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みんなで綴る物語  作者: サラサ
39/73

年長期9

 食の町ゼックスに着いた。

 この頃は魔物にも盗賊にも会わないので、兄達がちょっとがっかりしていた。


 早速この町の相場をチェックして干物と塩を売った後、冷凍輸送実験中の魚を一匹調理してもらうことになった。

 冷凍は簡単だったのだが、解凍はなかなか上手くいかなかった。

 冷凍した時の逆で水分の温度を上げたら、茹でた魚のようになってしまい、様子を見ながら温度を上げたら身がぐずぐずになってしまったりした。

 数匹実験した結果、解凍に適した温度が分かったので、今度は一気に解凍温度まで上げてみた所、見た目は完璧に新鮮な魚そのものになった。

【ステータス】で見ても腐っていなかったので、実験は成功したと思って喜んでいたら、料理人にダメ出しされてしまった。

 理由を聞いたら味が悪くなってるとのことだったので、切っただけの生魚を食べてみたら港町で食べたものに遠く及ばなかった。

 海水で作った冷凍庫に入れていた魚の方が若干味が良かったので、もっと低い温度で運べば美味しいままの魚になるかもしれない。

 とりあえず調理してもらって、煮付けや焼き魚にしてしまえば味の劣化は気にならないのは分かった。

 王都で生魚の野望は失敗してしまったが、魚の干物を使った料理とは違う魚料理ができたので、今回の実験はこれで終了になった。


 食の町だけあって、至る所に料理を出す店が並んでいる。

 移動販売する店まであり、町を散策しながら食べ歩いていると、変な所に迷い混んでしまったらしい。

 あまり身なりの良くない子供達が数人こちらを(うかが)っていた。


「お坊っちゃんがこんなところに何の用だ?」

「迷子にでもなったのか?」

「有り金全部くれるなら、お家に連れてってやるよ。」


 どうやら貧民街に来てしまったらしい。

 王都では行き場のない子供達を保護することができたけど、まだ各地の町にはこういった子供達がたくさんいる。

 ここで出合ったのも何かの縁なので、ここの親分と話をして子供達は王都の学校に連れて行くことはできないだろうか?

