年中期D
父達が帰ってきた。
「父さん、母さん、大兄、大姉、お帰りなさい。」
「「「「ただいま。」」」」
「怪我はない?大丈夫?」
「ああ、みんな元気だ。」
無事を確認すると父達の後ろにいる町人らしい母娘が気になった。
父の説明では、国境の町に向かう途中で魔物に襲われているところを助けたそうだ。
そして助けられたお礼にと誘われて、体の関係をもったらしい。しかも大兄さんまで娘さんに誘われて関係をもったそうだ。
「父さん、大兄、なんで別の奥さん作るの?母さんも大姉もいたのに。」
「これはだな、助けられたお礼に何もないから、せめて体だけでもと裸体を差し出されれば、男なら応じてしまうものだろう?」
「分からないよ!」
「ミズ、お前はまだ小さいから分からないだろうが、女性に裸で抱きつかれて抱いてと言われれば断れないんだよ。キサラギは分かるだろう?」
「悪い、俺にも分からんわ。」
「母さん、大姉、良いの?父さん達許すの?」
「ミズちゃん、男の人はみんなこんなものなのよ?」
「コクヨウ兄さんも男だったってことね。しょうがないから、諦めるわ。」
「ムツキを一番に愛してるのは変わらないよ。ただ妊娠中でしばらくご無沙汰だったから...」
「言い訳しないで!僕は嫌だよ!」
「坊や、ごめんね。大丈夫よ、私達は挨拶したら出ていくから。」
「そうよ。何も奥さんになるために付いてきた訳じゃないから、安心して。今度この町で商売するから挨拶だけしに来たのよ。」
母娘の母の言葉に驚いた。
母達曰く、父は体力も凄いが精力も凄く、一度抱かれると腰砕けになって離れられなくなるのだそうだ。
それなのに、あっさり身を引くとは。
不思議に思って【ステータス】で見てみると職業が娼婦になっていた。
この町でする商売も娼館で娼婦だそうなので、適職の職業についているせいか、レベルが78もあった。
レベルが高くても人生経験豊富なだけで、強いというわけではないが、どうも怪しい。
そういえば、先生から隣国は各国に間諜を放って動向を探らせていると聞いたことがある。
そして間諜の多くは女性で娼婦になり済ましているとも聞いた。
この二人は怪しい。
不審な目を向けていたら、気づかれた。
「坊や、そんなに怖い顔して見ないでちょうだい。すぐに出ていくわ。皆さんご迷惑をおかけしてしまったようで、申し訳ありませんでした。お詫びします。ですが、こういう商売ですので、後容赦下さい。」
「何かありましたら、ご贔屓に。」
言うだけ言って去っていった。
父は名残惜しそうに見送っていた。
これは完全に惚れているな。危ない。
コクヨウ兄さんの方は未練もないようで、ムツキ姉さんと一緒に部屋に戻っていった。
次の日は朝から大忙しだった。
停戦と和平交渉の発表、王位継承の儀と婚礼の儀の日取りの発表、王都復興中はこの町に臨時王朝を置く事の発表などである。
中でも問題だったのが、停戦協定の条件としての人質を誰にするかだった。
本来なら王族の誰かということになるのだが、コクヨウ兄さん意外全員死亡しているので、誰にするかが問題だった。
ムツキ姉さんはまだ婚約の発表もしていないので、人質に指名されることも無かった。
父を正規軍の将軍とすることで、その家族を人質として差し出すことになり、一番下の我が指名されたそうだ。
「僕なら平気だよ。いつでも逃げられるし。」
「ミナツキ、すまない。いつも大変な目に会わせてしまって。父さん失格だな。」
「ミズ、お前ならどこにいてもすぐに帰って来られると信じている。悪いが行ってくれ。」
「うん。結婚の儀を見れないのは残念だけど、仕方ないね。向こうでも教会には行けるかな?まだ勉強したいこと沢山あるし。皆の事を知るためにも教会には自由に行けるようにして欲しいな。」
「それは大丈夫だ。教会は中立でどの国にもあって出入りも自由なはずだ。実質人質とはいえ、交換留学として行くから、学校にも通わせてもらえるそうだ。」
「え?学校?どんなとこ?」
「王侯貴族も町人も一緒に学ぶ所だそうだ。軍事大国だから武力の高いものを尊ぶらしいし、戦闘訓練もあるようだ。」
「えー。訓練は余り得意じゃないから、嫌だなー。」
「ミズちゃん、何を言っているの?訓練は大事よ?訓練すればするほど、剣が応えてくれるのよ!」
「「「そうよ!!」」」
母さんも、ムツキ姉さんも、ヤヨイ姉さんも、サツキ姉さんまで...
我が家の戦闘脳の女性達はどこかおかしい。




