1部より 第3幕 「別れ祭」
3部目です。
3部、別れ祭り
村が見えて来た。
「もし僕だったら鬼が怖いから引越ししているな」
「なんか言った?」
ラサに聞こえた。でも聞かれたくないから
「今日は、いろんな事があったから疲れたな〜と」
「何いってんのこれからよ。だって今日は、祭よ!」
「そうだっけ・・・・」
今日は、本当に疲れる気がした。
村に帰って来た、昼に来た時は、ごく普通の村だったがいまは、祭一色で賑わっていた。
近くに見たことがない魔物がいるにも関わらずまるでそんな事がないように生活していた。
「僕は、村に戻ったら何をすればいい?」
「家で寝てていいよ。」
「でも祭だから何もしないわけには」
「何もしなくていいから」
「でも・・・」
ラサは、僕の耳元で
「だからあんたは、旅人でしょ!あまりこの村で歩き回るとわたしが迷惑なの だから家でじっとしてて!わかった!?」
「わかった」
僕がこの村にいることが行けないことだと思った。
「あなたの家までわかる?」
「わかる」
「じゃ私が呼びに行くまで家の中でじっとしてて、後早めに汗を取っておいて、今夜は遅くなるから、あと家にあるものは、勝手に使っていいよ」
「えっ勝手に使うなんて・・・・」
「大丈夫、すんでいた人なんてもういないし」
「でも・・・」
「大丈夫だって、それに荷物がないから着替えなんてないでしょ。それにお風呂にも入っていないから臭いでしょ」
「うっ」
僕は、首を縦に振った。
「じゃあね、リュウキ」
ラサと手を振ったので僕も手を振りながら別れた。
家に着いた。埃で汚れていたがしっかりした作りの家と家具が残っていた。それによく探すと服もあった。電気も水も止まっていなかった。
一通り見た後僕は、ラサに言われたとおり、シャワーで汗と今までの汚れを落とした。当然のことかもしれないが、家から出て一度も体を洗っていなかった。
「ニオイしたかな?」
自分の臭いが、以外と気がつかないものだった。
バスッ、服をこの家にあった物を借りた。たまたま同じサイズがあった。そして、ベッドに寝転んだ。
埃が部屋全体舞った。
換気しなきゃでも窓を開ける体力がもうない。あと、日記を付けなきゃ・・・カバン・・・・あることに気付いた。そういえば、カバンは、熊に襲われてからなくしたんじゃない。この村にはいるまでしっかり持っていた。一体どこで落としたんだろう。
記憶をのぼる。もし、カバンを見つけることが出来たのならば、名前を思い出すことが出来る。当然僕の名前は、リュウキではない。食べ物屋に入るまで持っていた。それから携帯食を食べてラサに声をかけられて・・・・記憶があいまいに〜・・・結論、村の中心に落とした。もしくは、誰かに拾われた、盗まれた。・・・後者だったら、どうしよう・・・探さなきゃ、でもラサが家を出るなと・・・・まだこの村に3日いられる。それまでに探そう。
探すのは、身の回りから、
「まずこれから」
大きなナイフを取り出し、名前がないか探した。鞘に名前らしき傷があった。
竜騎
「あほらしい」
これをくれた人とリュウキにどんな関係があるのか分からない。くだらない!
