後手の極み
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大天使ミカエルの誹謗中傷タイムが終わり、主導権はオモハに移った。
「ではお次は私ですか。ワタクシ苦手な人があまりいないのですよ……ですから困りましたわ。うーん、とするとハガネ先輩にでもしますわ!」
「にでもしますわって、適当な……これなら勝てるんじゃない? ていうか、ハガネ支部長が苦手なんだ……」
「まあ、わからんでもないが」
あのもりっもりの筋肉と独特の高いテンションについていける人間というのは、そういないだろう。長い付き合いのあるフジミ隊や、そこそこの仲のフタバ隊でもややノリについていけない時があるのだから。
ツバサにとっては父親ポジションに収まっているハガネだが、思春期女子の精神状態を保ったままのツバサである。ハガネは正にウザい父親のようなものなのだろう。
「ハガネ先輩は、友情をとても大事にする方ですわ!それもおっちょこちょいなフブキ先輩にベタ甘な位に!」
「フブキさんがおっちょこちょい……?そんなわけがないよ。たってあれだけ強かったし……ねえ、ツバサ?あれ、ツバサ?」
「……以前、紅茶に砂糖と塩を間違えて入れられたときがあってな。フブキ様は何食わぬ顔で飲まれていたが」
(ええぇ……)
フブキの像がガラガラと崩壊していく。大穴の予想でフブキの味覚が音痴……というのは、無理が有りすぎる。素直に、痩せ我慢していたのだと考える方が自然か。
「お次は、あのウザいレベルのポジティブですわね!ハガネ先輩よりポジティブ思考の殿方は中々お目に見られませんわ!」
「まあ、一度の失敗で、十の熱意を捻り出すような人だしね……うん」
「でしょう?今でも何故、纏輪の召喚が上手くいかなかっただけで五時間も鍛練しなければならなかったのか、全く持って理解不能でしたわ♪」
おかしい。オモハは終始笑顔なのに、その笑顔だけは取り分け邪悪に感じられる。
きっと、やれば出来る、まだ本気を出していないだけだ、とか言われたに違いない。むしろハガネならそれ以上のうっとおしさを発揮しそうだった。
「まだありますわよ♪ハガネ先輩は、生粋の脳筋ですので、ご自身のプロポーションは毎日鏡の前で確認するほど、筋力トレーニングにこだわりを持っておりますわ!」
「あのオッサン、そんな事してんのか」
「ていうか、そんな情報をどこで……」
オモハはハガネに《天秤》を使ったのか?と勘繰るが、瞬時にそんなことをする必要性がないことに気づき、考えを取り下げた。
「ハガネ先輩本人が申しておりましたので、事実ですわよ?」
まさかの本人が自慢のごとく言いふらしていたパターンだった。当時のハガネは年齢的に二十歳を過ぎたばかりだろうし、男の子特有の自慢話をしてしまうのも仕方なかったのだろう。
聞かされるオモハには堪ったものじゃなさそうだが。
「ワタクシの語りは終わりましたわ。さあ、判定のお時間と参りましょうか」
「そうだ、今回はちゃんと判定があるんだった」
オモハの宣言により、またあの電子音が精神世界に鳴り響く。
『第二ゲームの終了を受理いたしました。それでは、判定に移ります。判定は』
「……!」
『真実度七十パーセント、対九十パーセントで、路乃重羽様の勝利とします』
事実上の背水の陣。オモハにとっては、リーチのかかる宣告が無機質な声として降り注いだ。
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