小壱期D
共和国建国に向けて各国から代表者を選出することになったそうだ。
各国の王族は民衆から反感を持たれてしまっているので、代表者はそれぞれの国で選出された人間になるのだが、何故か兄姉達が選ばれてきた。
ムツキ姉さんはオラーンジュ王国の代表として。
キサラギ兄さんゲルプ王国の代表として。
ヤヨイ姉さんはグリューン王国の代表として。
ウツキ兄さんはインディゴ王国の代表として。
サツキ姉さんはヴィオレット王国の代表として。
もちろん、我のいる国はコクヨウ兄さんが代表だし、ほぼ機能していない大国だったお隣の国は滅亡扱いだった。
「家族会議で国の方針とか決めてもいいの?」
兄姉達が代表なので、夕飯を食べながら今後の政策などを話し合っていた。
「ああ、普通は駄目だと思うが、わざわざ別に時間を作るより、手間も省けるしいいだろう。」
「まだ色々手探り状態だから、ミズちゃんも手伝ってね。」
コクヨウ兄さんとムツキ姉さんが前菜を食べながら言ってきた。
「僕に出来ることあるの?」
「まあ、主に復興関係をお願いするよ。この国は復興出来ただけでなく更に発展してるが、他の国はまだ獣人の国の援助で衣食住が整っただけで、他は手付かずだから。」
「うーんと、鉄道と学校を作れば良いってこと?」
「そうね。学校は共和国全てにあるべきね。」
「図書館も必要です。」
「武闘場もだな。」
「えー?武闘場はいらないでしょ。」
「ミズ、いついかなるときも訓練は大事よ。」
「そうです。」
キサラギ兄さんが武闘場建設を推すと、ヤヨイ姉さんとサツキ姉さんも同意して勧めてくる。
「武闘場はともかく、僕に出来ることがあれば協力するよ。」
「助かる。早速だが、各国に鉄道を導入したい。後、空路は一般人でも使用可能なのか?」
「決まった空路なら問題ないよ。発着場所を変えたり速度を変えたり規定の重さを変えたりは出来ないけどね。」
メインの肉料理が運ばれてきたので、食べやすいように一口大に切り分けながらコクヨウ兄さんの質問に答えた。
「空路を増やせないか?この国と各国は行き来できるが、各国間の空路が無いから少し不便なんだ。」
「うーん。余り増やすのはお勧めできないかなー。精霊達が混乱しそうだし。精霊と話が出来る人間が増えれば調整可能だと思うけど、まだまだ無理かな。」
キサラギ兄さんがウツキ兄さんの所に行こうとすると、ゲルブ王国からここに戻ってインディゴ王国に飛ぶ方が直接陸路を馬で進むより早いそうだが、ゲルブインからディゴまで直で飛べる方が確かに便利ではある。
「獣人達に任せられないか?」
「うーん。教会以外でこっちに干渉したがらないと思うよ?」
「復興には協力してくれただろ?」
「物資提供なら簡単だけど獣人がこっちに来るのはなかなか難しいらしいよ?例外は僕の所と教会だけみたい。」
他にもいくつかの提案をされたが、我は当面各国に鉄道と学校を作ることになった。
兄姉達は次の議題である税をどうするか話し合っていた。
天罰で亡くなった人間は主に王族と貴族と兵士だったので、農耕地の人手は足りているから今年の収穫は問題ないそうだ。
「まだまだ復興中だから今年の税は免除してはどうか?」
「倒壊した城の新たな建設にお金がかかるだろ?」
兄達がまだまだ話し合っていたが、我は食後のデザートも食べ終わったので、自室に戻ることにした。
「ごちそうさまでした。僕は部屋に戻るね。」
「ああ、また何か手伝って欲しいことが出来たら伝言するよ。」
コクヨウ兄さんが返事をしてくれたけど、他の兄さん達と姉さん達は話に夢中で聞こえてなかったようだ。
部屋に戻ると、最近日課になった力の調整を始めた。
毎日消費しないと溢れて雑多な精霊が出来てしまうので欠かせない作業だった。
「さて、今日は何を造ろうかな~。」
独り言を呟くと我の回りに精霊達が集まってきた。
『ミズ様。次は私の番です。』
『いえ、ワシを先にしてくだされ。』
『えー。僕が先の方が便利じゃない?』
毎日の日課で生活用品を創造する他に、精霊達に肉体を与えることにしたので、順番待ちが激しすぎる。
古参の精霊から与えるというわけでもなく、我に有用な精霊からその日の気分で与えているので、毎日アピールが煩い。
一番最初に肉体を与えたのは家精霊だったりする。
やはり家事は大事だ。
炊事、洗濯、掃除が完璧な家精霊は一家に一体は必要だと思って、結構な数を揃えた。
肉体を与えると人間の言葉を話せるので意思疎通も出来るから、各家庭に斡旋しても問題ない。
ただ、どの精霊も肉体に宿ると美形になるせいか、斡旋した家庭の夫婦仲が悪くなっていると聞いた。
肉体を与えるときに性別をどうするか聞いているのだが、ほぼ女性を選ぶ。
家事が完璧で従順な女性で美人とくれば手を出さない訳がないそうだ。
この辺の心理はまだ我には分からないが、コクヨウ兄さんが言うのだからそうなのだろう。
最近の姉さん達は家にいるときは子供の相手をして、昼間は各国に行ってるから寂しいという事なのだろうか?
