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みんなで綴る物語  作者: サラサ
30/73

年中期F

ムツキ姉さんのお腹はだいぶ大きくなっていた。

体調を見てみると順調のようで、妊娠7ヵ月になっていた。

もう安定期だから悪阻もないそうで、食欲もあるようだった。

中から蹴ってくるのよというので、そっと触ってみたが、あまり分からなかった。

もう少ししたら他の人が触って分かる位になるらしい。

我はお腹の子に元気に育って早く出てきてねと言い、教会へ向かった。


王都の復興工事はだいぶ進んでいた。

道は碁盤の目のように舗装され、平らな敷石が敷き詰められていた。

大通りには商館や旅館が並び、少し外れた静かなところに病院や学校、図書館などが建つようだった。

東西南北の城門には検問所と兵士の詰所が設けられていた。

王都の中央に水濠で囲われた高台ができており、ここに城を建てるのだそうだ。

コクヨウ兄さんや父さんは城にこだわりがないので、必要最低限の小さい城になるようだった。

もう城の土台は出来上がっており、来年早々には完成するそうだ。

城下町も我のお願いした公園が各所に出来上がっており、あとは民家を建てれば完成といったところになった。

民家は大中小に分けて収入の順に割り振るべきだろうか?

それともみな同じ大きさが良いだろうか?

大商人は使用人も一緒だから大きい方がいいか?

それとも同じ大きさで使用人は隣に住んでもらえばいいか?

我が考えても分からないから、家に帰って皆に聞いてみることにした。


兄姉は役に立たなかった。

雨風が凌げれば充分ってどこの原始人だ。

まあ我が生まれて数年まではそういった生活をしていたのだから仕方ないか。

元貴族で侍従だった母達にも聞いてみたが、貴族は見栄っ張りなので一番大きい家を希望するだろうとのことだった。

しかしコクヨウ兄さんは民主主義に移行しようと思っていて、貴族廃止に動いていたので、貴族に大きな家を提供するわけにはいかなかった。

皆で悩んでいると三人娘が手をあげた。

コノハナ、サクヤ、イワナガが順に発言した。


「そもそもタダで家をあげるのがおかしいです。」

「適当に区分した土地を買ってもらうべきです。」

「収入にあった家にしなかった人達は、後々破産して家屋を手放すことになるでしょう。」


ふむ。なるほど、土地を買ってもらうのか。でも着の身着のままで逃げ出してきた人間達は貯蓄が無いけど、どうするのかな?


「商人には金貸し業をしているものも多くいます。現在お金がなくても職人であれば収入を見越せるので貸してもらえます。」

「王都の建設ですでに稼いでる方も大勢います。何もしていないのは貴族位です。」

「貴族廃止にするのであれば、貴族にも何かできる仕事を斡旋する必要があると思います。教養は高いので、教師か役人辺りになるでしょうが、性格を矯正しないと横柄な態度を取るでしょう。それさえ正せれば特に問題はないと思います。」


