年少期2
商業組合では商人になるための学校が併設されていた。
「ちょーっと坊やには早いかなー」
「もう少し大きくなってからまた来てね。」
...門前払いだった。
傭兵訓練所も職人育成所もまだ年齢的に無理だったので、素直に学問所に通うことにした。
次の日、両親と大兄さんと大姉さんが旅支度していた。
「大兄、どっか行くの?」
「ちょっとね。一ヶ月位で帰ってくるよ。いい子で待ってればお土産買ってきてあげるよ。」
「ミズちゃん。お姉ちゃん頑張ってくるよ。待っててね。」
「ミナツキ、母さん達の言うことをちゃんと聞くんだぞ。」
「ミズちゃん、行ってくるわねー。」
「いい子にしてるから早く帰ってきてね。」
両親と兄姉を見送ってからさっきの言葉でひとつ気になった。
ミナツキって我のことか??
中兄さんに聞いてみた。
「中兄、ミナツキって誰?」
「ミナツキはミズのことだよ。ミズは愛称だよ。ちなみに俺はキサラギ。」
「中兄は中兄じゃないの?みんな違うの?」
「大兄さんはコクヨウ、大姉さんはムツキ、俺がキサラギ、で、俺から下が順にヤヨイ、ウツキ、サツキ、でお前。」
なるほど、我はミズではなく、ミナツキというのか。縮めてもミナとかミツとかミキにしかならない気がするが、愛称だから何でも良いということか。
なんとなく納得できないので眉を寄せていたらキサラギ兄さんが愛称の理由を教えてくれた。
「ミズは生まれた時はもっと薄い青色の髪の毛で、水色に見えたんだよ。で、親父達が決めた名前がミナツキだったからミツじゃなくミズに自然となってた。」
なるほど、髪の色からだったのか。
今度は納得して頷いていた。
「そういえば、ミズは今日から学びに行くんじゃなかったのか?」
「ちび達はもう出掛けたぞ?」
「えっ?...どうしよう。」
「初等クラスの開始時間はまだだから、置いていかれたな。」
「俺も今日は遅いから一緒に行ってやるよ。」
「ありがとー、中兄。」
キサラギ兄さんと一緒に学問所へ行った。
小兄さんと小姉さんは年齢的には初等クラスのはずだけど、中等クラスへ編入したそうだ。
我も本当は、まだ教会で教わる年齢なのだそうだ。
キサラギ兄さんは高等クラスに向かった。
「頑張れよ。」
「うん。がんばる!」
何を頑張るのか良く分からなかったが、勢いで返事をした。
初等クラスには、我の他に六人の子供がいた。
「初めまして。ミズです。あっ違った。ミナツキです。よろしくお願いします。」
元気良く挨拶したのに、返事が返ってこなかった。
とりあえず空いている席に座って先生を待った。
「お前、英雄シヴァの息子だろ?」
「パール様の御子息ですか?」
「お前の姉ちゃん、この前広場で暴れてた奴だろ?」
「さっき一緒にいたかっこいい男の人はお兄さんですか?」
「...ヨロシク」
「ふぁー。寝不足なんだから静かに寝かせろ。」
なんか一斉に話しかけられた。
メモ
父:明るい茶髪、青瞳、剣士、40歳、シヴァ
母:金髪、薄い青瞳、薬師、30歳、パールバティ
母1:ウマー
母2:ドゥルガー
母3:アンナプールナー
母4:ガウリー
母5:カーリー
母6:チャンディー