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僕のたび 第1章 -I go alone-   作者: 城間 奇成
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1部より 第6幕 「真実」

 来た道を戻るとすぐに僕を追って来たトカゲに遭遇した。敵は、僕がラサを殺した張本人だと思い殺気立っていた。数は軽く50を越えていた。

「おいトカゲ共!僕を凶に会わせろ!」

 僕の力強い声に押されたのかトカゲ達が身を引いた。

「ギャース」

トカゲの一匹が襲って来たが僕は、すかさずナイフで首元を切り付けた。切られたトカゲは、おびただしい血を出しながら、叫び地面をはいずり回った。

その光景を目の当たりしてトカゲ達は、身を引いた。中には、一目散で逃げるものもいた。

「早く凶をここに呼べ!」

声が辺りに響き渡ると急に静まりかえった。僕が叫んだんじゃない。やつが来た。

「始めあったとき逃げたが、次は何する気だ?このラサ殺し」

「僕は、殺してなんかいない。」

「なら、現に貴様の足元に転がっている同族はなんだ」

「!」

さっき襲い掛かったので思わず刺したトカゲは、冷たくなっていた。

「これはなんだ。」

「違う僕は、蘭を殺して何かいない!」

「じゃ貴様は、今までに何人の同族を殺し何人の肉を食った。」

「・・・っ!」

  カランっ、僕は、腰にあるナイフを鞘ごと投げた。そして、ポケットから蘭から渡されたペンダントを高々にあげた。

「蘭から伝言がある。凶と二人だけで話がしたい。」

 蘭のペンダントを見た途端さっきまで騒いでいたトカゲ達が急に静かになった。

「貴様は、本当に何がしたい?蘭の・・・・お姉ちゃんの大切な・・・返せいますぐ!」

「その前に聞いてほしいことがある。」

「貴様に聞くようなことはない!今すぐ返せ!」

「嫌だ!聞くまでは」

僕は、出来るだけ冷静でいたが敵は今すぐにも襲うような殺気をだしていた。

「皆共行け!」

今日はとうとう痺れを切らせて仲間に命令させた。

しかし現一体を意図も簡単に殺している僕に対し近づこうとするものはいなかった。

「この腰抜けの役立たず共が!敵は、すぐ目の前にいるんだぞ。」

「僕を倒しても蘭は帰ってこないぞ。」

「っ!!」

「ここで提案だ!」

このままではらちが開かないので譲渡することにした。

「ペンダントを返す。そのかわりに一つだけ話を聞いてほしい」

「わかった。だが変な真似をしたら命はないぞ−」

「わかってる」

凶も武器を捨てて歩み寄って来た。

「まずペンダントを渡せ」

僕は、素直に渡した。

「何故遠くから蘭のものだとわかった?」

「お姉さんの匂いがしたからな。」

凶は、渡されたペンダントをまじましとみた。

人とトカゲは本当に血が違うと思った。

「で話したいこととはなんだ?」

「君のお姉さんからの最後の伝言・・・「今いる仲間と共に逃げて、そして生きて」です。」

「君は本当に殺してないみたいだな。」

「!?」

「ねえさんの血の臭いがペンダントからも君からもしない。」

「においか・・・」

ペンダントで信頼されなかったが匂いで信頼されるとは思っても見なかった。

「何故、お姉さんは死んだんだ?」

「多分寿命で」

凶は、急に目を鋭く尖らせて僕の襟元をねじりあげた。

「寿命だと!そんな不確定なものでお姉さんは死んだのか!」

「寿命は、どんなもにも平等に来る」

「ふざけるな!貴様らは、50も70ものうのうと生きている癖に私たちは、20年近くで死ななければならいんだ!」

凶の力が、さらに増し僕の首を圧迫した。

「くっ苦しい」

「それでいて生きるために逃げてください?ふざけるな!」

凶は、力任せに僕を投げ飛ばした。

「私たちはな。好きでここにいるわけじゃないんだぞ。貴様ら人間に追い出されてしまいには狩りと表して子供達を殺したがる!それでいてどこに行けばいい?貴様と同じ土地を奪い返して何が行けない。」

「いてててっ・・・」

 投げられた痛みが全身に伝わり立ち上がることすらできない。

「そういうことだ。逃げたりしない。人間共に屈しない。」

始め僕に対して話していたが次第にトカゲ達全員に話始めた。

「お姉さん、蘭は、そんなことを望んでないぞ。」

「貴様は、まだ自分のことを理解できてないようだな」

ボスッ!凶は、僕のお腹に勢いよく蹴りこんだ。

「うっ!!」

「逃げてください?はぁ?そんなことならもうとっくに逃げてるぞ」

凶は、僕の首を持ちあげた。

息が出来ない!

「貴様には、今までに何人もの怪我をした子供たちの同族殺した?今のうちにあじわらせてやる。」

「助けて・・苦しい・・・」

「ハハハ、泣き叫べ、命ごいをしろ!殺してきた仲間達の分まで!」

「クソッおお!」

僕の胸のペンダントが赤く光出した。!スッピカッ、鋭く眩しい光が辺りを照らした。

「なに?目が・・・」

凶は、光を直視して視界を潰した。そして手の力が抜け凶から離れた。

「何した!貴様?」

「ハァハァハァ、今なら命まで取りません。だから逃げてくださいハァ」

「ハイそうですかと行くかよ」

「ギャース、ギャー」

「ギャース」

予想外の攻撃に周りが騒ぎ出した。今この数を相手にする余力はない。

「騒ぐなっ!」

凶の一声で急に辺りが静まり返った。

「貴様ら全員こいつに手を出すな俺一人で十分だ!!」

凶は、目が見えていないはずなのに僕が投げたナイフのところに飛び鞘を投げ捨て、刃を僕に向けた。

「なぜ?目が見えてないはずなに・・・」

「フッ、匂いで貴様の場所等すぐにわかる。それにこれくらい出来ないと生きて来れないからな」

負けた。それが今の僕に一番会う言葉だ。何をしても凶を止められない。敵に囲まれ、強敵にナイフを奪われ、そして体力を使い果たし魔法も自由に使えない。人間ではないから侮っていた。いっそのこと降参するか・・・しかし、僕を捕虜なんかにするだろうか、無残に殺され村人に対し恐怖を植え付ける存在になるか・・・もしくは、最後の抵抗をするべきか、しかし敵が多く強すぎる。

