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みんなで綴る物語  作者: サラサ
29/73

年中期E

隣国に着いた。


実際は人質なのだが、交換留学という名目なので、学生寮に入ることになった。

寮は左右に建つ棟と、中央に丸い建物があった。

左の棟は男子寮で右の棟は女子寮となっていて、中央は食堂で一緒に使うそうだ。

とりあえず案内された部屋で荷物を出していると、先輩らしい男子学生がやってきた。


「初めまして。私は寮長を任されているアイザックといいます。滞在期間は一年と伺っていますが、その間何か困ったことがあれば遠慮なく言ってきて下さい。」

「こんにちは。初めましてミナツキです。よろしくお願いします。」


荷物を放り出して急いで挨拶をした。

集団生活は最初が肝心だ。

道中練習してきたとっときの笑顔で挨拶した。


「ふむ、まだ小さいのに入学を許可されるだけはありますね。寮内を案内しますのでついてきてください。」

「はい。よろしくお願いします。」


男子寮は娯楽室、談話室、勉強室、反省室、相談室とあり、他には共同の風呂、トイレ、シャワー室、洗面所とあった。

流石、大国だけあって設備が充実している。

一通り案内されたので、夕食まで部屋で荷物の整理の続きをした。


寮長に呼ばれて食堂に向かうと、歓迎会が催されていた。

中には我より少し大きいだけの子も数人いた。

これなら余り目立たないかもしれないとほっとしてとっときの笑顔で挨拶をした。


「ミナツキといいます。まだ出来ないことも多いのでご迷惑をおかけするかも知れませんが、よろしくお願いします。」

「「「よろしくー!」」」


大きな声が近くで聞こえた。

我よりちょっとだけ大きい小さな女の子が三人いた。


「私はコノハナ、よろしく!」

「私はサクヤ、よろしく!」

「私はイワナガです。これからよろしく!」


ちびっこ三人組と呼ばれている三人は自分達より小さい我が入学するのを楽しみにしていたそうだ。

コノハナとサクヤは双子の姉妹で、我より1つ上の5歳、イワナガは2つ上の6歳だった。

三人と話し込んでいると、回りからちびっこ四人組結成!とか聞こえてきた。


次の日は我のクラス分けのための試験が実施された。

この学校は初学、中学、高学と別れた棟があり、それぞれの棟でさらに1年~6年の学年別に階が分かれており、六階建てになっていた。

我は学力的には高学棟でも大丈夫だが、体力が10歳程度なので、初学棟の5年に編入することになった。

5年生だけでも12クラスもあり、能力別に戦闘系6クラス、戦術系6クラスと分かれていた。

我は戦術系の1組になった。

5-1と書かれたクラスに入ると、あのちびっこ三人組がいた。

ここでもちびっこ四人組と呼ばれる運命にあるらしい。

見知った顔を見たので少しだけ心強い。

我はここでもとっときの笑顔で挨拶した。

我の席は背が低いので一番前になった。

四列ある席の他の最前列はちびっこ三人が占めていたので、横一列ちびっこ四人組になった。

どんな授業をするのか楽しみにしていると、科学という獣人の国のような授業が始まった。

獣人の国では化学とか物理学とか天文学とか言っていたが、ここではそれに近い科学を学ぶようだった。

確か神の領域だから、禁忌に指定されていたような?