流石、商人の娘達だ。我よりちょっと上なだけなのにしっかりしている。

我は大雑把に区画割りをして、王都に住みたい人間達に選ばせる事にした。

立地のよい場所はすぐに商人達に買い占められた。

借家にして家賃を取るのだそうだ。

なるるほど、その手があったか。全部借家にして貸し出せば良かった。

三人娘は知ってて言わなかった気がする。

まあ、過ぎたことは仕方ない。あまり高い家賃にしないように注意してもらおう。


旧王都の住人は半数位なので半分埋まればいいかと思っていたら、あらかた埋まった。

この町の住民も移住希望が多かったので、他の町にも募集をかけたらかなりの数が応募したので、抽選になった。

落ちた人達には商人達がすかさず賃貸を斡旋していた。流石だ。

土地を購入した人達は建てる家を選んでいた。

予め決められた数種類の組み合わせで一気に建築していくので、短期間で建つそうだ。

獣人達の技術は素晴らしい。


今日からまた学問所に通い始めた。

我に付いてきた三人娘も一緒に通うことになった。

入学試験の結果で初等クラスのA級になったので、同じ教室だったのだが、我だけS級で別々の授業だったので、自分達もS級にしてくれと頼んでいた。

三人娘達は前の学校で研究していた極秘の研究レポートを獣人先生に提出していた。

なんでも魔力に関するレポートだそうだ。

人間の負の感情から魔が生まれ、動植物に影響を及ぼすことを魔力として書いてあった。

まだ理論だけだが、魔力の有効活用まで書かれており、魔法と名付けられていた。

そのレポートが評価され、試験もパスしてSクラス入りしてきた。

知らなかったが、結構優秀なのかもしれない。

我の隣の席に誰が座るか協議している横で凄い娘達と知り合ったんだなと感心していた。


共に勉強できる相手がいるのは楽しい。

今まで先生と二人で念話の授業ばかりだったので、部屋の隅を借りていたが、人数も増えて話す声が聞こえてしまうので、Sクラス専用部屋をつくってもらった。

先生の話は結構世界規模なのだが、三人とも世界情勢を知っている商人の子供達なので、問題ないようだった。

獣人の文化か優れていることも知っており、そんな授業を受けられることに感動していた。


実技訓練も仲良し四人組で行った。

身長も近いので、奇襲技が使えず、普通に格闘と剣の打ち合いになっていたが、お互い順調に伸びていき、我の体力が11歳並みになった。

もう少ししたら中等部に進もうと思うと3人娘に告げたら、一緒に試験を受けたいからとさらに鍛練を続けた。


お産が始まっていた。

夕方から陣痛が始まり、辛そうなムツキ姉さんの腰を一生懸命さすってあげていたが、すぐに疲れてしまって母達に交代した。

出産まで時間がかかるから我には先に寝ているように言われた。

母達は代わる代わる腰をさすりながら、出産まで付き添うようだった。

コクヨウ兄さんは落ち着きなくウロウロしていたが、父に捕まって酒盛りを始めていた。

まだ生まれてもいないのに出産祝いだそうだ。

我はまんじりともせず朝を待った。

夜も明けきらない早朝に出産が始まった。

破水して一気に進んだようだ。

我も呼ばれて見に行った。

もう赤ちゃんの頭が見えていた。

なかなか生まれて来ないので、赤ちゃんを【ステータス】で見てみると、仮死状態となっていた。

へその緒が巻き付いて血行障害がおきていた。


「大変、へその緒が絡まって赤ちゃん死にそうだよ。」


我は慌てて叫んだ。


「本当か?見えないぞ?」

「ミズ様、それはいけません。すぐに処置しないと。」

「どうすればいいの?」

「我らで処置します。」


獣人の医者達が手術の準備を始めた。

お腹を切って赤ちゃんを取り出すそうだ。


「えぇ?お腹切ったら死んじゃうよ?」

「はい。出血が多いと危険です。なので輸血が必要です。血液型を調べるのでそこに並んでください。」


我の母だけ針が通らなかった。

そういえば、絶対防御をつけたままだった。

ムツキ姉さんにも絶対防御を付けたままだったので、慌てて解除した。


「ミズ様!」

「分かってる。もう平気。」


バタバタしながら輸血の準備をしていた。

我は小さいのでダメだったが、家族全員同じ血液型をだったので、父や母達から輸血するそうだ。

足りなければ兄姉に頼むらしい。


しばらくして赤ちゃんの泣き声が聞こえた。

急いで部屋に入るとまだムツキ姉さんは手術中だった。

切り開いた腹部を縫い居合わせるのだそうだ。

動揺して忘れていたが、傷を治すなら我の方が傷跡も残らないし良かったのではないだろうか?。

赤ちゃんも見えていたのだから、【ステータス】で状態異常を書き換えられたのではないだろうか?

冷静になってみると、色々と反省点が見えた。

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