僕が、いろいろ考えといたらとうとう凶の目が開いた。

「サァ終わりだと言いたいところだがそうはいかないようだな」

「!」

「みんないったん引くぞ!」

凶の一声で周りにいたトカゲ達が一目散に逃げた。

「どうして逃げる?」

「村人が囲み始めた。次に会ったら貴様を殺す。」

凶が、そういうと僕のナイフを返した。僕は、なにも出来ずに彼等を見えなくなるまで見守った。

「オーイ、大丈夫か?」

村人が大勢で来た。どうやらさっき別れた人が呼んだらしい。

「見たところ大きな怪我はないようだな。」

「全く心配させやがって」

「やつを倒せたのか?」

村人が囲んでいろいろ聞いて来た。がやがやしている中、村長が周りの人を掻き分けながら来た。

「その傷は、どうした?」

村長が、指差したところを触ってみると血が出ていた。そこで始めて凶に怪我させられたことを知った。

「凶に飛ばされて・・・」

「凶に会ったんだね。よくこれだけの傷で生き残れたね。他に傷は?」

「別にないです。あと蘭に会いました。」

村長は、さらに驚いた。

「会えたということは、倒してないんだね。」

「凶は逃げましたが、蘭は、あったときには死んでました。」

説明すると長くなる気がしたので嘘をついた。

「そうかわかった。まぁ凶には、逃げられたが蘭が死んだから敵の指揮は下がるだろう。よし、みんなこのまま残党狩りを始める。敵は、衰弱しているはずだ!」

「オォ−−」

「えっ!今日にトカゲを全滅にさせるのですか?」

「当たり前だ。今狙わずしていつ狙う。」

「・・・」

戦わないという平和が、こんなにも難しいとは思わなかった。どちらがなくなるまで徹底的に終わらない。

例え今日は、帰ったとしてもまた戦いが始まる。だからそれをいつ終わらせるかだ。僕が、自分の力だけで終わらせるなんてむしのいい話でしかなかった。

「キュー−」

みんながざわめき出した。トカゲがすぐ近くにいるからだ。

「キュー−」

「あそこだ!あそこのビルにいるぞ−!」

その人が指した先には、子供トカゲがこちらを見て鳴いていた。

「あそこが奴らの巣だ−」

「やっちまえ−」

「いくぞー!続け−」

一斉にビルに走り出した。しかし村長や一部が「これは罠だ行くな」と言い出した。

そんななか僕は、蘭に頼まれたことを凶に分かってもらうためにだれより先にビルに入った。

ビルの正面玄関に入るが敵の姿は見つからない。

「おそらく上の階にいる。階段を捜せ!」

集団で階段探すが奇妙な感覚だ。急に地面が揺れ出した。ラサと一緒に入ったビルと同じだ。時期に崩れる。

「やばい罠だ。時期に崩れる。」

誰もがそれを悟り一斉に出口へと走り出した。僕は、前を走り過ぎたのか、他の人に比べて距離が遠い。

揺れが次第に大きくなり、

「あっ」

足元が底に抜けた。バランスが保てない。僕以外の村人が、ビルから出るのを見ながら落ちた。そしてビルが崩れた。

「オーイ大丈夫か? 」

「あぁ」

「クソ敵の罠だったか。」

「人数確認しろ−」

「足を挟まった。助けてくれ−」

「早く救護班来てくれ−」

ビルの周りでは、砂埃の中様々な声が飛び交った。

「オイ、旅人さん見なかったか?」

「いや見てないけど」

「じゃまだ中か?」

「そうだとしたらもう助からないだろう」

「そうだな、とりあえず周りを警戒しないと敵が集まっているかもしれないからな」

結果、僕は、自力で出るまで誰にも捜索されることはなかった。


 ドスッ、落ちただけど崩れたところを滑りながらゆっくり落ち、別に怪我はしなかった。だから気絶もしなかった。

「しかし暗い」

地下深く落ち、辺りが真っ暗でなにも見えなかった。だからここがどれくらい深く落ちたのか検討もつかない。地下道には、二本の鉄、レールみたいのが走っているので前に学校で習った、地下鉄を歩いていた。僕の家の周りには、鉄道がないのでここに毎日電車が走っていたなんて知るよしもなかった。

「我に道しるべとなるべく光をともせ」

ペンダントが明るく輝き辺りを照らした。光りは凶に浴びせたより弱いが辺りを照らすには、十分だ。また酸素を使わないから酸欠の心配もない。前に母さんから魔石への呪文をいくつか教わっていて助かったことを今更になって感じた。

「確か洞窟の脱出の仕方は・・・」

指に唾を付けて、その指を通路にてらし、冷たく感じたらそこが出口に繋がる方角だ。そしてそれはすぐに見つかった。目の前に続く地下道だ。

助けがすぐに来なさそうなので、自力で出ることにした。

歩き始めるなり、後ろから物凄い音と砂煙りが来た。砂埃でよく見えないがおそらく崩れたらしい。もし助けを求めてじっとしていたときを思うと身震いした。しかし今いるところも安全と言えないのですぐに出口へ向かった。

それからしばらく歩き続けた。もし腕時計というものがあればいつでも時間を確認出来たのにと奮発してでも買っとくべきだと思い始めた。

また地下鉄で等間隔に駅があるとしても地上が過去の栄光を忘れるくらい果てているので、駅が地上を繋ぐ唯一の道だとわからなかった。

そして比較的広いところに出た。風の吹くところへたどったが何も段差がない2、3メートルの高さから吹いていた。魔法で下りることが出来ても上がることは出来ない。

「理不尽だ」

絶望的だ。しかしだからといって諦めるわけにはいかないのでこの道を真っすぐ行くことにした。

今の僕に出口に行く最短の方法はないがこの先に出口があるような気がした。

それから10分以上歩いた気がする。時計がないから正確な時間がわからないから何とも言えない。だが今歩いている道とは別に比較的新しい道が横を突き抜けてあった。強引にピッケルで開けたような土が剥き出しの簡単な作りだ。

