年中期5
王都に着いた。
途中乗馬の練習をしつつ、山も迂回しての工程だったので、予想よりも時間がかかった。
家族で行く場合は山越えだろうから、急げば2日、魔物退治しつつ行っても4日位の距離だった。
馬を使っているのに一週間は考えていなかった。
城に連れていかれると、風呂に入れられ、着替えさせられた。
風呂は町にいたときも入っていたが、民草が入る大浴場なので、貴族用の個室風呂は初めてだった。
着替え終わって待っているとコクヨウ兄さんも正装してやって来た。
何時も格好良いけど、今はさらに良くなっていた。
コクヨウ兄さんについて入ってきた人間は今日から侍従として仕える人間だそうだ。
我は侍従からコクヨウ兄さんの小姓として勤めるように言われた。
王族と民草が兄弟などあり得ないということらしい。
まして同じ部屋で寝起きを共にするなら身分は奥小姓くらいしかないとのことだった。
コクヨウ兄さんは複雑な表情をしていた。
「大兄、奥小姓ってなあに?」
「ミズは知らなくていいことだよ。」
教えてもらえなかったので、侍従さん達に聞いてみた。
...確かに知らないほうが良かったかな。
表向きには寝室の準備とか掃除とかなんだろうけど、裏の意味がちょっとよくわからない。
兄弟だから同じベットで寝ても変に思わなかったけど、ここでは他人として暮らさないといけないから、部屋は分けてもらった方がいいかもしれない。
「大兄、ベットは別がいい。」
「ああ、続き部屋をお前の部屋にしよう。」
とりあえずコクヨウ兄さんの隣の部屋を使うことになった。
「お支度が整いましたら、お食事の前に王城の規則と礼儀作法についてお教え致します。」
「コクヨウ様には王族としての立ち居振る舞い方を覚えていただきます。」
「あなたは臣下としての礼儀作法、特にコクヨウ様への言葉使いを直しなさい。」
我に対する扱いはやはり低い。
父は一応下級貴族出身であるが、母は平民出身だった。
この国は母親の血筋が重要視されるようだ。
他の母達は王城に勤められる程度には身分が高いので、中流より上かもしれない。
今度聞いてみよう。
実は母達から礼儀作法はバッチリ教えて頂いていたので、やろうと思えば完璧にこなす自信がある。
「失礼致しました。侍従様の仰られる通り、コクヨウ様への言葉使いを直させて頂きます。」
「コクヨウ様、先程は大変失礼致しました。これからは言葉使いに気をつけて申し上げようと思います。」
「少しはまともになったようですね。これからも気を抜かずに頑張りなさい。」
「次は御辞儀の仕方からです。」
完璧に御辞儀をしたつもりなのに、延々とダメ出しをされた。
王候貴族ならそれでいいが、庶民はもっと頭を下げろと言われ続けた。
「52経験値獲得」
「次のレベルまであと414です。」
経験値が上がった。
御辞儀の経験か?屈辱に耐えた経験か?
考えていたら食事が運ばれてきた。
「お食事中はテーブルマナーを覚えていただきます。」
基本、我は貴族と同じテーブルに着くことは無いそうだが、この部屋でなら一緒に食べても多目に見るらしい。
給仕の人間達がみているので、最低限のマナーは必要とのことだった。
テーブルマナーも母達から教えられているので余裕のはずだった。
なぜかダメ出しの嵐になった。
数ミリ持つところがずれているとか、数ミリ角度が違うとか、些細な所を拾ってはダメ出しをされた。
すっかり冷えたスープを口に運ぶと変な味がした。
嫌な予感がして、自分を【ステータス】で見てみると、状態異常の項目に遅効性毒とあった。
スープを【ステータス】で見てみると、毒物混入になっていた。
遅効性の毒なので、【ステータス】を書き換えた。
コクヨウ兄さんは毒物無効の加護をつけてあるので、状態異常になっていなかった。
食事が運ばれてくる度に、【ステータス】を見てみたが、とりあえず毒はスープだけに入っていたようだ。
ここは敵地だから常に回りに気を配る必要があると強く感じていた。
「90経験値獲得」
「次のレベルまであと324です。」
また人生経験が上がった。