ナイフを横に起きそのまま寝た。
それからどれくらい寝ていたのかわからない。
ガンガン、音がする。ガンガン、ガンガンなにかを叩いている音がする。外は、日が沈んでだいぶ暗くなっていた。
「夜か」
また、眠ることにした。しばらくして、バンッバンッ、今度は、ガラスを叩く音がした
・・・・・ガラガラ、ドスドスドスドス・・・・音がやんだ。
グワンッ、ベッドが傾いて僕は、ベッドからずれ落ちた。
「いつまで寝てる。ネボスケ」
ラサがいた。どうやらなかなか起きない僕に家に入って、ベッドを倒した。後で考えるとよく男が寝てるベッドごと倒すことが出来たのか驚くほどだ。
だが寝起きの頭だとそこまで考えられない。
「何するの」
「祭よ早く行かないと」
「でも家に入ってまで」
「この村で家に鍵をかけるなんてそういないよ。」
「・・・・・」
「服は、着替えたみたいね」
「ちょうどいいサイズがあったから、それに着替えを入れている荷物を無くした」
「そうだったね。じゃ行こうか」
ラサは、僕の手をとり力いっぱいに引っ張った。
「ナイフが・・・・」
「祭なんだから武器なんていらないよ!」
それもそうだなと思い、そのまま家を出た。ベッドは、倒れたままだった。
村を駆け足で通り過ぎていった。ほとんどの人が祭にいったので、人気がいないほど静かだった。しかし、段々騒がしくなり出した。
祭は、村のはずれにある広場でおこなわれた。広場の中心に焚火をし、まわりを村人で囲んだ。
今言うのも恥ずかしいが、祭は、ぼくのためではなく、これから戦場にいく人のためにするらしい。そのため僕みたいな旅をしている人は、この村にはなじめないようだ。
そして、旅に出るのは、僕と同じ歳だ。
「え〜みなさん御集まり頂きありがとうございます。このたび、私の倅が明日15になります。」
祭は、ちょうど始まり急に静かになっていた。その時に僕とラサが騒がしくついたのでなんだか罰の悪い形となった。
「じゃ適当に遊んでいってよ。私は、向こうにいるから」
ラサは、ひときは偉そうな人が座っている席をさした。おそらく村長だろう。
「わかった」
「じゃまた後で」
軽く手を上げて向こうに走っていた。
「みなさんのおちからで明日から旅立ちます。私は、このことを本当に誇らしく思います。」
長い説明が始まりそうだ。
「昔、この村に魔物が襲い多大な被害がありました。だが今私たちは、ここの地で繁栄しています。・・・・」
意識がとうのいていく。
「では、みなさんよろしいでしょうか?カンパーイ」
目が覚めた。どうやら寝てしまったらしい。周りを見るとみんなコップを持っていた。
僕は、僕だけコップを持っていなかったので慌ててもらうことにした。沢山コップを持っている子供がいたのでその子からもらうことにした。
コップを飲んでみると苦かったけど体温かくなった。
始まると6才くらいの巫女さんが明日旅立つ少年におはらいをし、それから、子供達が次々に出し物をした。それらが終わると子供達が、それぞれの家に帰っていった。 そして、今度は、大人達が歌を歌ったり、歌に合わせて踊り出した。
時間は、もう9時だろうか・・・・
「楽しんでる ?」
陽気にラサが話しかけてきた。
しかし僕は、祭じたい好きではなかった。
「うん、僕の村には、こんな祭はないから」
僕は、この祭が好きではなかった、何故なら僕は、徴兵から逃げているのだからこれから軍に入る人に顔を向けることが出来なかった。
「なによ気が沈んだような顔をして」
「そうかな」
今の自分の気持ちが顔に出ていることに驚いた。
「そうよ。」
「村長の隣にいなくていいの?」
「大丈夫、みんなお酒を飲んでいるから、それにリュウキの事を村長に伝えといてあげたから」
「・・・・ありがと、それにしても祭の手伝いを子供達がしているんだね」
「そうよ。祭の進行は、この村の14才まで子供達が準備しているの、でも夜遅くは、15才以上の役割なの」
「ラサは、行かなくていいの私は、今日肉を取りに行ったでしょ」
「・・・・・そうだったね」
まだ祭に来てなにも食べていなかった。肉も含めて
「ここは、収獲祭とかしないからみんなこの祭に力を入れるのよ。それに見て」
娘は、今日の祭の主人公の母親を指で指した。
「楽しそうに笑っているでしょう。」
母親は、息子の隣で嬉しそうに笑っていた。
「息子を誇りに思っているから・・・・」
もし僕も戦場にいったのならば、母さんは、僕を誇りに思ったのだろうか?