だけどその道が最も最短な気がした。だからその穴に吸い込まれるように入った。その穴は、段々深く底へ傾斜していた。まるで地獄へ向かっているようだ。しかし、勘では危険を感じていたが何故か引き換えそうとは思わなかった。

「怖物見たさ」

本で読んだ。人は刺激を求め怖さまでも求めることがあると・・・

ふと振り返ってみるともう別れた道は見えなくなっていた。ここまで来るともう入ったこの先を見るまで進みたくなった。

トストス、カツッ

「?!」

床ががらりと代わった。今まで洞窟みたいな土だったのが急にコンクリートになった。

「!」

今度は、すごい寒気がした。人のとは思えない。前にビルであった”鬼”。

僕は、思わず物影に隠れた。そして、息を殺してそっと寒気がするほうを見た。

「導きよ。消えろ」

 小声で自分のペンダントの光りも消した。光りが見えないにも関わらず鬼の位置がわかった。それほどの殺気を放っていた。

ペタッ、ペタッ、ゆっくり足音が次第に大きくなった。足元に非常灯がありペンダントの光を受けて微かに光っていた。その光の影に鬼がいた。

僕は、恐怖のあまり口を押さえた。そうでもしないと声が出そうだ。前に倒せたが真っ暗道で勝てる自信ないし、いつ見ても恐怖は変わらない。

ヒタッヒタッ、ヒタッヒタッ目の前を通りすぎた。顔は、トカゲに似ているが体は今までに見たことがない。絵本に出てくるような鬼のようだ。

ヒタッヒタッ、鬼は、僕に気付かなかったのか通りすぎていった。

「ハァハァ、気付かなかったか」

 どっと汗をかいた。危険な目にあった。もし見つかっていたらどんな目に会うか予想もつかない。だけどこのまま”鬼”をついていけば、上手くすれば”鬼”の住家や生態がわかるかもしれない。急にそんな考えが頭を過ぎった。鬼は、ゆっくりとここから離れて

いった。

(追わなければ)

そしてあろうことか鬼を追いかけ始めた。

鬼は、僕に気付かなく徐々に深く入っていった。そしてある部屋に入っていった。後ろからも複数がこの部屋に向かっていた。幸いにも鬼は、感覚が鈍っていて僕の存在に気付いてないようだ。しかし、通路の反対側からも足音が聞こえて来た。挟み打ちに合い、思わずさっき鬼が入った部屋とは別の部屋に入った。

バタンッ、音がしたが鬼達は、別に気にすることもなく隣の部屋に入っていた。僕は、部屋の机の下で鬼達の足音が過ぎるまでじっとしていた。鬼は、肝っ玉があるのかそれとも鈍感なのかわからないが本当に助かった。そして正しいことは、ここが鬼の巣であることだ。

バタンッ、最後の反対のドアが閉まる音がした。その音を最後に足音がなくなった。

「我に道しるべとなるべく光をともせ」

そのフレーズで部屋が明るくなった。部屋は見た感じだが学校の理科の教室だ。机の

上にカビが生えたガラス管や古そうな顕微鏡、そして周りは、古い本があった。壁は、全体は白だが一部だけどす黒い。床を見ると声がでなくなった。白骨した骨が無数に落ちていた。近づいてよく見たが本物のようだ。人なのかそれとも別の生き物なのか見比べたことがないからわからない。

机の上にあった論文を見ると(新生物生誕実験)とあり、そのうえには、斜線が引かれていたが新人類とあった。

思わず手に取り読んだ。文字は、腐食が激しく読めないが横に張ってあった写真には、あの女トカゲに似た写真があった。さらにめくっていくとそこには、鬼の写真もあった。

さらに読んでいくとそれは、日記で最後に「暴動した。」で締め括られていた。

横には、遺書みたいな紙があった。これも腐食していたが辛うじて読むことが出来た。

「89年5月15日

私はとんでもない過ち、危険な生物、”鬼”作り出してしまった。もし鬼達がこの研究所をでたら地上にいる人達へ大変な被害を出すだろう。だが今までの実験で作り出した、やさしいトカゲ人を作ったとしても、いづれは人間の良き奴隷となるだろう。だから私は、今までにない力のある生物を、人間と力で対当した生物作った。しかし、力が有り余り人と話しをしないどころか本能のおもむくままに暴れる、バケモンだ。だから私は、ここで鬼をここに幽閉するしかない。

 私は、まだ鬼に見つかってないがいずれ時間の問題だろう。だから私は、今ここで死ぬ。

 万が一ここを出るようなことがあれば、望まないがあの話しが出来るトカゲ人に駆除してもらおう。たのむから私が作った子供達よここで飢えて死んでくれ。」

遺言に、そう書いてあった。これによるとトカゲ達は、鬼に対抗この地から離れようとはしない。しかし今は、今日達は、鬼とは別に人間たちとも戦っている。なのに僕たちはそれを知らない。もし僕たちが、トカゲ達を滅ぼしたらおそらくここは、鬼の巣になるだろう。

「僕は、本当に無知だ。なにも知らないくせにいろいろやろうとする。でしゃばりすぎた。」

急に今まであった意欲が消えた。地上に鬼のことを伝えたとして、トカゲ達と共同で倒せたとしても今度は、トカゲ達が殺されるだろう。

後ろに進み、壁にぶつかって腰を降ろすとペンダントの光りが自然に消えた。そしてそのまま目を閉じた。

 バタンッ、絶望と諦めで寝てしまった。鬼がこの部屋に来てもこの際どうでもよかった。

・・・アキラメルノカ?ラサノコトドウスル?・・・・

すっと目が覚めた。

「そうだ。ラサを探さないと」

辺りは、光りがないから真っ暗でなにも見えない。

「我に道しるべとなるべく光をともせ」

辺りが光りで見えると立ち上がった。ラサにまた会うためにここまでトカゲを倒しながら来たんだ。そして扉から出て地上に通じる出口を探すために辺りを散策した。

この際鬼にあってもひたすら倒していく意気込みだ。

それからひたすらに歩き回ったがヘレベータは、電気が無く止まっていて、階段は鬼の侵入を食い止めているのか跡形も無く壊れていた。そしてこの施設を一周してしまった。「ここ前来たな」

