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みんなで綴る物語  作者: サラサ
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年長期E

結界のおかげで国境の町ツヴァイはまだ無傷だが、兵士の数の差が大きいので、追い返せずにいた。

もう一月近くこの状態なので、大分物資が減ってきていた。

海上は非戦闘地帯なので、隣国以外と交易出来るのだが、この大陸の他国は隣国に狙われている我が国との交易は戦争に荷担したととられかねないので、現状停止していた。

他の大陸との交易は可能だが、距離がありすぎて今から食料品の輸入では間に合わない。

仕方がないので、獣人の国からツヴァイに物資を輸送することにした。


『ツヴァイに食料品を届けてくれ。後、第一王女の件はどうなった?』

『食料品は直に運びます。第一王女は守りが固く、近寄れないそうです。獣人は城に入れないので、教会に来る所を狙っているのですが、あまり信心深くないようで、教会にも来ないので町中での暗殺ができずにいます。』

『そうか。やはり我が行こう。』

『危険ではありませんか?』

『我に何にかあれば、獣と人が黙っていないだろうよ。最悪この世界が消滅するだろうな。』

『それは困ります。我々で何とかしますので、隣国に行くのは控えて頂けないでしょうか?』

『うーん。機会を待つだけだと時間がかかりすぎる。光精霊を貸すから、城に潜り込んで第一王女を消してくれ。』

『承りました。』


ここ一月近くずっと獣人の国に避難していたが、姉達の体調も心配なので、一度ツヴァイに行くことにした。


「あら、ミズちゃん。久しぶり。元気だった?」

「食料品ありがとー。助かってるよ。」

「中姉も小姉も体大丈夫?」

「うーん。ちょっと重い?」

「ちゃんと定期的に教会に行って、獣人のお医者さんに見てもらってるよ!」


【ステータス】で見てみても特に異常は見られなかったので、元気なのは本当らしい。


次に我は光精霊に姿を隠してもらって町の上空から敵陣を見渡した。

前線の兵と後衛で休んでる兵がちょうど入れ替わる所だった。

本隊から三回ほど別働隊を出しているので、50万の兵は35万に減っていたのだが、父達との戦闘でさらに数が減っているように見えた。

とりあえず、見える範囲の敵兵の五感を奪い、戦闘不能にした。

これで撤退してくれればいいのだが...


