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みんなで綴る物語  作者: サラサ
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小壱期F

魔間(まげん)と書き変わったのが気になったので、そのまま氷を溶かしてみた。


氷が溶けると少女は倒れ混み、死んだように動かなかった。

魔人なら凍り付けでも死なず、溶けると同時に動き始めたけど、人間なら一瞬で死んでしまうような寒さだから、魔間も温度変化に弱いということだろうか?

全く動かないので近寄って触ろうとしたら、いきなり足を捕まれて引き倒された。


「ミズちゃん!」

『ミズ樣。大丈夫ですか?』


「..けて。だれか...て。」


微かに呟いているのが聞こえた。

「誰か、母さんを助けて。」と呟いているようだった。


まだ子供で力も強くないので、風精霊の結界で閉じ込めて連れて帰ることにした。


「母さん、この娘、連れて帰っていい?」

「え~?。いくら魔人でも子供を実験動物にするのは、お母さん反対よ~?」

「そんなことしないよ?」


母に誤解されたが、実験動物にするつもりは無いし、回復したらもう一度書き換えて人間に戻すつもりだ。

城下町を探すと、他にも数体の魔人がいたので氷を溶かさず連れて帰った。


魔人達を連れて帰ると、郊外に研究施設を作った。

施設といっても土精霊に大きな四角い箱をいくつか作ってもらって、入り口の穴を開けただけの簡素なものだ。

明かり取り用の窓は無いので、光精霊(極小)の灯りをいくつも浮かべていた。

家具が何も無いので、床の一部を盛り上げてベットにしてもらい、少女を寝かせた。

まだ意識はもどらないが、他にもやることがたくさんあったので、世話を家精霊に頼んで別の建物に向かった。


一棟に一体の魔人を設置して、氷を溶かした。

暴れ出せないように風の結界で覆ってはいたが、12層に張った結界の半分位は壊された。

暫く暴れると諦めたのかおとなしくなったので、一体づつ書き換えてみた。


魔間(まげん)となるものが四体、人人(にんじん)となるものが二体いた。

書き換えた事で意識が人間に近づいたらしく、辺りをキョロキョロ見回して我に何か訴えかけていた。

風の結界があるので何も聞こえないが、口の形で「ここから出せ」と言っている気がする。


『ミズ樣。人人となった者はおとなしくこちらを見ていますが、魔間となった者は攻撃性が高いようです。』

『ミズ樣。神を冒涜する者は(ほふ)っても宜しいですか?』


風精霊には結界内の言葉が直に伝わるようで、我の悪口に繋がる言葉に反応しているようだった。


『止めておけ。暫く観察して人間に戻してやるつもりだ。人間に戻しても攻撃的なままなら処分していい。』


魔間と人人に、魔人になっていたこと、すぐには人間に戻れないが、戻すための治療中であることを伝えた。

人人は素直に治療に協力してくれることになったので、結界を解いて部屋の中なら自由にしてて良いことにした。

魔間の反応は様々で、信用できないと暴れる者、直ぐに人間に戻せと暴れる者、せっかく魔人になれたのだから魔人に戻せと暴れる者、無反応な者がいた。


とりあえず観察するために、魔間達にも部屋の中なら自由にしてて良いことにして、建物の強度を上げ、風の結界で覆った。

こちらの世話も家精霊達にお願いして、何かあれば直ぐに知らせてもらうことにした。




色々やることが多くて疲れて帰宅すると、愛人達からの呼び出しがあったようで、何通もの手紙が置かれていた。

うんざりしながら中身を確認していくと、愛人達からの苦情の手紙に紛れて獣人からの手紙があった。


頼んでいた船が完成したそうだ。

暇が出来たら受け取りに来て欲しいとあったが、なかなか時間を作れそうにない。

まだ受け取った船を置く場所も決めていない。

空に浮かせておくだけなのだが、大型船なので町の上に設置する訳にもいかず、畑の上だと日照の問題で作物に影響が出そうだし、やはり海の上に浮かせておくのが妥当だろうか。


後、当面の問題として地下の獣人の国からどうやって大型船を地上に持って来るかということが書いてあった。


...考えて無かった。


最初は地上で作ってもらう予定だったのだが、材料の調達や作業する獣人の確保の関係で、獣人の国での造船になってしまっていた。


「う~ん。大穴開ける訳にはいかないかな~?」


独り言を呟いたら精霊達が寄ってきた。


『ミズ樣。魔物化した精霊を元に戻すときに変化した時空の精霊なら異空間に物質をしまって持ってこれるかと思います。』

『ふむ。魔物化した精霊達を元に戻すついでに試してみるか。何体か連れてきてくれ。』


数十体の魔物化した精霊達を一体づつ見てみたが、時空の魔物はいなかった。

あの時の精霊だけ特殊個体だったのだろうか?