「本当は、泣いているのよ」
「・・・・・」
「戦場に出て人を傷付けて喜ぶ親がどこにいるの?それに死ぬこともあるのに・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・ないらしい」
「?」
何かを言ったみたいだが、うまく聞き取れなかった。
「彼ね。家に近くて、その時私の年齢に近い友達がいなかったからよく遊んでね」
幼なじみかな
「友達を作らなかったわけじゃないよ!昔ここに鬼が襲ったの、運悪く大人達が畑仕事でいなかったから、村には、ケガや病気で動けない人と子供達しかいなかった。それで・・・・」
「その時ラサは?」
「私は、あの時たまたま襲った後にこの村に来たの」
「この村に来る前は」
「孤児よ。戦争の・・・その時たまたま村長の娘に似ていたから村長の家に引きとられたの」
「・・・・・・」
「気を落とさなくていいよ。せっかくの祭なんだから!」
バンッ、僕の背中を叩いた。気が遠のきそうになっていく気がした。
「どうしたの?さっきからボーッとしているけど。」
「何故か眠い。さっきあんなに寝たのに・・・・」
「そのコップどうしたの?」
「さっき、もらった。」
「まさか」
そう言うとラサは、僕からコップを奪って匂いを嗅いだ。
「これ、酒よ。それにまだリュウキは、未成年じゃない。」
「そうなんだ。」
だいぶ前に親から「俺は、お酒が弱いからおまえも俺の血を受け継いで弱いはずだ。だからあまり飲むなよ」と言われたっけ・・・・
「・・・・・聞いてる?ねぇ!!」
「な、何?」
「お酒飲んで大丈夫!?」
「大丈夫だけど」
「頭痛とか吐き気とかない?」
ラサは、かなり焦っているようだった。でも僕は、頭痛も吐き気もなかった。
「ないよ」
ラサは、安心した面持ちで
「よかった〜あなたは、お酒に強いかもしれないね」
「そうかな?ところであの家は、持ち主はどうなったの」
「あの家?」
「僕が泊まっている家のこと・・・」
「あ、あれね」
「まさか曰くつきじゃないよね」
あんなきれいに家具だけが残されているに住むなんて気味が悪い。たぶん昔にあのいえに住んでいた家族に何かあったに違いないと思った
「あーあの家の事、まっ家具があのままだと普通驚くよね。」
「男物の服もあるし」
「あの家にはね。昔、3人の家族がいたのよ」
青ざめた。予想通りの気がした。僕と同じ年の子供と大人物の服があったからだ。また、食器など3人分あった。
「夫婦とその子供でね。子供は、魔物に食われてそれっきり、夫も復讐に遺跡へ行ったきり帰ってこなくなってしまった・・・・」
「奥さんは?夫の後を追っていなくなった?」
「それはないよ。」
「え?」
「だってそこにいるよ」
「そんな!」
「あそこで今の夫と楽しく話している。」
「今の!?」
「子供も4人いる」
「4人も!」
「長男と三つ子の姉妹」
「三つ子!」
「驚きすぎ」
「だって、夫が死んだかどうかもわからないのに」
「死体が出てきた。たしか、骨の一部しか発見できなかったから、鬼に食われたと断定」
「おに?」
「さっき遺跡であったでしょう」
「・・・・・・」
「そして奥さんは、新しいだんなを見付けて再婚、子供がぞろぞろ生まれてハッピーエンド」
「歳は?」
「デリカシーがないね。女性に歳を聞くなんて禁句よ」
「・・・・・・」
「三つ子は、村中が驚いたね」
「普通、未亡人で子供が先立たれていると結婚しないと思うけど」
「現実は小説より奇ナリ」
「?」
「現実は、思っているようにはならないのよ。人って結構単純よ」
「・・・・・・」
「話を戻すわ。そして再婚して、自分の服だけもって嫁いだ。だけど写真とかほかのものは、昔の記憶が思い出すからそのままにした。そしてあの家は、まだ残って今に至る。」
「そこでなんで僕が使っていいの?」
「あの建物は、奥さんが所有を放棄したの、壊すのも面倒だからいちよう村共有の物になった。そして、改装するにもお金がかかるから、あのまんま、であなたが来た。どうせ使わないから泊まるには、ちょうどいいと思って、それに使わないより使ったほうがいいでしょ。わかった?」
「わかったけどー」
「わかったけど、理解できない?なら聞いてみる?」
僕は、首を横に振った。
「そういうこと。」
祭りがどんどん騒がしくなった。楽しくなってきているが、僕の心は、曇っていた。それを察したのかラサは