暫く様子を見ていると、異変に気づいた後衛部隊が、前線の兵達と交代しに行った兵達を担架に乗せて運び始めた。

これで撤退してくれれば楽なのだが、今回は何か異常な感じがしてまだ何かある気がした。


「ミズ、いるのか?」


キキサラギ兄さんが我を探しに城壁の上に登って来たようだ。


「なに?中兄。」


我が城壁の上に降り、姿を現すとキサラギ兄さんは驚いていた。


「うぉ。いきなりすぎてビックリした。」

「ごめんなさい。それで何の用ですか?」

「ああ、戦闘が長引くと穀物の収穫にも支障が出るから、ここらで一気に追い返したいなと思ってな。」

「うん。僕もそう思ってもう細工しておいたよ。」

「そうか!じぁあ今が攻め時だな。」

「でも何か嫌な感じがするから気をつけて。僕も援護しようか?」

「ミズは負傷兵の手当てを頼む。もう治療用の炭板の魔力が無くなっちまったから。」

「ああ、じゃあまた量産しておくね。」

「頼んだ。」


父達は本隊の大将を討ちに敵陣深く食い込む気らしい。

いくら【絶対防御】があって無傷で進めるといっても、捕らえられたら何もできなくなるというのに、無茶をする。

傷つけられないだけで殺せない訳ではない。

餓死させることも可能だし、睡眠を妨害して発狂させることも可能だ。

それこそ、第一王女に傀儡にされる危険すらある。


心配しつつせっせと治療用の炭板に魔力を流す作業を続けていると、光精霊がやって来た。


『ミズ様、第一王女暗殺に失敗しました。』

『オプト、分かるのか?』

『分霊体と私は繋がっているので、大体のことは分かります。』

『そうか、失敗か。やはり、我が行くか。』

『ミズ様でも気配や物音を消すことは出来ないでしょうから、難しいかと。』

『しかし、このままではいつまでたっても戦争が終わらない。第一王女を廃して第三王子に政権をとってもらわないと、大陸中が被害にあう。』


我が行っても成功するか分からない上、万が一捕らえられて薬で意思を奪われたら危険だが、第一王女を暗殺するのが今後の為にも必要なので、行くことにした。


自室の研究室に行き、気配や音を消せる物を作れないか色々試していると、部屋の外からドアを開けようとする音がした。

我の部屋も研究室も結界を張ってあるので、入れる人間は限られている。

基本立入禁止で例外に家族を書き加えてあるので、家族以外は部屋のドアすら見つけられないはず。

開けることはできなくてもドアを見つけられるとはすごいなと少し感心した。


『ミズ様か部屋に入るのを見ていたようです。』

『本当か?誰もいないと思ったのに。何故オプトには分かったんだ?』

『城中の灯りは私の分霊です。』

『ああ、なるほど。光精霊達に侵入者を排除させるのは可能か?』

『灯りをつけている子達は温度を上げるまで光を集められません。戦闘に使った子達なら可能ですが、呼び寄せますか?』

『いや、また別働隊が来るかも知れないから、待機してもらってくれ。』


もう少し戦闘に特化した精霊がいれば楽なのだがと思いつつ溶岩を手に取ったらいきなり光だした。


『※※※※※』


どうやら精霊を創造してしまったようだ。

【ステータス】で見てみると、


・炎精霊(新種)

・レベル1

・炎を操作する能力有

・常温から超高温の温度を操作する能力有

・他のエネルギーを炎に変換する能力有

・炎を他のエネルギーに変換する能力有

・溶岩と高濃度の魔力と創造主の意思により誕生


とあったので、レベルを5に書き換えた。


『ハジメマシテ。ソウゾウシュサマ。』

『ミズと呼んでくれ。どのくらいの温度まで上げられるんだ?』

『ハイ ソウゾウシュ ミズサマ。タイヨウノ オンド クライマデ カノウデス。』

『余り熱くないな。』

『タイヨウノ ヒョウメンノ オンド ナノデ モット アツイデス。』

『そうなのか?ちょっとやってみてくれ。』

『ココデ デスカ? キケン デスヨ?』


危険と言われたので少し考えて氷精霊を呼んだ。


『※※※※※』

『ああ、氷精霊はまだレベルを書き換えてなかったな。ちょっと待て。』


氷精霊のレベルも5に書き換えた。


『ナニカ ゴヨウデスカ? ソウゾウシュ ミズサマ。』

『ああ、ちょっと炎精霊にこの石を燃やしてもらうから、危なくなったら冷やしてくれ。』

『アツイモノヲ キュウニ ヒヤスト バクハツ シマスヨ?』


高温も危険、冷やすのも危険か。

空間を遮断すればなんとかなるか?

熱遮断するにもどのくらいまで上がるのか分からないと固定出来ないから、可変のものには対応できない。

そこで空間を制御出来る精霊を創造してみることにした。


色々な鉱石の中から一つずつ試してみたが、どれも反応がなかったので、空間を指定してその中に魔力を溜めて念じてみたら、空間が光だした。


・風精霊(新種)

・レベル1

・風を操作する能力有

・他のエネルギーを風に変換する能力有

・風を他のエネルギーに変換する能力有

・空気と高濃度の魔力と創造主の意思により誕生


見たところ空間を操作する能力は無さそうだが、レベルを5に書き換えて聞いてみた。


『ハジメマシテ。ソウゾウシュサマ。』

『我のことはミズと呼んでくれ。ところで、風精霊は空間制御が出来るのか?』

『イッテイハンイヲ カゼノナカニ トジコメル コトナラ カノウ デス。』

『高温のものも平気か?』

『カゼノ カベカラ ソトニ ナニモ モラシマセン。』


念のため、空間指定して実験する空間を決め、そのうち側に風精霊で風の壁を作ってもらい、その中心で炎精霊に石を燃やしてもらった。

石は紅いマグマを通り越し、強烈に光って原子分解して無くなった。


『ミズ様。今の光で大分エネルギーが溜まりました。』

『ワタシモ ネツヲ カゼニ カエテマシタガ ダイブ モテアマシテ イマス』

『そうか、凄いエネルギーが出るんだな。今後、何かに使えそうだ。そういえば、爆発するときに音がしなかったが、風の壁は音も遮断出来るのか?』

『ハイ。ナニモ トオシマセン。』


どうやら空間制御に近いことが出来そうなので、オプトと炎精霊にツヴァイの防衛を任せて、オプトの分霊の光精霊と風精霊を連れて隣国に行くことにした。


風精霊は風で我を運ぶ事ができ、我が一々重力を書き換えながら進むより簡単に空中を進むことが出来たので、光精霊に姿を消してもらい、風精霊に隣国の城まで運んでもらうことにした。