『先程空路の増設を相談されたから、風精霊にする。空路の管理を任せる。』
『畏まりました。ミズ様。』
『とりあえず、六ヶ国に十体づつでいいか。希望するものはここに並べ。』
一体づつ肉体を創造し宿らせていく。
たまに風精霊じゃないものが紛れていたりするが、すぐに追い出されていた。
ちなみに、家精霊と違って今回は男性を選ぶ精霊が多かった。
「ミズ様、ありがとうございました。」
「どこか不具合はないか?」
「「「大丈夫です。」」」
数体の風精霊が我の側に残っていたが、肉体を持ったほとんどの風精霊は思い思いに駆け回ったり、飛んだりしていた。
精霊の肉体創造はおわったので、今日の日課の日用品を創造することにした。
家精霊から細かな塵も取れる箒を頼まれていたので、髪の毛位細い繊維で造ってみることにした。
出来上がりを我の部屋つきの家精霊に試してもらったところ、好評だったので眠くなるまでせっせと増産した。
翌日、各国の空路の発着場所に風精霊達を配備がてら学校を建設する場所を視察して回った。
我だけで視察すると馬鹿にされそうだが、護衛を兼ねて風精霊(男性体)がついているので、特に絡まれることもなく見回ることができた。
「ここに学校を造るので立ち入り禁止にして下さい。」
運動場も必要なので結構な広さになるが、住民から見えないように囲いを作ってもらうことにした。
創造してしまえば一瞬で完成してしまうけど、余り目立ちたくないので、建築は普通に大工に頼む事にして、お金を余りかけたくないから材料だけ創造して置いておく予定だ。
「明後日には材料を届けますので、それまでに敷地の囲いをお願いします。」
各国の予定地全てに同じ指示を出して帰宅すると母さんが待っていた。
「ミズちゃん、元気~?お母さんはお疲れですよ~。」
「僕は元気だよ。ハツキも元気だよ。毎日映像付きで連絡してるでしょ?」
「そうだけど~。やっぱり抱き締めたいじゃない?」
そう言って母さんは我を抱き締めた。
「何かあったの?父さん関係?」
「そうなのよ~。やっと追い付いて一緒に行けると思ったら、ハーレムが出来てて追い出されちゃった。若い子は怖いね~。」
「えー?。また兄弟が増えるの?」
「そうなのよ~。今回は連れ子もいるから結構な人数になるわ~。それで、身籠った愛人と連れ子をこっちで世話をするように言われて戻されたのよ~。」
「えーっと。父さんは将軍じゃなくなってるから無職だよね?母さん達は侍従として勤めてるから収入あるけど、愛人の面倒をみるお金は母さん達にお願いするの?父さんいないのに?」
「そうなのよ~。いい加減ほったらかしにされてるからみんな離縁するって言ってたし、どうしましょう?」
「向こうの国の愛人なんだから、向こうで産んで育ててもらえばいいと思う。」
「ん~。でもこの国が世界で一番安全に子育て出来るし教育も進んでいるのよ?それに生まれてくる子はミズちゃんの兄弟よ?」
「それはそうだろうけど、何人いるの?ハツキ達の面倒も僕がみたりしてるけど、父さんは全部僕に押し付ける気なの?」
「そうみたいよ~。ミナツキに任せておけば大丈夫だからって追い出されたのよ~。」
「母さんはそれでいいの?」
「今回は仕方ないわね~。もう連れてきちゃったし。私はもう行かないから、今回限りにしてもらうわ~。愛人さん達は子供を産んだら戻るって言ってたし、暫く面倒を見てあげて~。」
母さんにお願いされたので、空き家を探して家精霊に修繕してもらうことにした。
愛人達は、とりあえず家の準備ができるまでは宿屋に泊まるそうだが、連れ子はこの国の学校に通わせるということで、学生寮や託児所に入れる手続きをするそうだ。
我が作った制度だが、なんかモヤモヤする。
夕食時に母さんが母さん達に経緯を説明して愛人達を紹介したが、若い愛人達の態度が悪いので気分を害して追い返していた。
翌日は各国の建設予定地に資材を運ぶ準備と、愛人達の家を探すことにした。
余り近くに住まわれると気分を害しそうだったので、郊外の静かな別荘地にした。
貴族の別荘が点在する地域だが、持ち主は天罰で死亡しているので、空き家が多い。
そのなかでも一番客室の多い、大きな豪邸を滞在場所に提供することにした。
家精霊(女性体)を引き連れて、家の修繕から掃除、内装までお願いした。
翌日、家の準備を終えたので愛人達を案内した。
「※※※※※」
「※※※※※※」
「※※※※※※」
...何を言っているのか分からない。
この大陸の各国の言語は勉強したが、他の大陸の言語は不勉強で挨拶程度しか分からないし、早口だとまず聞き取れない。
『ミズ様。通訳致しましょうか?』
『できるのか?』
『はい。世界中を回っているので、ほぼ全ての言語が分かります。』
『ほう。じゃあ、頼む。』
光精霊による同時通訳で、聞き取りはできるようになったが、話すのは片言になってしまうので、母さんに任せた。
愛人達は文句を一通り言って気がすんだのか、今度は我に命令し始めた。
どうやら使用人だと思われているらしい。
母が自分の息子でシバが言っている一番優秀な息子だと説明すると、今度はジロジロ見られた。
「ミナツキ デス。ヨロシク オネガイシマス。」
ジロジロ見られて気分が悪いけど、きちんと挨拶しなければと思い挨拶した。
反応は様々で、小さな呟きまで通訳されたけど、余り良い評価は無かった。
愛人達は妊娠五ヶ月から八ヶ月の12人で、連れ子が6人だった。