「そうよ。そうだまだ、コウに挨拶をしていないでしょ。」
「コウ?」
「あ〜まだそれも言っていなかったね。今日の祭のメインよ。さっき話していた、あれ」
そう言うとラサは、ひときは目立つ席をさした。どうやら明日戦場にいく、少年のことらしい。
「僕みたいな旅人が行っていいの?」
「大丈夫よ。だって今日の祭に使っている肉は、あなたのおかげだよ。ホラいくよ。」
僕は、ラサに引っ張られてコウに会いに行くことになった。祭の舞台に上がるとき少し
恥ずかしかったけどラサと一緒だから安心した。
「似合っているよ。コウ・・・」
コウと呼ばれた男は、軍服をきていたがまだ幼く見えた。
「ありがとう、ネエさん。隣にいる方は?」
コウは、見た目とは違って大人びいた声をしていた。
「旅人よ」
「戦場には、行かれなかったんですか?」
「ぼ、僕の村では、っ!!」
ガスッラサに足をおもいっきり踏まれた。
「この子は、まだ14才だからまだ戦場には行ってないだって」
「なら学校には?」
「学校は、特別に休んでいるんだって、15になったら自由に旅なんて出来ないでしょ。
だから今のうちにあっちこっち旅をするんだって」
「そうなんですか。大変ですね」
コクコク、首を縦に振った。正直話しているよりもラサに踏まれた足が痛かった。
「いつまでこの村にいられるのですか?」
「あさってまで」
ラサの話だと後今日含めて4日、村にいられると聞いた。
「そうですか、この村にはなにもないですがゆっくりしていってくださいね。」
どうやらコウには、僕がまだ14才だと本当に信じたらしい。そしてコウの精神は、僕より年上だと思う・・・・
明日旅立つコウに挨拶が終わったので僕たちが立ち去ろうとした
「あ、そうだ。」
コウが急に呼んだ。
「後この辺は、おいしい肉が手に入るですよ。なんだか知っていますか?」
手の上にのっている肉をさした。見覚えがあった。
「この肉とてもおいしいんですよ」
食べてないがわかった。
「トカゲでしょ」
「知っていたんですか。もう食べましたか?」
「いえまだ食べてないですよ」
「食べていないのに?」
どうやら僕は、コウと話していると疲れるようなのですぐにでも帰ることにした。
「どこ行くの!」
ラサに腕を掴まれて帰るのを止められた。
「この子すごいのよ。だって今日祭用の肉を取りに行くとき、トカゲに囲まれたとき助けてくれたんだよ」
「本当ですか?」
「えぇあなたが食べているその肉も彼がいなければ食べられなかったよ。」
「そういえば、さっき救難信号が確認されて村の人達が遺跡に向かったといっていましたがあなたでしたか。」
たしかに村じゅうの男達全員が集まっていた感じがあった。
「あのときは、仕方がなかった。」
「いくら危険なところでの作業でも仮にもあなたは、村長の娘ですよ。場をわきまえなきゃ」
「わかっているわよ!!」
怒ってどこかに行ってしまった。
「あっ」
追いかけようとしたが、舞台の下で踊っている人込みの中に入ってどこに行ったかわからなくなってしまった。
「すいませんね、旅人さん。ネエさんは、いつまでたってもかわらないんですよ。」
「昔から?」
「えぇ、そうです。危ないことでもすぐに首を突っ込みたくなるし、それにいつも私を誘うのです。おかげで何度も危ない思いをしたことか」
「・・・・・・」
今日遺跡であったことが頭によぎる。
「後ネェさんは、この村に来る前一人で旅をしていたそうですよ」
「魔物がこの村を襲った後?」
コウは、驚いた顔で見た。
「この村に詳しいですね。誰に聞きましたか?」
「ラサさんに」
「そうですか、ネェさんがあなたに言うから多分あなたのことを信頼しているのですね」
「(遺跡であんなことがあればね・・・)」
「何かいいましたか?」
小声で言ってしまったらしい。
「いえなんでも」
「そうだ、名前を聞いていなかった。あなたの名前は?」
(リュウキ)というべきか言わないべきか、でも言わないとかえって怪しまれるな
「名前は?」
再度聞かれた。忘れたと言ったらかえって怪しまれる。
「リュウキ」
「私は、カミナカ コウキです。字は、読み方を変えるとウエナカ・・・わかりにくいから下に書きますね。」
コウキがいうと地面に名前を書いた。
上中 幸樹
「幸ある樹・・・いい名前ですね」
「ありがとうございます。そういえばリュウキさんの名前は、何と書くのですか?」
しまった。そのことまで考えてない・・・