第一王女の部屋は城の奥にあるようで、外からは見つけることが出来ず、顔も知らないので、一旦教会に行って情報をもらうことにした。


『司教様、いる?』

『ミズ様ですか?どちらにおられますか?』


辺りをキョロキョロと見回しながら司教が念話してきたので、余り不審な行動にならないように注意した。


『姿を消しているからそのままで念話してくれ。

第一王女の部屋はどこにあるか分かるか?』

『残念ながら、城の中に入れないので分かりません。光精霊達と一緒に行った工作員は大分中まで行ったようですが、部屋にたどり着く前に罠に(はま)って一人死んでしまい、死体が見つかると大問題になるので、急いで回収して帰ってきました。』

『罠があるのか。でも罠の先には王女の部屋があるということか。』

『それも分かりません。宝物庫の可能性も高いです。』

『そうか。』


風精霊に分霊してもらって、城の中を調査してもらおう。


『風精霊は分霊出来るか?』

『ハイ。ソウゾウシュ ミズサマ。コレデイイデスカ?』


我の前に小さな旋風が生じた。


『※※※※※』

『コンニチワ ト イッテマス。』

『城の中を調査してもらいたいのだが、出来そうか?』

『※※』

『ハイ ト イッテマス。』

『でわ、城の内部調査を任せる。』


小さな風精霊に城の内部調査を任せて、我は未だに療養中の第三王子の所に行ってみることにした。


療養所の窓辺で読書をしている第三王子を見つけたので、挨拶した。


「今日は。初めまして。僕はミナツキと言います。貴方は第三王子ですか?」

「え?何処から?いつのまに?」

「突然来てしまってごめんなさい。シェーシャさんに聞いて会ってみたくなったので、来てみました。」

「あぁ、シェーシャの使いの子かな?こんなところまで見つからずに来れるなんて優秀だな。」

「僕は旧ロート王国の者です。シェーシャ母さんの夫シバの息子です。」

「あぁ、シェーシャの...。」

「それで、第三王子は戦争に反対なんですよね?」

「うん、戦争は反対だよ。そもそも我が国は戦争ばかりして国力が弱まっている。今建て直さないと国が滅びてしまう。それに折角大陸一の学問都市なのに、戦争に費やしてばかりでもったいない。戦争さえなければ世界一の学問都市にだってなれたのに。」

「第三王子は皇太子なのに国政に参加出来ないのですか?」

「私の意見など姉に潰されてしまうよ。父王より強いんだよ?」

「そうですか...。」


『ミズ様、大変です。』


第三王子と対話している所にオプトがやって来た。

姿を消しているので見えないが、念話は聞こえるので近くにいるのだろう。


『ツヴァイに隣国の最終兵器が落とされて地面が深く抉られてしまいました。』

『え?町の人達は無事なのか?父さん達は?』

『町はミズ様の結界のおかげで無事です。ご家族も無事ですが、地面が深く抉られた箇所が崩れ落ちて、獣人の国に被害が出ました。死者はいませんが、負傷者が多数出ています。』

『え?大変だな。我も救出に行く。』

『もう救出作業は完了して、復旧作業に入っています。それより、盟約違反の兵器を使用したとしてこの国を滅ぼすそうなので、早くお逃げください。』

『そうか。風精霊、小さい風精霊を呼び戻せ。直ぐに獣人の国に行く。』


念話していて急に黙りこんだ我を見て第三王子が話しかけてきた。


「力のない皇太子ですまない。私には戦争を止められない。シェーシャにも詫びておいてくれ。戦争が終わって平和になったら会いに来て欲しいと伝えてくれ。」

「はい。伝えます。それでは失礼します。」


シェーシャ母さんの為に、幼馴染みの第三王子が死なないように保養所周辺に結界を張って、教会に行った。

もう司教様達は避難したらしく、誰もいなかったので、我らも獣人の国に避難した。


しばらくして、小さな音が聞こえた。

ツヴァイに落とされた兵器と同じ位の威力の兵器で城を中心に破壊したそうだ。

獣人の兵器は地面を抉る事も爆発することもなく、ただ影響範囲の物質を破壊するらしい。


教会の通路は無事だったので地上に出てみると、城が無くなっていた。

城の周辺の城下町も瓦礫になっていたが、学校や一般市民のいる外側の区画は無傷に見えた。


思っていたよりも被害が少なかったが、これで戦争どころではなくなるので、後は第三王子と和平を結べば戦争は終結するだろう。

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