寂しい声が辺りに響く、さっきいた部屋の前に戻って来た。一人でくらい所を回っていると気がおかしくなりうだ。後ろには、鬼達がはいってった部屋、僕は、意を決してその部屋を見ることにした。扉の前に立つが(もし鬼がたくさんいたらどうしよう?)扉を開ける力がなくなった。音を立てずにゆっくり開けた。

 すごい腐った臭いが鼻を刺す。部屋にはなにもいなようだ。どうやらこの部屋は、食料庫らしい、そしてここの食料が無くなり地上を目指し、今ここには、僕しかいない。

 仕方ないが来た道を戻ることにした。手作業で開けたような穴は、恐らく鬼達がは、飢えて地上を目指したのか・・・僕もまた地上を目指す。

思っていたよりも早くコンクリの壁が見えたきた、来たときとに比べ帰りは短く感じた。そしてかなりの時間を無駄にした。また多くのことをしることが出来た。

「早く行こう」

さっき来たほうと別のコンクリの道を進んだ。それからすぐ近くに非常階段がありそこを出ると白く輝く星星が見えた。出口はすぐそこにあったがちっょとの好奇心のせいで大変な目にあった。

まわりは、怖いぐらい静まり返り、地下施設と同じ鉄の匂いがした。

カツッ、なにかを蹴った。拾い上げてみるとペンダントのようだ。トカゲの蘭から凶に渡したものだ。その隣には、トカゲの死体の山があった。

村人は、一旦引くまでの間、結果として積み重なっていた。村人は、とんでもないことをしてしまった。明日には、鬼が群を為して攻めてくるだろう。ラサ探しどころではなくなる。

しかし、どうでもいい僕は、この村の住民ではない。ただの旅人で明日までしかあの村にはいられないのだから・・・

しかし今日の空は、夜なのに明るい。明かりは、村のほうからだ。おそらくトカゲを滅ぼしたから祭でもしているのか、僕も村へ急ぎ足で帰った。

 村に近づくたび空の明かりが異様だ。前にキャンプファイヤーで空が明るくなったが、今の明るさはまるで、村自体を燃やしているようだ。

僕は、とうとう不安から走り出した。何か叫び声が聞こえた。

明るい光りがすぐそこまで見える。

「着いた」

自分の予想と同じで絶句した。鬼達が村を襲い、夕飯の準備中の家々は、轟々と燃えていた。人の姿はもうなく鬼達の久々のめしに高らかに吠えていた。

 僕は、村に着くなりラサが貸してくれた家に鬼に見つからないように目指した。家々が、燃えていて道がわからなくなった。前に来たときと本当に変わってしまった。

 記憶を思い出しながら走った。

「確かそこを曲がれば・・・」

 不運は続く、飛び火で木造の家は、燃えていた。もう入れそうにない。

 炎に囲まれる中、鬼の手には、女の子のような腕がぶらさがっていた。 残酷で吐きそうになったがそれ以前に怒りが込み上げた。

「クソ〜」

ナイフを鞘から出して鬼に切り掛かった。

ザシュ、鬼はいとも簡単に切れ、倒れた。

「助けてくれ〜」

すぐ近くの病院から助けを求める声がした。

僕は、すぐ病院に向かった。病院は、他の家とは違い鉄筋コンクリートで燃えていないが、鬼が入り込んでいた。僕も病院に入った。燃えてはいないが中は、とにかく熱い。

「来ないでくれ〜誰か−!」

声のするほうへ走った。

「助けて−!」

「うえか!」

階段を駆け上がり、廊下を走り、病室にはいると、鬼が動けない患者に容赦無く食べていた。

「離せ−」

後ろ首から切り付けると下半身から力が抜けたように倒れた。噛まれた男に息はない。

「ヒ−−やめてくれ−助けて−」

 隣のベッドにいた村人が叫んだ。

「大丈夫ですか?何があったんですか?」

「やめてくれ−」

ショック状態で僕の言葉が聞こえない。

「来ないでくれ−」

「大丈夫です。鬼ならもう倒しましたから」

「ヒ−−」

完全に壊れた。無理もない体動かせないに隣で仲間が生きたまま食われものを見て落ち着いてられるわけがない。

「父さん。ネェ父さん」

後ろから少年が入って来た。さっき鬼に噛まれた村人に近寄った。

 少年の歳は、おそらく10前後か・・・

「ネェ起きてよ。お父さん・・ねぇ・・・」

「ここは、もうすぐたくさんの鬼が来るから逃げないと」

「うるさい、うるさい、なんで助けてくれなかったんだ!なんで、なんでウェ〜〜ン」

とうとう泣き出した。

「アヒャヒャヒャ・・・・」

怪我した人は、本当に壊れてしまった。

「黙れ黙らないと本当に鬼が来るぞ」

僕は、必死に少年の口を塞いだ。

この光景を前に見た。病人を皆殺し、部屋にはいった子供さえも殺した。そのことに自分が本当に苛立つ。

回りの炎のせいか病院さえも一部が燃え出した。

「行くぞ!」

僕は、少年の手を引っ張り、病院から出ることにした。

「お父さんが・・・」

「今は、あきらめろ!ここを出てから後で助ける!」

嘘だ。しかしそうでも言わないと来てくれないからだ。少年の嘘だとわかったが素直に来てくれた。隣にいた患者も肩に手を回し運んだ。重いが見捨てるわけにはいかない。

鬼が集まって来た。僕は、そのたびに怪我人をおろし、速攻で倒した。

「他の村人は?」

「朝に出ていってからまだ帰ってない。」

「医者は?」

患者を置いて逃げるとは思えない。

「急に鬼の大群が来てそれをやっつけるために出ていってきり・・・まだ・・・」

鬼は、男達が離れている隙を着いたらしい。しかし僕が、もう村にいるに一体何をしているのだろうか?

