年長期4
風邪は治りましたが、リアル多忙のため、まだしばらくはのんびり投稿になります。
第一宿場町に着いた。
途中に寄った第二宿場町への街道も第一宿場町への街道も特に何事もなく進み本日最後の宿場町に着いた。
王都から迎えとしてガウリー母さんが来ていた。
ここから王都までは平地で比較的安全とはいえ、女性一人で来るのはあまり感心しない。
「ガウリー母さん、一人で来たの?危ないよ?」
「ミズちゃん、久しぶり。元気でしたか?」
「元気だけど、一人で来たの?危ないよ?」
「ミズちゃんは心配しょうね。大丈夫よ、こんなお婆ちゃんを襲うような人間はいないわよ。」
確かにもう四十代なので、人間の寿命で考えれば、お婆ちゃんなのかもしれないが、まだまだ見た目は二十代後半から三十代前半に見える。
体を鍛えているので、余分な脂肪もついていない。
母達は全員美人なので、見慣れてしまって普段はあまり気にしないが、他の人間からは羨望の眼差しで見られることも良くあった。
そんなガウリー母さんが一人で来て何もないわけがない。
遠巻きに見ていた数人の旅人とその護衛らしい傭兵の集団から一人の青年がやって来た。
「ガウリーさん、待ち人はきたのですか?王都への帰りも御一緒できそうですね。」
「あら、サイさん。この町の御用はもうすんだのですか?」
「ええ、粗方終わりました。貴女とまた旅がしたくて急いでしまいました。」
「王都への帰りは家族と一緒ですので、御一緒するのは無理ですわ。」
「そんなつれないことを言わないで。まだ知り合ったばかりで警戒するのも分かりますが、私は一目見たときから貴女の虜なんです。是非帰りも御一緒させてください。坊やも大人の男が一緒にいた方が何かと安心ですよね?」
突然話を振られた。
我がガウリー母さんの子供だと思っているようだった。
「小兄、どう思う?この人ガウリー母さん狙いみたいだけど、お父さんになれそう?」
「無理だね。こんな優男じゃ箸にも棒にもひっかからないよ。」
「そうねー。体力無さそうだから、夜も役に立ちそうもないわねー。」
「ちょっとそこの方、夜の自信はどのくらいおあり?」
我の母とチャンディ母さんが話に割り込んできた。
「おや、こちらにも綺麗な女性がいらしたのですね。体力には自信がありますので、是非、全員とお近づきになりたいですね。」
「うーん。自信たっぷりみたいだけど、私達の旦那様と比べるとねー。」
「シバに勝てる所はあるのかしら?」
さらにカーリー母さんとウマー母さんが割り込んできて青年を見ていた。
「こんなに綺麗な奥方達を放っておくなんて信じられない。私なら寂しい思いをさせません。皆さんも薄情な旦那の事など忘れて私達と一緒に暮らしませんか?」
「ふーん。シバ将軍の奥さん達を寝とる勇気はあるんだー。」
父さんをバカにされた気がしたので、聞こえるように呟いた
「え?シバって将軍のシバなのですか?...あぁ、まだ用事があったのを思い出しました。美しい方達、名残惜しいけど、これで失敬します。」
「「「バイバーイ」」」
そそくさと立ち去るのを見送りながら、最初から父の事を伝えておけばいいのにと思った。
(パ)「あー、面白かった。」
(カ)「最近あまり口説きに来る男性がいなかったから、久しぶりに楽しめたわー。」
(チ)「まだまだ私たちも捨てたもんじゃないわね!」
(ガ)「それは日々の努力の賜物ですわ。」
(ウ)「ガウリーさんは旦那様と一緒で王都組だったからいいでしょうが、私たちはこのところずーっと一人寝なのだから、王都に着いたら私達四人が優先ですわよ!」
母さん達が楽しそうで良かった。
その後母達の間から「あれが」とか「立派な」とか聞こえてきたが、興味がないので宿へ向かった。
ここが王都への最後の宿場町になるのだが、いつものように簡易宿にしたので、露天風呂を作りながら、この国の人間達の結婚について考えていた。
死にやすい人間達は生き残る為に少しでも強い遺伝子を残そうとする本能のせいか、強い男性に女性達が群がる傾向がある。
身体能力の優れたものはもちろん、知力の優れたもの、財力の優れたものにも女性達が群がる。
他の国で一夫一妻制の所もあるが、多妻制がほとんどだ。まれに多夫だったりもするので、制度というよりは自由ということなのだろう。
