人員を回した為、学校建設に遅れが生じていた。

 学校建設用に用意した資材も、養護施設に使用したため、資材の調達もしなくてはならない。

 後、養護施設建設で昼夜問わず働いていた為、過労で倒れる人間が続出したので、勤務体制の見直しも必要だ。


 現場に着くと、相変わらず我の護衛の精霊を雇い主と思っているようなので、指示出しは精霊に任せて、細かい指示等は紙に書いたものを精霊に預けてから渡してもらった。



「もう新年だから、学校ができてないと困るな。」

「ミズ樣、よろしければ精霊にまかせてみては?」


 建物は土精霊に造ってもらったので、後は窓をつけたり、扉を作ったり、下駄箱を作ったり、壁に塗装したりとかの細々としたことだけなのだが、我が造ると不評だったので、職人に任せていた。


「教壇や机と椅子の準備は終わってるの?」

「ええ、坊っちゃん。内装が終われば運び込みまさぁ。」

「内装はいつ終わるの?もう新年だから学校が始まる時期だけど?」

「坊っちゃん、割り込みの仕事が入ったせいで、こっちは作業出来なかったんでぇ。まだまだかかりまさぁ。」

「養護施設で結構無理したから、もうヘロヘロですよ。」

「ああ、ゆっくり休みたい。」


 作業中だった他の職人もやって来て、口々に体調不良を訴えてきた。

 あと一週間で工事完了は無理だろうし、奥の手の精霊を投入するべきだろう。


「内装の見本とか構想はありますか?」

「ああ、内壁は白い珪藻土(けいそうど)を塗って、外壁は白い漆喰(しっくい)を塗る予定だ。」

「各教室の扉はクラスが分かりやすいように、動植物の模様を個々に刻む予定です。」

「窓のガラスには透かし彫りをしてるぜ。」

「下駄箱は扉つきでさぁ。」


 我の代わりに護衛の精霊に聞いてもらったが、どんな豪邸を建てるつもりなのか。


「学校だよね?美術館やお城じゃないよね?」

「予算がたくさん余ったから、みんな懲りはじめてしまったんでさぁ。」


 建物を我が建ててしまったので、その分の予算が丸々内装にまわったらしい。

 余ってるなら返せば良いのに、何で使いきろうとするのか理解できない。


「余ってるなら返せば良いのに?」

「こんな機会は二度と無いと思うとなぁ。」

「ああ、次に同じ資金が出ても資材の調達から建物建設に金がかかるから、こんなに凝った内装はできないしなぁ。」


 渡してある建設費は共和国の予算(まだ合意段階だが必要経費は各国から出して一括管理している)から出ている。

 概算でこの位かかるだろうと出されているのだが、建物や資材を我が無料で用意したせいで、大半が浮いた状態になっているようだ。


「もしかして、追加で発注した養護施設の建設費も余ってる?」

「ああ、あっちも余ってたから遊具を沢山作っておいたよ。」

「子供達が安全に遊べる場所は必要。」

「体を鍛えるにもちょうどいいさねぇ。」

「なに勝手に作ってるの?許可は取ったの?」

「もう作っちまったしなぁ。事後処理はそっちの仕事ということで、よろしく頼まぁ。」



 とりあえず豪華な学校は必要ないので、普通の内装にするとして、家精霊ではちょっと管轄が違う気がしたので、大工精霊を造ると一気に仕上げてもらった。

 内装を担当していた職人達は、一晩で完成していたので驚いていたが、もうやることがないと分かると机などの備品を運び込み、余った資金を返してきた。

 帰ってきた資金の半分は職人達の慰労に渡し、残りの半分は国庫に返そうとしたら、兄姉達から我の賃金だと返された。


 各国に建設した学校は全部で300校で、各町村に一校、首都に七校なので、一国で大体50校建設した。

 各町村の学校建設の業者は返金額が少なかったので、工事費用の着服が疑われているが、首都担当の大手はきっちり返金してきたので、半分とはいえかなりの大金になった。


「億を越えるんだけど、いいの?」

「ああ、ミズはそれ以上働いているだろ?」


 コクヨウ兄さんに毎日遅くまで働いているのだから、当然の権利だと言われた。


「全部精霊だよ?」

「ミズちゃんじゃなきゃ精霊を動かせないでしょ?」


 ムツキ姉さんに精霊を造って使役しているのだから、当然の権利だと言われた。


「資材の調達も資金には組み込まれていた。資材代には少なすぎる。」

「そうよ。資材代と手間賃と精霊の労働賃金を考えたら、大赤字よ。」


 ウツキ兄さんとヤヨイ姉さんに、資材の代金も含まれているのだから、当然の権利だと言われた。


 キサラギ兄さんにもサツキ姉さんにも同様に当然の権利だと言われたので、ありがたくもらうことにした。




 新学期に向けて進級試験が始まった。

 我と三人娘達は二年の特別クラスと新しく作られた魔力を使う方法(略して魔法)研究クラスを選択して、合格した。

 昨年から三人娘達が指導していた魔法研究なので、三人娘達は先生役で当然合格なのだが、我は精霊は使えても魔法は使えないので、落ちるかと思ったが、精霊魔法と評されて合格になった。

 精霊が言うことを聞くかどうかは分からないが、人間達も念話が出来れば精霊を使うことが出来るかもしれないので、精霊魔法はありかもしれない。

 とりあえず、新学期になったら【ステータス】書き換えに頼らず、精霊にも頼らず、魔力を自由自在に操れるように勉強しよう。

 更に進んで魔そのものを使用する方法(略して魔法)に挑戦してみようと思っている。

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