年少期1
神獣が天地創造を行ったと教会で教えられた。
確かに星星を纏めたのは獣だったから、獣を神として崇めるのも納得した。
この世界を支配している獣人達は、神の御使いとして各地の教会に散っているらしい。
この町の教会にも狼の顔の獣人がいた。
...狼には嫌な思い出しかない。
気が滅入るがこの世界について勉強を始めた。
1.神獣はこの世界に唯一の神である。
2.神は大地を造り、海と空を造った。
3.大地から人間が誕生した。
4.神は楽園を造り人間を住まわせた。
5.数の増えた人間達が争い始めた。
6.神は獣人を造った。
7.獣人は神の御使いである。
8.獣人により争いは調停された。
9.教会の司教は全て獣人である。
10.獣人は12種族おり、不老長寿である。
11.獣人だけが神託を得ることができる。
12.人間の国は12ヵ国ある。
13.人間の平均寿命は50歳位である。
14.国によって君主制、共和制、民主制がある。
15.この世界は四つの大陸に分かれている。
16.北の大陸はひとつの民主制国家である。
17.南の大陸もひとつの民主制国家である。
18.西の大陸はひとつの共和制国家である。
19.東の大陸は9ヵ国でみな君主制国家である。
20.ここは東の大陸である。
21.他の大陸に無許可で行くことはできない。
午前中ずっと司祭様の講話を聞いていて疲れた。
お昼ご飯を食べに行こうとしたら、司教様に呼ばれた。
狼人司教様の部屋は寝室付きの大きな部屋だった。
昼食を一緒に食べることになった。
「神獣様から神託を賜りました。」
「何かお力になれる事はございましょうか?」
過保護な人と獣が根回ししていたようだ。
「...構わないで」
上手く言葉にできず、伝わったかどうか不安だったが、何やら頷いていた。
『こちらならば、意思を伝えられませんか?』
頭に直接響く意思を感じた。
『我は人と獣を造りしもの。』
『人と獣が造りし世界を楽しむ為にこの地に降りた。』
『この身が滅ぶまで自由に楽しめればそれでよい。』
『あまり多く関わられると不自由しそうだから構うな。』
意思伝達ができるのは、まだ言葉に不自由な我にはありがたかった。
獣人はみなできるそうだ。
しばらく昼食を食べながら、獣人の役割などを聞いていた。
食事の世話をしている人間達には、黙っているのに時々頷く光景が見えていたことだろう。
獣人の役割は世界の調停にあるそうだ。
人間達の数が増えすぎないよう、減りすぎないよう監視し、増えすぎた時は神獣が天災を起こし、減りすぎた時は獣人が保護する。
戦争は特に禁止していないが、環境破壊になるような兵器開発は禁止で破れば国を滅ぼす。
基本やりすぎなければ、人間達の生活に口出しはしないそうだ。
一通り聞けたので、教会での勉強は終わりにしよう。
午後は商業組合に行くことにした。