「お母さんは?」

「わからない・・・急に鬼達が襲ってきて、僕は、逃げ出して、だけどお父さんが気になってここに来たら・・・」

泣きそうな顔になった。

「わかった安心しろところで非難所はどこだかわかるかい?」

「多分学校・・・」

「よし、学校へいこう。」

「うん」

背負っている怪我人は、完全に意識を失ていた。

そしてやっとの思いで病院から出ることが出来た。

辺りの家は、焼け落ちていた。さっきの病室から火の手が上がった。後ろを振り向くと病院までもが燃えていた。少年は、急に走り出したので思わず腕を押さえた。

「お父さ−ん、うぇぇ〜ん」

今まで我慢していたのかとうとう泣き出した。

「なんでお父さんを運ばないでそこのおじさんを助けたんだ」

癇癪ににた声でわめいた。僕は、死んでいたから運ばなかったなんて言えない。

「行くよ」

冷たいが言葉だがそれ以外の言葉がない。

「だってお父さんが・・・まだあの病院に」

「わかってる、だけど今は、助けられない」

「助けるなんて嘘だ。あの中じゃもう・・・」

少年は、事実を知っているが信じたくはない。

「いくぞ!」

僕は、力一杯に少年を引っ張った。少年は、ひたすら

「お母さんもお父さんも・・・」

とひたすらぶつぶつ言い出した。僕は、出来るだけ早く学校へ目指した。火事の暑さで頭がもうろうとした。このまま歩き続けてもし鬼に遭遇したら勝てる自信がないからだ。

「その道を曲がれば学校だ。あと少しだ。がんばれ」

少年と重い怪我人を運ぶ自分に対して励ました。少年は、何も言わず一緒に怪我人を運んだ。

曲がると事態は最悪だった。学校は、鉄の門が閉まっているのか多くの鬼が門を壊そうとしていた。

僕と少年は、鬼に気付かれないように後ずさりした。だが急に怪我人が暴れ出した。

「ここだ私の家だ 。今すぐ下ろしてくれ」

僕の背中から落ちると、はいくつばって焼け落ちた家を目指した。僕たちは、止めようとしたが家族の名前を叫びながら進んだ。

この声は、飢えた鬼の耳に伝わり、門を壊すことをやめ一斉に襲い掛かって来た。僕と少年は、恐怖のあまりその場を怪我人を助けずに逃げ出した。

振り返るたびに人が鬼の数だけ分けられていた。そして僕と少年は、道を曲がりそれをいくつか繰り返し物影に隠れて走るのをやめた。

ドーン・・・・ドーン、鉄に固いもので叩いている音がする。

 ドーン、僕たちは、怪我人を置いて自分だけ助かった、だが、後ろめたい気持ちだ。少年も僕と同じ気持ちだ。そして僕は、少年を守り続けることに決心した。ドーン

「行こう。さっきの門以外に学校に入る方法はある?」

「う〜ん」

ドーン、少年は、しばらく考えてある答えを出した。

「ない」

そっけない答えだ。当然かもしれない。ドーン、砦を守るとき複数の門があっては守り手が分散されもし攻められると混乱におちいりやすい。だが門が少なければ効率的に守りやすくなる。ドーン

しかし、門の外だと話は変わるが・・・

「緊急用とか脱出用は?」

「裏門があるけどいつも閉まっているし、脱出用は、噂でしか聞いたことがないからわからない。」

「そうか、村から逃げることが得策か」

ドーン、ガツ、ギッ、ドーン、ガツ、ダ−ーン、鉄が固まりが倒れた音がした。

「裏門の方からだ」

少年がそう言うと走り出した。僕も後を追う。少年は、道の角を曲がり壊れた門に入り姿を消した。僕も同じく裏門に入った。

少年の姿を見つけたがすぐ建物中に入りに見失った。

門は、物凄い力を何度もぶつけて強引に開けたようだ。こんなことが出来るのは鬼しかない。

「見失った」

 スッ、後から殺意を感じ前によけた。案の定後ろから鬼が襲い掛かった。ナイフをいあいぎりのごとく切り倒した。

「キャー−」

校舎から叫び声がした。

「鬼はもう中か」

僕は、開いていた扉から学校に入り、一階の廊下を給食室へ目指した。おそらく鬼は、お腹を空かせているからすぐに上を目指さずまず一階から食料のある給食調理室だろう。

「キャー」

「あそこか!!」

部屋を見ると調理師たちが部屋の端で固まっていて鬼達が調理した給食を貪っていた。数は、全部で四体、勝てる。

部屋に入音を立てずに入る。鬼が僕の存在に気付いていない。ザクッ、ガシャン、ザッ、スッ、3体が倒れ残る一体が僕の存在に気付きよけた。

サッ、体制を整えて勢いに任せてナイフを上から振り落とす。ガンッ、鬼が手を延ばしナイフを受け止めた。今までなら意図も簡単に切り倒せたが力でナイフを受け止めるなんて今までに見たことがない。鬼は、ナイフを力いっぱいに引っ張り、思わず僕は、力が抜けナイフを取り上げられた。

「あっ」

スッ、鬼の尻尾がうねり僕を力いっぱいに腰に当たった。ドン、ガシャン、僕は飛ばされ、シンクの方にぶつかった。調理師が泡めふためいて部屋から出ていった。中利のおばさんは、一目散に逃げだした。

「痛い」

苦痛に耐えながら体をあげると倒したはずの鬼達の3体の内2体が、立ち上がった。空腹が満たされているのか傷の治りが早い。僕を投げ飛ばした鬼が僕に向かって宙を飛んだ。僕も、あわてて前に勢いよく飛んだ。