魔物化した風精霊のほとんどが風の魔物となっていて、後は空の魔物、音の魔物、波の魔物、重力の魔物、結界の魔物、(はざま)の魔物とあった。


「時空は無理でも空間の魔物がいればなー。」


また独り言を呟くと、連れてこられた空の魔物と間の魔物が融合した。


『※※※※※※※※』

『ミズ樣。これでどうですか?と言っているようです。』


融合した元風精霊の魔物を見ると、空間の魔物と変わっていた。


『書き換えなくても変化するのか。面白いな。そこの音の魔物と波の魔物、融合してみてくれ。』


我が言うと音の魔物と波の魔物が交ざり合い、音波の魔物になった。

精霊同士でも出来るのか試したが、同種族は可能だが、別の種族同士は無理だった。


とりあえず、空間の魔物を書き換えて空間精霊にした。

わざわざ魔物から書き換えなくても精霊から書き換えられるのじゃないかと気がついて試してみたが、種族を変えることは出来なかった。

どうやら魔物化することで種族が不安定になるらしい。

魔物同士で融合しあうから地域によって変な魔物が発生するのか。

魔物の謎がひとつ分かった。


早速、空間精霊のレベルを念話出来るように5に上げた。


『空間精霊、異空間を作れるか?』

『ハイ。ミズサマ。カノウデス。』

『どのくらいの大きさまで可能か?』

『イマノ レベル デスト コノヘヤ クライデス。』


空間精霊のレベルを50に書き換えた。


『これでどうだ?』

『はい。ミズ樣。かなり大きくなりました。星も収納可能です。』

『星を入れる予定はない。やり過ぎたか?まあいいか。』


ふと思いついて、空間精霊に分霊してもらい、空間精霊(極小)に持っていた布の袋に付いてもらった。


『ここに入れるものを異空間に仕舞ってくれ。後、出したいものを言ったらそれを出してくれ。』

『※※』

極小なので何を言っているのか聞こえないが、多分了承の『はい』だろう。

部屋中に散らかってしまった設計図や作成途中の蒸気機関の模型等を次々に仕舞っていった。


「うん。だいぶ綺麗になった。母さんに片付けるように言われていたけど後回しにしてたから、そろそろ捨てられそうだったんだよな。」


家精霊がいつも片付けたそうにしていたけど、何処に何があるか分からなくなるから、片付け禁止にしていた。

そのせいで、どんどん積み上がってきてしまっていたのだが、この部屋分の容量がある空間精霊(極小)がいれば、当分困らないだろう。

もしも容量が足らなくなったらレベルを書き換えるか、空間精霊に(小)か(中)を分霊してもらえばいいだろう。


さて、気分が良くなったから愛人達の所に行くか。

もう夕飯の時間なのだが、帰って来たら直ぐに来るようにと書いてあったので、仕方なく出掛けた。


愛人達には精霊達の事を内緒にしたいので、移動には馬を使っている。

まだ体が小さくて一人で騎乗出来ないので、肉体を与えた精霊に任せて相乗りしているだけだったりする。

急ぎたくはないが、家族団欒の夕飯に間に合うように急いで用事を済ませようと向かった。


到着すると、いつものように一通り喚き散らされてうんざりしているところに、何時ものように下らない用事を命令された。

いい加減、我慢も限界に近いので、父の愛人達とはいえ、まだ正式に婚姻を結んだ訳では無いので我の母では無いから命令されるいわれはないと突っぱねてみたら、物凄く反発された。


前にも見せられた父からの手紙を出してきて、出産するまで愛人達の世話をすること、出産したら赤子の世話をすることが書いてあるのだから、言うことを聞くように言われた。


父の手紙の愛人達の世話とは、衣食住を整えるだけの事だと思うのだが、我を奴隷のようにこき使うことが許されていると言い張っていた。

あと数ヵ月もこのような状態で我慢したくないので、全員臨月に書き換えてすぐに出産させてしまうことにした。


流石に一度に12人の出産は母さんと二人で処理できないので、お産婆さんと助手の人間を手配したのだが、何が気に入らなかったのか追い返してしまったらしい。


『ミズ樣。「まだ出産には早いわよ。」だそうです。』


オプトに通訳されたが、そんな理由で追い返したのか。

早産することもあるのだから、近くに待機していてもらった方が安心だろうと思ったのだが、余り子供の事に関心がないということなのだろうか。

自分達の体の方が大事らしく、早産を心配するなら医者を常駐させておくように言われた。


「首都の医者は余っていません。お産婆さんを追い返してしまったのなら、自分達でなんとかしてください。」


いい加減、我慢の限界なので突き放すように言うと、父親に言いつけるとか、良くできた息子と言うのは偽りだったのねとか、また散々悪口を言われたようだった。

途中からオプトが通訳しなくなったので、多分全部同じ台詞の繰り返しだったのだろう。



その夜、一人が破水したと連絡が入った。

愛人達には風精霊や光精霊による通信は使わせていないので、家精霊からの連絡なのだが、対外的には使用人が早馬で伝達することになっているので、準備して待っていた。

一刻ほどして早馬が到着したので、お産婆さんと助手を引き連れて馬車で急いで向かったが、他の愛人達も次々に陣痛を起こしていたようで、最初の一人はもう生まれていた。


「遅いわよ!」

「この役立たず!」


最近は短い暴言なら聞き取れるようになったな。

予想通りの反応なので、無視して淡々と作業を進めた。

流石に12人もいると流れ作業的になる。

我は取り上げられた赤ちゃんを家精霊達が産湯で拭っているのを手伝っていた。


ふと気になって赤ちゃん達を"見て"みたら全員我の兄弟では無かった。

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