先生に聞いてみると、そんな凄いことではなくて、水の沸騰する温度や氷になる温度とか季節の星の見方とかの簡単な所から、将来的には爆薬の調合まで学ぶそうだ。

爆薬は禁忌に触れそうな気がするが、北の大陸では岩盤を砕くのに使用しているそうだ。

この国ではまだ実現には至っていないようで、高学棟で研究中だそうだ。

我の学年は鉱物の特性の違いと新しい薬草の効能の研究をしていて、座学ではなく実学で進めていくようだった。

我はイワナガ、コノハナ、サクヤと組んで、薬草の研究をすることにした。

ちょっとずるいが、【ステータス】で新薬草を見ると、

・ケシ科の高山植物

・夏に花をつける

・実にアルカロイドを含む

とあった。

アルカロイドは確か色々な薬にできたはず。主には鎮痛麻酔用かな。

とりあえず、実が必要なので苗ごともらって研究することにした。

まだ花も咲いていないので、しばらく育てる事にして、それまでは暇なので、他のチームの見学をさせてもらった。


学校の休みの日になったので、教会に行くことにした。

この教会の司教様は兎頭の女性だった。

監視の人間がさりげなくついて来ていたので、お祈りを捧げつつ念話で会話した。


『ムツキ姉さんの赤ちゃんは順調?』

『はい。特に問題なく成長されているようです。現在妊娠5ヶ月といった所ですね。あと5ヶ月程で出産予定ですね。』

『そうか、無茶ばかりするから心配だったけど、安心した。他の家族は元気?』

『はい。婚礼の儀も王位継承の儀も滞りなく終了し、ミズ様のお父様は将軍になられました。宰相などの役職がまだ決まっておらず、選定中のようですが、決まるまではお母様達と協議しながら国政を仕切っているようです。』

『そうか。国政も順調のようだね。王都の復興具合はどう?』

『現在、ミズ様提案の線路を敷いているそうです。ところで、車両を動かす動力はどうするのですか?』

『それは考えている。動物を魔物に変えるだけの魔力をエネルギーに転用できれば、魔物も減るし一石二鳥だと思わないか?人間がいる限り永久に動き続けることができる。』

『それは素晴らしいですが、人間の負の感情が減ると魔力も減りますよ?幸せな人間ばかりになったら使えません。』

『それはそうなんだが、人間は二人いれば言い合いになり、三人いれば争いになるような生き物みたいだから、そう簡単に幸福にはなれないんじゃないかな?それに他人より幸福になりたいって欲求も魔力になってるし、何も考えない人間はいないと思うよ。』

『それもそうですね。動力の開発はミズ様が行うのですか?』

『王都に作る学校で開発してもらう予定。それまでは馬に引いてもらうか人力かな。』


いつ開発できるか分からない未来の話に花が咲いてしまったが、現実は馬を四頭位で使い回すか、歯車を数個使って人力で漕ぐかしよう。地面との摩擦が無い分、楽に引けるはずだ。


長いお祈りを終えて寮に戻ると、ちびっこ三人娘が待っていた。

来月始まる交流戦に出場してみないかというお誘いだった。

戦闘系とガチで戦える訳がないので、どうするのかと思ったら、期間中に胸に付けているリボンを取るだけなので、不意打、騙し討ちで奪うそうだ。

例年ちびっこ三人娘は勝ち組らしい。

面白そうなので参加してみた。


確かに小さい方が有利だった。

我のリボンを取ろうと屈み込んだ隙に懐に入り込んで素早く取った。

三人娘達は取られそうになると、嘘泣きして返してもらっていた。しかも怖がらせたお詫びといってリボンを受け取っていた。

さすがに狡賢い。


3ヶ月ほど楽しく学んでいたら、急に帰国命令がきた。

どうやら我と交換で行ったこの国の末の姫様が父さんに惚れてしまったらしい。

慌ててつれ戻す事にしたようだ。

まさか、手を出したりしてないだろうが、帰ったら聞いてみよう。


我が急遽帰国することになったと告げると三人娘が付いて来ると言い出した。

三人娘の両親はどちらも商人で、世界各国を回っているので、安全な国ならどこにいてもいいらしい。

ちょうど我の国にいると連絡をもらっているようで、行ってもいいか手紙を出したそうだ。


帰国の準備を進めていると三人娘達が返事を持ってやって来た。

どうやら一緒に行けるらしい。


ということで、女の子三人連れて帰ったら、家族に流石父さんの息子だと言われた。

...何もしていないのに、納得できない。

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