 ガスッ、鬼が、落ちたところの床がめり込んだ。

「あぶなっ」

のんびり見ていたら間違いなく死んでいたに違いない。

すぐに倒すつもりが気付けば3対1の劣勢、しかも今までに比べ早く治りも早い。

怪我をした鬼が襲って来た、ガンッ、サッ僕は、かわしながら隙を見て切った。敵の動きは怒りに任せているのでよけやすいが威力は、以上に高い。まともに喰らえばひとたまりもない。限に攻撃するたびにこの部屋にあるものものは形を変えた。しかし、今ここで負けるわけにはいかない。

「今だ!!」

不意に誰かに言われるままナイフを振ると鬼が倒れた。しかしもう一体が僕の隙を狙って切り付けてきた。

ザクッ、鬼が攻撃するより早く何物かによって切られた。

「君の手柄を横取りしたかな?」

スッ、そういいながら足が床にめり込んで動けない鬼を切り倒した。僕を知っていて面識がある人、村長だ。

「あっ」

「君はてっきり建物に閉じ込められたと思ったが現にまたここで会うとは思わなかったよ。無事で何より」

「今まで村をこんなになるまで何を」

村長が、帰って来たということは、村人達が

「途中で鬼の大群に遭遇してね。でもこの様子だと・・・」

「のんびり状況把握している場合か?現に鬼がここまで来ているのだぞ」

 参謀!

