1部より 終幕
お昼過ぎの昼下がり
ブルルルッ、丘が見える。私は、姉さんの墓に近づいたのでバギーのエンジンを止めた。今日は姉さんの命日だ。
正直私と姉さんが昔生き別れだと知ったのは、ここの村を出て5年後だ。証拠はないが、そうなればいろいろつじつまが合う。
しかし、不幸にも姉さんを殺したのは、私だ。このことは、未だに誰にも言えない。しかし、たまにここを訪れた旅人は、私が経験した記憶が悪夢としてみるらしい。
だが未だにその夢を見たことがない。私は、本当に姉さんに嫌われているらしい。
墓の前につき、花を添え、手を添えた
「おとというちの四男が旅に出たよ。もしかしたらここに来たかもしれないが、どうか見守ってくれ」
心でいうと立ち上がりバギーに戻り家に目指した。
軽く1時間で自分の村につき借り物バギーを返した。
「早いですね」
「アクセル全開ですぐさ。いつもありがとう」
「いえいえ、毎年私の故郷を墓参りしてくれるなんてあなただけですよ。今でも行くとあの火事の記憶が疼くのですよ。」
あの村の助けた少年は、今あの火事の後、一緒に旅をした仲だ。
そして、軽く話して家に着いた。
「ただいま」
「お帰りなさい。早いのね。」
「まぁな」
いつも綺麗に墓を拭いているのだが今日に限って雑巾を忘れてしまった。
「お茶」
「はいはい」
ダイニングの机に座り、新聞を見ながらお茶を待つ、しかし見たことがあるなと思うと朝見たものと同じだ。
ポイッ、と投げるとちょうどいいタイミングでお茶がきた。
「熱いですよ」
「アツッ」
「ほら言ったのに」
といいながら妻は、私が投げ捨てた新聞をみた。
「あの子今どこでしょうかね?」
「ただいま−」
長女が話しを挟むように帰って来た。
「あらあらお帰りなさい。早かったね−」
妻が、娘のところへ走って行った。
私は、「さぁね」と小声でいって熱いお茶を飲み干した。
息子のことを思うと昔、仲間と友に旅をした思い出が、部屋全体に浮かぶ。
第一章 終わり
私に”僕”の名前を決める権利はない。なぜなら名前を決めるのは、その親であるから
だ。
また、名前は、必要ないかもしれない。実際考えて2、3日しかいない彼の名前を聞く人はいるだろうか?困っていて助けたお婆さんやたまたまぶつかった子供、バイトの店員さん・・・おそらく私が、”僕”と出会っても「旅人さん」と呼ぶたろう。例え名前を聞いたとしても数日後には忘れているだろう。極端にいえば私は、「僕のたび」の傍観者でしかないから
ではまたいつかまた僕のたびで