「漢字は使わなくてカタカナです」
とっさに嘘をついた。名前自体嘘だが
「そうですか。あなたの村では名前に漢字を使わないでカタカナを使うのですか」
「いえ、僕だけ特別で」
「いい名前で何歳でしたっけ?」
「15・・・いや、14です」
「そうでしたね。すいませんねさっき聞いたのにまた聞いてしまって」
あぶないあぶない。このままコウと話していたらいつか、僕が脱獄兵だといってしまいそうだ。
「ハハハ、よくあることですよ。」
「ところであなたは、本当に徴兵前ですか?」
「えぇ、まだ14ですから。」
今気付いたことがある。嘘をつき続けることがこんなに難しいことなんて・・・
「まぁ、あなたが実は、15のことは、みんな薄々気付いているみたいですけど」
「・・・・・・」
脱走兵のことがばれたらどうしよう・・・・
僕は、ただそれだけを考えていた。
「リュウキが脱走兵だとしても、そうでなくても、あなたは、今この村のゲストよ」
後ろから声がした。
振り返るとラサがいた。
「オーイ、コウキいつまで話しているんだ。出番だよと。あ、村人さんゆっくりしていって」
ラサがコウキの父さんを連れて来た。お酒を飲んでいるせいか、頬っぺたの辺りが赤く染まっていた。
「しかし、さっきは驚いたよ。救難信号があったから駆け付けてみたら煙の中からトカゲ達が出て来て、それからおまえさんが出て来てさーてっきり食われた残骸かと思ったよ。」
「お父さん、出番て何?」
「アー肝心ことを忘れるところだった」
暢気な人だなと思った。
「明日から戦場だからその前にほら、あれまい」
「武舞?」
「そ、それおまえ武舞が得意だろ。最後に見せてくれよ。」
「うーん」
悩んでいるようだ。僕なら最後だから見せるのに・・・・
「武舞?」
「この村に伝わる戦いの前にする舞のことよ」
「ほらラサさんに会えるのも今日が最後だろ」
「5年後にまた会える。」
「5年間も会えないだろ。それに旅人さんも来ていることだし、ネェ旅人さんあなたも見たいよね」
「えぇ・・・・・」
いきなり話をふられたので思わず言ってしまった。
「仕方がないか・・・」
このお父さんどこかで見たと思ったら、この村に入って初めて入った食べ物屋さんの店主だ。
コウは、渋々立ち上がると前に進み舞台に上がった。すると急に静かになった。
お辞儀をして腰にある剣を抜いてかまえた。
トン、スッ、剣で風を突いた。トットン、サッ、あたかも敵がいるように剣を振った。
僕の村で見たことがある。空手で言うなら演技の「型」というものだろうか・・・ただその武舞は、綺麗でかっこよかった。
そして、お辞儀をして終わった。
「ふーおわった。」
コウの演目が終わって帰ってきた。ラサに話を聞くと、この武舞はもとから祭りの項目で決まっていたが、祭り自体時間の厳しいものでないから遅くなってしまったと言う。
「かっこよかったよ」
ラサが小声でコウに言った。だが、コウには聞こえなかった。
「ところでリュウキさん、さっきあなたに聞きそびれたがあなたは、もしかして」
「お前いつもより上手くなったな」
いきなりコウの父親が話しに入ってきた。
「旅人さんは、何か考えがあってこの村にきたんだからあまり困らしていけないよ。それに誰にも聴かれたくないことはたくさんあるんだ。」
「・・・・・・」
コウは、黙ってしまった。もちろん僕も何も言えないけど・・・・
「コウ、他の人全員に挨拶した?」
「していないけど」
「じゃこれから行こう」
「だけど僕がこの場から離れるのは・・・」
「大丈夫、みんなお酒で酔っているから気にしていないよ。それにこのままだと挨拶も出
来ないまま別れる人もいるよ。」
「しかし・・」
「行くよ!」
コウは、ラサに引っ張られてどこかに連れられてしまった。
「僕は・・・」
呼んだときは、もう遅く舞台に取り残された。
「ラサちゃんは、本当にアクティブだね〜」
コウのお父さんが話して来た。お母さんは、どこかで話しているのか姿が見えない。舞台に僕とコウのお父さんだけが残された。
「初めて会ったときもこんな感じだったけなと」
といいながら舞台から下りてしまい。僕だけが舞台に取り残された。一人だけになりここにいることが恥ずかしくなり僕も下りた。
お酒を飲むわけに行かないし、眠くなったので家に戻ることにした。しかし、せっかくラサが祭に誘ったのに無断に帰ることは良くないと思い。ラサを探すことにした。