「状況把握は大切だぞ」

「村が鬼に襲われて、燃えているそれで十分だ」

そういうとずかずかと部屋から出ていった。

「全くこんな状況にまだ戦う気かよ」

村長なのに予想もしない発言だ。

「そりゃあなたの村ですよ。」

僕は、驚いた。

「畑が鬼達に食い散らかした。もうこの村では生きていはけない。」

「そんな・・・」

「君がビルに生き埋めされた後、畑が魔物に襲われていると連絡が来てすぐに撤退したんだ。そしてすぐに畑に向かった。しかし罠だった。」

「罠?」

村長は、やけに冷静だ。

「私達が畑に入り陣をしくなり、魔法でもやし始めた。陣の中心にいた私達は、すぐに火に囲まれて動けなくなった。」

「魔法?魔物が?そんなはず」

魔物には、魔法を使って生み出したものもいるが魔法が使えるなんて聞いたことがない。

「君は、鬼のことを知らない。鬼は、ただ強いからじゃない呼ばれているわけじゃない。何しでかすかわからないから畏怖を込めて鬼というのだよ」

「・・・・」

鬼は、ただでかいだけと思ったが飯を食うと回復力も上がった。

「話は戻るが畑の火災で多く仲間を失った。それから陣を村に移したが鬼達は、畑よりこの村が目的だ。そして現にここは、もうだめだ。」

あきれた。

「村長なんでしょ。こんなことでいいの?」

「さぁ今は、村のことより自分だよ。畑が燃え、家が燃えた。普通に考えてこの村に居続けるほうがおかしい。今は逃げることだよ」

「そんなんで・・・」

「君も早くこの村から出ろ!そして生きろ!村長としてみんなに言うことはそれだけだ。」

「オーイ、村長!まーだ子供がいるぞ!」

参謀が少年を連れて戻って来た。少年は、参謀に首根っこを持たれてじたばたしていた。

「それは、それはここまで来たかいあったな。」

「はなせ−」

パッ、ドン、参謀が手を離し少年はそのまま落ちた。

「いたたた。」

「おいそこの坊主と旅人早くこの村から出ろ。」

少年も驚いた顔で参謀の顔を見た。

「両親のことなら安心しなさい。おそらく村からは慣れたところで待っているだろ。」

村長の言葉に少年は、信じた。

「さぁ早くここから逃げなさい。」

「村長さんたちは?一緒に行かないのですか?」

僕の質問に対してしばらく考えた。

「う〜ん、今にも逃げたいけどね。まだ君達みたいに逃げ遅れた人がいるかもしれないからまだ探すよ」

「そうだ。まだすべての人が避難したという確証もないしな」

参謀が、言葉を付け加えた。何故、村長がすぐに答えを言わなかったのかその時はわからなかった。

「わかりました。またあとで」

「あぁ、またあとで、あと君、手ぶらだと何かと大変だから」

参謀は、自分の脇差しを少年に渡した。

「さぁ行け!」

「はいっ!」

少年と僕は、軽くお辞儀をして学校を出た。しかし、学校には、鬼が囲んでいた。門が壊れた音を聞いたのかほとんどが集まっていた。

「どうしよう。囲まれた。」

 少年は、身を縮めた。僕も同じだ。

「万事休すか」

 鬼達は、じりじり距離を縮めて来た。

「まだいたのか!」

村長達が後ろから追い付いて来た。

「囲まれました」

「こっちもだ。緊急用の非難口が鬼で埋め尽くされてた。」

「非難口なんてあるのですか?」

「正確には、あった。過去形だ。今は、鬼の巣窟だ。さっきの調理師は、もういない。」

 じゃ、少年の母親も・・・僕は声に出さなかった。

「くそっ!」

鬼が20対以上いるのにたいして僕らは、少年を合わせて4人だ。

「君の魔法で薙ぎ倒してくれないか?」

「あぁ旅人の魔法ならさっき多くのトカゲを吹き飛ばしたからな」

「こんな広範囲の鬼を倒す魔法なんて、それに短時間では、せめて2、3体なら・・・」

「こんなときに発動できなくて何のための魔法だ!」

村長が、あきれた。鬼達は、僕たちのただならぬ気配ですぐに襲ってかない。

「ここまでか・・・仕方がないよな。」

「止む得ない。君の魔法を使ったあと村長と俺が道を作る。その間に走って逃げろ」

 参謀が、急に作戦を提案した。

「珍しいな。私と参謀が同じ意見だとは」

「茶化すな。それと君達は、決して振り返るなよ。」

振り返るなという言葉に重い意味があった。

「はい」

少年には、振り返るなという意味がわからないらしく、元気に答えた。

「では始めよう」

鬼が、僕たちの行動になにか不安を感じたのか、近づいて来た。

「はいっ、火の粉よ集まりて前方を薙ぎ払え」

ペンダントが、赤く光り、道をふさぐようにいた鬼が3体が吹っ飛んだ。飛ばされた鬼は、表面を火傷した程度で言ったとおりに道を作った。

「さぁ行くぞ」

参謀が、腰にあった刀を抜き走った。村長も続き僕も少年の腕をつかんであとを追う。鬼達が逃げる僕たちを逃がすまいと囲む。

参謀が刀を振るたびに囲んだ鬼が倒れていく。そのおかげで鬼の包囲もうかるら抜けた。参謀が、体の向きを変えて叫んだ。

「君達は、このまま村から出ろ。振り返るなよ」

「生きろ−!」

 村長も叫んだ。それが彼等から聞いた最後の言葉になった。僕は、このまま少年の腕を引っ張りながら走り続けた。

100メートルぐらい走ると少年は振り返ろうとした、しかし、走りながらで僕が腕を引っ張っていたのでバランスを崩して転んだ。

「何してんだ。振り返るなと言われただろう!」

「だってラサ姉ちゃんのお父ちゃんとダイチ君のお父さんがまだあそこに」

どうやら参謀が、言っていた「振り返るな」という意味をいまいち理解していないらしい。

「いまは、後回しだ。村の外にたくさんの大人達がいるから助けてもらえる。」

ドスドスドス、彼等が倒しそこねたのかそれともやられたのかわからないが鬼達が近づいた。

「逃げ切るまではしるぞ」

「うっうん」

少年は、僕の嘘を信じて走った。家入は、燃え尽きて灰に代わっていた。

そして、村から出た。村全体を眺めたが、瓦礫でところところ燃えて、鬼の姿は、ない。

「助かったね」

疲れた。朝から魔法を使い続けた。そろそろ寝たい。

「うん・・・お母ちゃんは?」

まだ眠れそうにない。

「早く探さないとね」

しばらく辺りを探した。見つかりそうにない、下手に森深く入れば鬼に遭遇するかも知れない。明日にするかと思いながら目を丘に向けると女性が立っていた。遠くて顔が見えないが服装がラサと同じだ。

「まさか!」

「どうしたの?」

不思議そうに少年は、僕を見た。ここで少年を連れていくべきかでも鬼を避けて村の外周を通っていたらラサは、どこかに行ってしまうかもしれない。

「ここで待ってて!」

「えっ?なんで?」

「捜し物があるから朝まで隠れてて」

「うっうん」

「じゃあとで向かいに行くから」

少年は、不安そうな顔をしていたが、僕は、ラサに会えるかもしれない喜び動悸がした。そして丘に最短距離にあたる村を横切った。

通る途中鬼に遭遇したが、走ってまで追いかくて来なかった。

村を出て丘をのぼる。途中息が切れたが走りつづけた。そして丘に途中にある森を抜けて、木のない広場に出た。女性がいた。

「ラサ!」

「あっリュウキ」

月明かりに照らされてラサの顔が見えた。

「無事だったんだ。ラサがいないうちに村が大変なことに」

「いますぐここから消えて」

すごい答えが帰って来た。

「えっ?」

「聞こえなかったの今すぐこの村から消えて」

 僕は、ラサに近づいた。僕が近づくと鬼が横から走って来た。そしてラサを庇うように守ろうとした。最初襲うように見えて何がなんだかわからない。

「君こいつをここからつまみ出して」

鬼は、頷いたようなそぶりをするとこちらに近づいた。

「どうして鬼を」

ラサは、軽く笑った。

「さぁどうしてでしょ?あなたがこの鬼を倒したら教えてあげる。そこの鬼今すぐそいつを倒しちゃって」

鬼から急に殺気をかんじた。鬼が飛び掛かってきた。僕は、疲れていたがいつものように軽々しく避けてナイフで鬼の首を切り落とした。さすがに生命力が高くても首を切り落とされては立ち上がれない。

「これで君はいったう何体倒したの?」

ラサが覚めた目でこちらを見ていた。ナイフが血でどす黒い紅に染まっている。

「仕方がなかった。そうでもしないとここまで辿り着けなかった。」

「そう。あっそうだ鞄返すから早くこの村から出ていって、早く鞄持ってきてね、コウ」

コウと呼ばれた鬼が僕の鞄を持ってきた。

「何であの鬼を従えているの?」

僕の言葉にラサが呆れた。

「君は、本当に魔法を知らないね。まぁいいやせっかくだから教えてあげる。魔法には、物質を操ることが出来たり魔石に蓄えていた物質を放出させたり吸収がすることが出来るの」

そういえば魔石のことは、使い方だけお母さんから教えてくれただけだ。だからそれ以外には何も知らない。

「君の魔石は、メインが放出系で一部が制御だから遺跡で爆発や羽が出せた。で、私が持っている魔石は、制御と吸収。」

ラサは、胸元から見たことがないペンダントを出した。

「制御もね。練習すれば生物も操れるし、吸収もその生物の情報を引き出すことが出来るのまぁあなたが最強の矛なら私は、さしずめ最強の盾ね。それと制御している鬼の見ているものを離れていても見ることが出来るのあなたが遺跡で起こした爆発は、すごかったね」

「もしそうだとしたらこの村に鬼を呼んだのは、ラサの力ということ?」

僕の口で言ったが自分の奥底では、否定していた。

「そういうこと、だけどこの魔石だと人みたいな高度の知能を持った生物に制御が出来ないのよね」

「じゃ前にラサがこの村に来たとき鬼の大群が村を攻めたというのは?」

「あーあれは、この村に来る途中に遺跡を通ってね、そうしたらトカゲ達にばったり会っちゃて逃げ回ったのそうしたらたまたま地下施設に落ちて、鬼達がいたから操ってトカゲ達を追い払ったのそこまでは良かったのにね〜」