結婚していても更に良い条件なら相手を変えることなど当たり前になっている。
本人同士はそれでいいかもしれないが、子供は大変だ。
子供は女性が育てるので、連れ子での再婚だと相手が未婚なら問題ないが、既に何人もの奥さんがいる所だと、血の繋がりのない兄弟姉妹達が突然できる。
大概仲良くならないので、兄弟姉妹にいじめられたり、他の母達に嫌がらせされたりして早逝することが多い。
たとえいじめもなく仲良く暮らしていても12歳になれば働き手と見なされるので、一人立ちしなくてはならない。
連れ子が女の子だと更に問題がおきる。
成長するにつれ家族の男達に狙われ続け、義父の嫁か義兄弟の嫁にされることもある。
幸い父は最強で知力も高いので、母に見切られずにいるので我が別の家族の仲間入りすることはなさそうだ。
逆に父はモテるので、新しい家族が増えそうだが、幼い子持ちの母親には手を出さない主義だそうで、突然兄弟姉妹ができることはないらしい。
血の繋がらない兄弟はコクヨウ兄さんくらいだが、コクヨウ兄さん場合は特別なので、特に問題はなかった。
当時父は第三婦人の侍従の一人であるウマー母さんと付き合っていて、ウマー母さんの妊娠が発覚した頃に第三婦人の保護を頼まれたそうだ。
ちょうど王都に来ていた我の母に手助けを頼み、侍従達も一緒に逃亡させたそうだ。
第三婦人はコクヨウ兄さんを産んで10日後に亡くなったそうだが、ウマー母さんもムツキ姉さんを産んでいたので、一緒に育てのだそうだ。
コクヨウ兄さんとムツキ姉さんの誕生日は一週間しか離れていないけど、新年に歳を追加するので、年末に生まれたコクヨウ兄さんは生まれてすぐに一歳になった。
話が脱線してしまった。
この国の結婚を考えていたんだった。
そもそも子供が育ちにくいのを何とかすれば良いのではないだろうか?
産んだ子供が確実に大人になれるなら、多く産む必要もないし、強い子を残す本能も薄れると思う。
お金もない力もない顔が良いだけの優男も結婚できるかもしれない。
今のこの国は魔物や盗賊から家族を守れる強い男しか結婚できない。
力で自らが守ってもいいし、お金で傭兵を雇うでもいいから、守れることを証明しないと結婚できない。
正確に言うと結婚は出来るが、子供を育てない。
生まれても殺すか捨てるかしてしまう。
捨てられた赤ちゃんも拾われることはほとんどないので、野生の動物に食われるか魔物に食われるかだった。
「なんとかしないとなー。」
我は知らず知らず口に出してしまっていた。
「ミナツキどうしたのー?」
「悩みごとー?」
「良ければ相談に乗りますよ?」
すっかり忘れていたが、三人娘が風呂の準備の手伝いに来ていたのだった。
「うーん。この国の結婚のあり方と子供達の境遇について考えてた。どう思う?」
「あー。そうだねー。」
「私達とイワナガも実は父が一緒だよ。」
「私の母は私が生まれてすぐに私をつれて今の父のところに嫁いだので、コノハナとサクヤの事は女子寮で一緒になるまで知りませんでした。」
「えっ?知らなかった。全然似てないし、そんな素振りもなかったし。イワナガは虐めとか大丈夫だった?」
「幸い私が一番上になるので、今のところは大丈夫です。両親は商人なので世界中を回っていて、実家は義母達と義弟妹ばかりで居心地が悪くて、3歳から寄宿舎のある学校ばかり選んで入学していました。」
「「イワナガお姉ちゃんって呼んであげてもいいよ?」」
「遠慮します。」
「「えーーー。つまんないなー。もう。」」
身近に既に被害者がいた。
やはりコクヨウ兄さんに改善案を提案するべきかなと思っていたら夕飯に呼ばれた。
夕飯を食べながら、この国の子供の育成について家族会議をしていたら、我の母は父と血が繋がった兄妹だと知らされた。
なんでも母と父の母親、我にとっての祖母が同じらしい。
祖母は父を連れての再婚で母を産む頃には父は一人立ちして家にいなかったので、母は王都に来るまで父を見たことも無かったそうだ。
母の異母兄弟姉妹は父を物凄くいじめていたそうだ。そのおかげで、父は強く育ったと言っていたそうだ。
...家族にも被害者がいた。
父だったから平気だっただけで、他の血の繋がらない兄弟は死んだらしい。
やはり、子供が確実に育つ国を目指そう。