しかし広場を探してもラサとコウを探すことは出来なかった。祭は始め広場限定だったが今では村全体に広がっていた。今日来たばかりの僕には無理なことだ。
「どうしよ」
急にトイレに行きたくなった。僕は、トイレに行くことにした。公衆トイレは、広場から離れていたがわかりやすいところにあった。 迷わず行くことが出来たので前にも来たのかも・・・
用を足していると後ろから見覚えのある人がきた。 コウのお父さんだ。だが気分が悪そうで顔色が悪かった。軽くこちらを見るなり急にトイレの個室入り、いやな音が聞こえた。しばらくして出て来た。だいぶ顔色が良くなっていた。
「大丈夫ですか?」
「えっと君はラサちゃんといた・・」
「リュウキです」
「あ−あ−思い出した、見苦しいものを見せてしまったね」
「いえ、大丈夫ですか?」
「ダイジョウブ、ダイジョウブ、今スッキリしたから、君も経験ないの」
「は−」
おじさんは、酔っていた。
「そっかぁ君は、まだ15だもんね」
「えっいいえ僕は、まだ14でまだっ」
危ないところだった、このままうっかり僕が脱走兵だと言いそうになった。
「いや、いいんだよ。村のほとんどの物が知っていることだよ」
「違います。僕は」
「何が違うんだ。」
「うッ」
「みんな知っているよ。君が脱走兵だと」
「・・・・・」
もし、本当にばれていたらどうすればいい。村からにげるかでも逃げてもまだ鞄を見つけていない。どうすれば・・・
「おそらくラサちゃんになにかを言われたんだろう。」
「ラサさんには、何も」
「鞄忘れただろう」
「もしかして」
「ああ、村長の家にあるよ。君に悪いけど中も見せてもらったよ。」
最悪だ・・・・コウのお父さんを倒すかでも今の僕には、そんなことが出来ない。
「その様子を見ると図星か・・丸腰だろう変なことを考えるな」
うかつだ。祭だからといってナイフを置いとくべきではなかった。
ガタン
「フィ〜飲み過ぎた。全くトイレが多くなっちまう。よう今日の大将」
「ああどうも、今日は、せがれの旅立ちを祝って頂きありがとうございます。」
別の村人が入って来た。
「ここで立ち話をするのも何だ。場所をかえよう。」
コウのお父さんは、僕と一緒に村を出た。
「君は、近くの村から来た、脱走兵違うか?」
「聞いてどうする?」
「どうしようもしないさ。だって君は、村長の娘の命の恩人だろう。それに君の活躍を見て追い出したりしないよ」
「・・・・・」
「なぜこの村に来たの?」
「僕は、旅の途中で1番近い村がここでまだ一度も来たことがないから来た。」
「じゃもしここに村がなければ来なかった。違うか?」
僕は、首を縦に降った。
「普通、満15歳になったら徴兵されて戦場に行かないのかな?」
「僕の村では、自由に決められます。」
「普通戦場に行くか、進学する以外ないと思うんだけどね」
「僕の村では、旅を選択することが出来ます。」
「将来苦しい思いをするかもしれないのに?」
「はい」
「旅か、なるほどだからラサは・・・」
「?」
「私は、君のことを勘違いしていたようだね」
「??」
「てっきり君は、国の諜報関係かと」
「違います。僕は、どこにでもいる旅人です。」
「私の息子も君の村で育っていたならハばな」
「?」
「少し長話になるけどいいかな?」
首を縦に降った。
「この村ではね、絶対に15の男を戦場に向かわせないといけないだよ。さもないと悪魔が来てしまうからね」
「悪魔?」
「君は、もう会っているはずだよ。近代遺跡で」
「あの旧コンクリートジャングルにいた。」
「そいつのことだよ。以前この村では、誰もが徴兵制に反対していた。だから誰も戦場には、行かなかった。」
今この村で考えられないほど反対考えがあった。人が人を殺すべきではないとそのため税金が上げられ政府の補助が止められてしまった。だが村人には、誇りがあった。この村には、人殺しが一人もいないと・・・しかし、そのかことを諦めざる自体が起きた。魔物の大量発生だ。そして、鬼の村襲撃事件だ。その結果多くの子供達を失った。そして今の村長が国に対し様々な補助を求めた。しかし国は、徴兵制に反対の村に補助出来ないといい。税率の引き上げを求めた。仕方が無く子供達を徴兵出した。その結果、税率が下がり災害見舞金が支払われ、そのおかげで村の防衛資金に回されて魔物に襲われなくなった。そして新しく大きな学校が出来た。今まで親達が子供達を集めて交代で教えていた。だが新しい学校が出来て新しく先生も来た。始めはいいことずくしに思えた。しかしその考えもすぐ壊れた。それは、ある日に子供が言ったことである。「僕は、15になったら戦場にいって強くなってこの村には帰り魔物を退治する」・・・・