ラサは、自分がしている行動に悪びれることなく、笑いながら話した。

「たくさんの鬼を操っていたら急に暴れ出してそのまま村のほうへ向かって今に至る。」

「あんだけのことをして、また」

「そりゃたくさんの子供が死んだから謝る気持ちで村にいったけど運がよくこの村に魔法を知る人がいないから、誰も私を攻めなかったわ。まぁ魔法なんかみんな信じてないからね」

「そうじゃない。何でそんなことをしたらたくさんの人が死ぬとわかっているに鬼を操ったの?」

僕は、怒りににた感情をラサに抱いた。

「簡単なことよ。コウを生きて帰れるかわからない戦争に行かせたからよ!」

「それは、そうでもしないとまた鬼が来るから」

「そうね。前の私が鬼を操るなんて馬鹿なことをしなければよかったのに」

「だったら真実をこの村に言えばい・・・」

ラサがこちらを睨んでいた。そんなことを言ったらこの村で生きてはいけない。それ以前に人殺しだ。

「そうよ。私がこの村に来なければよかった!コウに会わなければ!戦争に行かないでのうのうと旅をする君がこの村に来なければ!」

「・・・・・・」

「でもね。コウは、戦場に行く前にトカゲに殺されちゃった。戦場に行くことは諦めていたけど」

「なんでみんなは、鬼がやったてどうしてわかるのその時村にいたじゃないか!」

ラサは、村にいたからそのことがわかるわけない。それは隣にいた自分が知っている。

「ちっ」

ラサが、舌打ちした。

「頭の回転が速いやつなんか大っ嫌い。そうよ、前に村を壊したのは、あの時はまだ使いこなせなかったからお腹を空かせた鬼を食料がたくさんある村に向かった。それにコウだって誰だかわからないやつに殺されるかもしれないのに私は、黙って見てられない、だから前に私が殺したのよ」

「狂ってる・・・・」

「だからこのままみんな死んじゃえばいいのよ。全てトカゲのせいにして気付いたときは

もうおしまい。さようなら・・・これがこの村の歴史の真実よ」

「これ以上村を燃やして何なる?もしかしたらコウは戦場で英雄になれたかもしれない

に」

「ふっ英雄なんてお伽話に出てくる主人公だけよ。さぁ早く出ていきなさい。私もっとどこか遠くへ旅でもしようかな」

「ふざけるな!!」

僕は、ラサに走り寄りナイフをラサの首元に近づけた。

「君をここまで育ててくれた。村長を殺しておいて、君は・・・」

「ふっ腰抜けが!!」

ラサも腰にあった剣を振り回した。僕は、何とかナイフで軌道をずらす、もし一歩遅ければ間違いなく斬られていた。

「ちっ避けたか。まあいい村長には、前から武術など強引に教えられたけど、実戦じゃあまり無意味だね」

「!」

「あなたが丘に上がる際に囲まれてやられたわ」

ラサが学校のほうを向きながら軽く笑った。

「きさま−っ!!そんなことをしておいて逃げる気か」

「さぁ止めたいなら止めれば、殺してでもね」

「ふざけるな!今までに何人を殺したんだ?」

「あなたは、今まで何人の鬼とトカゲを殺したの?」

「君は、人間だろ」

「トカゲと人間のどこが違うの彼等も仲間で行動して、道具を使い、言葉も使う何も変わらないわ」

「そんなわけない」

「納得がいかないようね。早くここから出ていけばいいのに」

「うるさい、君は、早く・・・・」

こんな状況でラサは、どこへ行けばいいんだ?

「ラストダンスを」

ラサが、切り付けて来た。僕は、思わずナイフで応戦した。カーン、つばぜり合いになった。だが相手は、いくら年上だとしても女性だ。

ザン、ザッ、ラサの剣を力で飛ばしてがら空きの胴体に突き刺した。

 しまった・・・

「あっやられちゃた。でも仕方がないか」

ラサは、力が抜けたように後ろに後退りした。

「コウ今行くよ・・・あとリュウキに会いたかったな・・・うっ!!」

丘の崖まで行くと自分でナイフを抜いた。

「リュウキ・・・」

後ろに倒れるように落ちる。僕も無我夢中でラサを支えようとしたが足場が崩れた。落ちながらラサは、笑顔だ。辺りが夜なのに明るく輝く、光りは、急に強くなり目が開けられなくなり、意識がなくなった。

目が覚めた。時間が経ったというよりお腹がすいたからだ。

丘の崖の崖下で倒れていた。服が旅立ちのときと同じで横に鞄が落ちていた。辺りにラサの姿が見つからない。それ以前に町の姿が学校を含めてない。雑草が覆い繁り一部に木がまばらに生えている。昨日に燃えた感じではない。何年何十年前も過ぎた感じだ。

お腹が空いたので携帯食料を食べた。それから辺りを散策した。学校跡に行くと絶望した。お墓が並んでいた。それもおびたたしい数の・・・さっき倒れていたところに行くと気付かないところに一つだけ綺麗な墓があった。名前には、「ラサ」と書かれていた。さらに死んだ日は、今から30年以上前だ。

寒気がした。確かに昨日まであった町が今日に跡形もなく墓となって消えていた。今思うと、魔法で辺りを吹き飛ばしや、異様な光で目くらましや、他生物を操るなど並大抵の人ができるわけもない。

「全ては、夢であり幻か」

そして、やっと自分の名前を思いだした。そして、リュウキは、父親の名前だ。

「この村には、何もない」

目が覚めた昼下がり僕は、村を出た。そこから遺跡を目指した。

遺跡も森と同化してわかりにくいが二つの墓を見つけた。そして片方の墓に古いペンダントが置いてある。よく見ると微かに見覚えがある蘭が描かれている。

「ランとキョウここに眠るか」

もしかしたらラサは、魔法使い・・・魔女かもしれない。しかし、今となってはわからない。

「そぁ−て次は、どこへ行こうかな」

村を見ると丘が見える。

サイレント・ヒル 魔女がいた村



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