 少し考え込んでいたら怖くて動けないのだと勘違いされた。


「金さえ出せば何もしやしないよ。」

「俺らは優しいから表通りまで連れてってやるしな。」

「「そうそう。」」


「えーっと。ここで一番偉い人は誰?」


「なんだこいつ。」

「それを聞いてどうすんだ?自警団にでもちくるのか?」

「身ぐるみ剥いで表通りに捨ててこようぜ。」


 全部無視して質問したら怒らせてしまった。

 身ぐるみ剥ぎに近づいてきた少年を投げ飛ばしたら更に怒らせてしまった。

 体格的に不利ではあるが、落ちていた棒を使って何とか撃退していると、騒ぎを聞き付けて親分らしき男がやって来た。


「なんだお前は。」

「道に迷って入り込んでしまったけど、ちょうどいいからお話ししたいです。」

「あー?話だー?」

「国王陛下の政策で、王都では15歳以下の子供の衣食住を保証した上、教育や職業訓練を行っています。ここの子供達を王都に連れて行きたいので、許可を下さい。」

「何言ってんだ?子供らは稼ぎ頭なんだから渡すわけねえだろ。」


「君たちは普通の生活をしたくないですか?」


 我が回りの子供達を見回しながら聞いてみたら、みんな下を向いてしまった。


「余計なことを言ってんじゃねーよ!」

簀巻(すま)きにして放り出せ!」


 大人が5人かがりで襲ってきたので、流石に捕まってしまった。

 2人ほど打ちのめしたのだが、やはり子供の体力ではまだ大人に勝てなかった。

 お金になりそうなものは全て剥ぎとられ、下着一枚で簀巻きにされてしまった。

 このまま川に流せとか言ってるが、そんなことをされたら隠している能力を使わないと死んでしまう。

 家族以外に知られる訳にはいかないが、どうしようかと悩んでいたら、兄達が我を探しにやって来た。


「ミズを放せ!」

「問答無用で切り捨てる!」


 言うと同時に我の回りにいた大人5人を切り伏せていた。


「中兄、小兄、穏便にお願い!」

「む、仕方ない。これで勘弁してやる。」

「そうですね。ミズがそう言うなら。」


 最初の一撃で重傷を負った男達を三人娘達が治療していた。


「「ミズっち、大丈夫?」」

「怪我はない?気がついたらいなくなってて、心配したよ?」

「うん、大丈夫。怪我もないよ。心配かけてごめんね。」


 イワナガが我の縄をほどいていると、子供達が近寄ってきた。


「おい、さっきの話は本当か?」

「俺達、王都に行けば普通の生活に戻れるのか?」

「うん。今は王都だけだけど、将来は各町にも学校を建設しようとしてるよ。数年先になっちゃうから君達は王都に行った方がいいよ。」

「全員、連れていってくれるのか?」

「うん。みんなで行こうよ。」


 大人達に邪魔されないように、気を失っているうちに縛って転がしておいた。

 王都に行く子供は、0歳から15歳までの12人で16歳以上の男女も8人ついてくることになった。


 我等は鉄鋼の町ズィーベンに寄るので、先に王都に行くか聞いてみたら、他の町に行ったことが無いから行ってみたいと言うので、一緒に行くことになった。

 兄達だけだと護衛しきれないので、次の町まで護衛を雇い、馬車も御者付きで5台頼んだ。

 次の町から王都までは母と姉達に護衛に来てもらおうと、この町の司教様に連絡を頼んだ。


 鉄鋼の町ズィーベンに着くと、護衛として迎えに来ていた母と姉達に連れてきた子供達を任せて、我と三人娘達は魔力の実験に使えそうな鉱石を探しに出掛けた。


「ミズ、これは使ったことのない鉱石だから買っていきましょう。」

「ミズっち、こっちの綺麗な原石も買ってー。」

「これもー。見たことないやつー。」

「そうだね。使ったことのないやつは全部買っていこう。砂鉄とかも面白そうだね。」


 火山岩も宝石も鉱石も目についたものは片っ端から購入した。

 大分重くなってしまったので、とりあえず宿屋に運んでもらって、幌馬車に積み込み始めた。

 途中荷車が壊れそうになったので、全部積むのは諦めて、ちょうど子供達を王都に連れていく為の馬車を調達するところだったので、そちらに分散して入れさせてもらった。

 一通り準備ができたので宿屋でのんびり一泊して、のんびり王都に向かった。


 ゼックス町で借りた馬車は小型で、荷台に4人づつ乗ってもらって5台使用したのだが、今回の馬車は幌付きで荷台に8人乗ることができるので、3台調達した。

 護衛兼御者として、母とヤヨイ姉さんとサツキ姉さんにそれぞれの幌馬車に乗ってもらった。


「ミズちゃん、後で大事な話があります。」


 母が話を切り出すと、姉たちも大事な話があると言ってきた。

 そういえば、母も姉達もあまり料理を食べていなかったから、体調が悪くて我に【ステータス】で治してもらおうと思っているのかなと思い、【ステータス】でそれぞれ見てみた。


 ...母も姉達も妊娠3ヶ月と出ていた。


 母は前に赤ちゃん出来たかもと言っていたのでまあそうなんだろうと思ったが、ヤヨイ姉さんとサツキ姉さんが妊娠ってどういうことだろうか?

 特にサツキ姉さんはまだ12歳なのだが、相手は一体誰だというのだろうか?

 まさか父では無いだろうなと考え込んでいたら、険しい顔つきになっていたらしい。


「ミズっちこわーい。」

「うん。怖い顔ー。」

「何かあったの?」


 いつの間にか三人娘達が側に来ていたらしく、心配されてしまった。

 我が黙って姉達を見ると、三人娘達も姉達に視線を送った。


「ミズちゃん、そんなに見ないで。恥ずかしい。」

「何かごめんね?」


 ヤヨイ姉さんとサツキ姉さんがちょっと気まずそうにしているので、ずばり聞いてみることにした。


「中姉、小姉、誰の子?」

「「「えぇー???」」」

「ヤヨイ様もサツキ様も妊娠しているの???」

「うそー?」

「すごーい!」


 三人娘達が騒いでいるが、我はじっと姉達を見ていた。


「まあ、成り行きでコクヨウ兄さんとね...」

「私も...」

「...嘘?」

「「本当。」」


 コクヨウ兄さんは一体何を考えているんだ。

 王都に戻ったら問い詰めよう。


「ヤヨイ様もサツキ様も婚約発表するなら私達も発表したいです。」

「したいねー。」

「ねー。」


 側に来ていたキサラギ兄さんを見ながらイワツキが言うと、コノハナとサクヤもウツキ兄さんを見ながら言った。


「どういうこと?」

「いや、まだ何もしてないぞ?接吻位しか。」

「僕も二人の頬にちょっと...」

「当たり前でしょ?イワナガは7歳、コノハナとサクヤは6歳だよ?」


 何だか我以外の兄姉達に春がきているらしい。

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