「と私の子供が誇り高くいうのですよ。」
「学校のせいで考え方が変わったのですか?」
信じたくなかった、学校のせいで村の考え方を変えてしまうことを僕は、学校のおかげ様々なことを知ることが出来た。そのおかげで旅をすることを決めたのだから
「話は、戻るけど実は、息子コウは、三男なんだ。5年前の出来事で兄弟がいなくなってしまって」
「だけど戦場に行くことは」
「あの襲撃は、国が一つかんでいると思うんだよ。だから徴兵制を認めたとたん急に魔物が襲われなくなった。」
「じゃ何故この村を出ないんですか?」
「村に魔物を呼んでしまったことは、この村の大人達に原因があるんだよ。だから魔物を放置して村を出ていっては、いずれこの辺の魔物が周辺の村を襲う。だからさ」
「・・・・・」
何も言えなかった。
「だから君みたいな者を村に入れたくなかったんだよ。」
「じゃなんで僕を祭に・・・」
「ラサを助けたからさ」
「・・・・・・・」
「暗い顔をするな。今日は、祭りなんだから祭に戻るよ」
考えていたら、先に戻ろうとしていた。
「は、はい」
複雑な気持ちで村に戻った。
村にはいるとすぐにコウとラサを見つけることが出来た。僕は、見つけるなりすぐに二人のもとへ走っていった。また見失わないように
「やっと会えた。」
本当の感想だった。
「えっ探してたの?」
「少し」
実際は、違うが
「それは、悪いことをしてしまったね。この村には、寝たきりの人がいるからその人に挨拶して回ったんだけど、君も連れていけば良かったかな?」
「いや、僕が君の挨拶周りについていくのは・・・・」
確かに村に関係のない僕がコウと一緒に挨拶周りをすることは、おかしい。とにかくラサに会えて安心した。今日一日本当にいろいろあった。疲れたので家に帰るために・・・
「いない」
用件を伝える前にラサとコウがどこかえと消えてしまった。
「しまった。」
また僕は、二人を探すことになった。それから僕は、村じゅうを探さなければならない使命感につかれた。しかし、たえず移動している二人をやみくもに探すこと奇跡だよりだ。そこで祭の中心でひたすらに待つことにした。
祭の中心では多くの人が踊っていた。しかし多くの人が夫婦で踊り、当然だが10代同士で踊っている人はいない。当然のことだ。年頃の男はみんな戦場に行ってるから・・・・
祭の舞台にコウがいることに気づいた。コウがここにいることは、挨拶回りも終わってラサも近くにいるわけだ。
「だーれだ?」
不意に景色が奪われた。聞いたことがある声、聞いたことがある人の手が目にあって見えない。こんな古典的なことをしようとする人は、一人しか浮かばない。
「ラサさん、やっとこれで家にーーー」
「アッタリーごめんねーおいていって」
目を隠していた手は、僕の腕に変わり、祭りの中心部へと引っ張られた。
「僕は、もう」
「眠い意から帰るなんて言わせないよー」
かんがえている事がばれてる。それにラサの顔が少し赤らんでいる。どこかでお酒を飲んだのだろうか?
「さ、おどろ」
「僕は、踊ったことがないんだけど」
「きにしない、きにしない、」
僕は、ラサに両手を固定されくるくるその場を回った、明らかにこれは踊りというものでない。ある程度回った後、ラサの様子が変わった。お酒飲んだ上にくるくる回ったので酔ったのだろうか?僕は、どうすればいいのかわからなく、舞台の上にいるコウを見たが、かわいそうな目でこちらを見ていた。
「どーこみてんの?浮気ものー」
「浮気もの??大丈夫なの?」
「ふっかーつ、今日は、踊り明かすわよー」
僕は、わかった。人によってのお酒の怖さを・・・
それから僕とラサは、周りを見おうみまねで踊り続けた。そのときラサが「ハハハハハハ・・・」と笑い続けていた。あまりにも笑うもので僕もつられて笑いながら踊った。
途中おなかがすいたので、踊りをいったん止めて、祭りの外側にあったお皿の上に適当に盛り付けられていた肉を食べた。おいしかった、途中できがついた。これが、さっき会ったトカゲの肉であることを・・・ 空を見上げた、いつも自分の村で見ているよりも星の数が少ない。たぶんキャンプファイヤーの光が強すぎで星が見えないのか・・・!?
