年中期B
王位継承の発表が各国に伝えられた。
両親はすぐに東の隣国へ向かったが、すでに臨戦態勢だから城には行かない方が良いと教会の司教様に言われ、東の隣国以外の国々を回って帰ってきた。
東の隣国へは、司教様にお願いして教会の発表という形になった。
現在両親は隣国が攻めて来るのでそちらの対応をしている。
今日はコクヨウ兄さん率いる傭兵団と父が率いる正規軍と母が率いる義勇兵が出兵する。
見送りに出たらムツキ姉さんが何故か剣を持って立っていた。
「大姉、もしかして出兵に参加しないよね?」
「え?もちろん参加するわよ?」
「赤ちゃんいるのに?何かあったらどうするの!?」
「このくらいで流れてしまう子なら、生まれても長生きできないわよ。」
この姉も我が母も戦闘脳の女性達は、普通基準がどこかおかしい。
仕方ないので、【絶対防御】の加護をつけておいた。
「無理はしないでね?絶対だよ?」
「大丈夫よ。すぐに追い返して帰って来るわよ。ミズちゃんは心配症ねー。」
ムツキ姉さんに頭を撫でられながら、我も着いていくと言ったら全員に却下された。
我がついていけば見える範囲の敵を行動不能にすることなど容易いのに。
危ないから駄目というのは納得できない。
確かに両親は、傭兵や兵士の基準からいうとS級で、コクヨウ兄さんとムツキ姉さんはA級、我は頑張ってもE級位だと思う。
正規軍がB級で傭兵団と義勇兵がC級だから、我程度では足手まといだとは思うが、一般兵がEF級位だから、結構大丈夫な気がする。
それでも駄目だと強く言われてしまい、渋々了解した。
今回は最速で国境に着くことを優先するそうで、少数精鋭の軍になった。
両親達を見送ってから、教会へと向かった。
難民受け入れの準備と隣国との戦闘、コクヨウ兄さんの王位継承の儀とムツキ姉さんとの婚礼の儀、やることが一杯で忙しい。
まあ、どれも我は手伝わせてもらえないのだが。
母達は儀式の準備を進めている。
さすがは元侍従達である。
細かい所作も覚えていて注意書を作っている。
我に手伝えることは無いので、兄姉達の所へと向かった。
兄姉達は難民受け入れのため、用意された敷地の整備を指示していた。
何か手伝えることは無いかと見回していたら、炊き出しのおばちゃん達が料理をしていたので、野菜の皮剥き位できると思い手伝いに行ったのだが、うまくいかなかった。
剣はだいぶ振れるようになったのに、料理用の小刀を上手く使えない。
よく考えたら材料を拾ったり運んだりしかしたことがなかった。
ここでもやることがなくなってしまったので、教会に戻ってこっそり崩壊した王都に向かった。
被害状況の調査の為に獣人達がいた。
生存者の確認は終わっているので、貴重品や焼け残った調度品等を掘り出していた。
復興費用に当てるらしい。
獣人達の作業を眺めながら、目の前の家の瓦礫を【ステータス】で見てみた。
崩壊、焼失とあるのを消しても、瓦礫になった家屋が元に戻ることは無かったが、分解して消失させることは可能だった。
瓦礫の撤去に数ヵ月かかると獣人達が言ったので、更地になら簡単にできるから手伝うことにした。
貴重品や調度品の回収があるので、一軒づつ分解していく。
十万人が生活していた王都の家を一軒づつ分解するのは疲れるから回収は諦めて欲しいなと思っていたら、王族や貴族の家だけなので十数軒だけだった。
後は一気に分解していいとのことだったので、重力操作で王都を見渡せるまで浮上した。
王都の家屋はほぼ煉瓦作りなので、石と煉瓦を分解した。
これで残りは再利用可能な木材と金属が残るはず。
そういえば、宝石は石だから分解してしまった。
王候貴族の屋敷から回収してあるみたいだから、後はあっても商人の家だろうけど、商人はいち早く逃げ出してきたそうだから、貴重品は残っていないだろう。
後の片付けは獣人達に任せて、家に戻った。
母達や兄姉達も戻ってきており、今後の事を話ながらの夕飯となった。
父達の軍も強行軍で明日には国境に着くだろう。
こっそり見に行くことができないか考えていたら、兄姉達に駄目だと念押しされた。
なぜ考えていることがばれたのだろうか?
「戦闘を見に行こうなんて考えてないよ?国境の町ってどんなところなのかな?って思ってただけだよ?」
苦し紛れに言い訳を考えた。
「150経験値獲得」
「次のレベルまであと304です。」
言い訳を考える経験値かな?