「また、ラサがいない。はー」
舞台の上を見た、コウとラサが見えた。僕には、彼女と呼べる人がいないため恋愛をしたことがない。だが、ラサがコウの事を好意を持っていることは、なんとなくわかることができた。僕は、ここにいていいのか?ふとそんな気がした。古い時計台を見るともう深夜12時を指していた。机の上にあるコップにジュースが入っている容器を注ぎそれを一気に飲み干し、帰ることを伝えにラサのところへと向かった。
「・・に・・・・・・・ら・・れ・・・?」
「な・を・・・・だすの、これは、・・・・だ」
「だって、・・・に行ったら・・・・のよ?」
「大丈夫だ。・・・なぜとめる」
ラサとコウがなにかもめている。距離があって何を話しているのかわからない。コウのお父さんが、舞台の近くで聞いていた。
「コウさんは、どうしたのですか?」
「よくあることだよ。邪魔してはいけないよ。」
そういうとコウのお父さんは、舞台から離れていった。
「バカ!!」
ラサが叫んだ。周りを見たがほかの人は、踊りと酒に夢中で気づいていない。このままにしておけないと思い。ラサの元へ急いだ
舞台に駆け上がるとラサが泣きながら舞台から降りていった。
「コウ!ラサさんに何を言ったんだ!」
コウは、わけがわからず唖然としていた。
「ラサさんが明日急に戦場に行くなといったんだ。だけど私は、村の掟だから仕方がないといったら・・・」
僕が唖然とした。ラサさんの気持ちがわかっていない。だけど僕が言うべきか?
「私は、何か間違っているのだろうか・・・・」
不意にさっきコウのお父さんが言ったことを思い出した。徴兵制を断ると鬼が出ることを・・・
「何も間違っていないよ。なにも」
僕は、ここにいていいのだろうか?今頃鬼は・・・そんなことを考えるときではない。
「僕は、ラサさんを探してくる。」
「あ、はい」
コウは、本当にラサさんの気持ちがわかっていないようだ。教えてあげようか。いや今は、そんなことをしているときではない。
僕は、すぐに舞台を降りラサさんを探した。コウのお父さんが急に僕の腕をつかんだ。
「僕は、今すぐラサさんを探さないと」
「ありがとう」
「?」
「ラサちゃんならあっち丘の上に行ったよ。彼女のお気に入りのところだからね」
コウのお父さんが、村の裏にある丘を指した。サイレント・ヒル
「ありがとうございます。」
「こちらこそありがとう。おかげでコウの気持ちが揺らぐことなくすみそうだよ。」
「?」
「早く丘へ」
「はい!」
裏の丘へ走った。丘には、すぐに行くことができた。陸の頂上の木下にラサがいた。
「ハァ、ハァ、ラサさん」
「ハー君か、来たのは、てっきりコウが追ってくるか思っていたのになー」
「え?」
「泣きながら走れば、普通追いかけてくるもんでしょ。男の子は」
しまった、僕ではなくて本来コウがここに来るべきだった。
「まぁ、村人のことだから本当にコウが追いかけてもあの親ばかの親父が止めるけれどね」
「え?なんで」
「掟だから」
「知っててなんでコウの明日の気持ちを鈍らそうとしたの?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
沈黙が続く・・・まずいことを聞いちゃったかな?
「わたしーふられたなかな?こくはくしっぱーい」
「・・・・・・」
さっきから頭が痛い。考え過ぎかな?
「コウの本当の気持ちを知りたかったのでもいっか、君が来てくれたから・・・リュウキは、村を出たりしないよね」
「・・・ん・・ない」
「ん?」
「僕は、旅人だからこの村にいられない。」
「そっか」
「みんな消えていくのよね。別の世界へと」
「コウは、5年後また会えるよ」
「5年後ねー、そういえば私の昔の話をしたっけ」
「いや」
戦場孤児としか聞いていない。
「私の村ではね。魔法でもなく機械でもない中立の村だったの、でも機械の国に急に攻められて地図から消えちゃった。」
「家族は・・・」
「墓の中よ。」
「・・・・・・」
「でも、弟だけ奴隷で連れさられた。」
「じゃまだ生きているかも」
「無理よ。奴隷兵か特攻隊もしくは、金持ちのいいおもちゃにされてもういないよ。魔法も体力もろくになかったし」
「!もしかして、その弟の名前は、」
「リュウキよ。漢字は、いろいろあったから覚えてないけど」
ナイフに書いてあった名前、僕のお父さん、でも年の差が離れている。
「来てくれてありがと」
顔が近づく、僕は、思わず顔を背けた。僕の頬に・・・
キスされた、初めて・・・
「村に戻ろうか」
景色が揺らぐ。さっきお酒を飲んだからそれともいま・・・・・
意識が保てない。
バッサ、僕は、倒れた。ラサに覆いかぶさるように
「えーどうして、ねーどうしてこのタイミングで」
・・・・・・
それから僕は、ラサさんに方に腕を通おされながら家まで運びと翌朝散々聞かされた。
「男の子のくせいに」と・・・・




