2部より 終幕
僕が生まれた村にて
「ねぇ、わたくしが書いた手紙知らない?」
「見てないわね」
お母さんが答えた。
「お兄ちゃんの誕生日プレゼントの手紙なのに」
「誰の?」
わたくしには、お兄ちゃんが4人いる。
「先週の」
今月に兄弟で唯一旅に出たお兄ちゃんことだ。この作品の僕にあたる。
「何で今更」
「だって昨日出来たばかりなんだもん」
新たにお守りが出来たので送ろうとした。
「それに手紙をどうやって渡すつもり?」
「それは・・・・」
「移動し続けるものに送るなんて無理よ」
わたくしは、考えた。
「また魔法でパパッと渡して来てよ」
「いやよ。めんどくさい。それに手紙は?」
「見つからない」
「もう一度探してきなさい」
「探したよ」
「あなたもあと3年後に15才なんだからしっかりしなさい」
「う〜」
ガラン、家の裏ドアが開いた。
「ただいま−」
お父さんが畑仕事から帰って来た。
「おかえりなさい」
「ふ−疲れた」
そういうと、机の上にある新聞を読み始めた。家は、何故か新聞を3紙もとっている。煙草もお酒もギャンブルもしないけど新聞を読むそれが父さんの趣味であり、癖みたいなものだ。
「ね−わたくしの昨日書いた手紙知らない?」
「知らないな」
眉の上が、少し動いた。お父さんは、嘘をつくと眉の上が少し動く。
「眉の上が動いた」
「知らないものは、しらない。つ・・・」
机の上にとでもいいそうになったのかな?
「なんか言った」
「何も言ってない。それに手紙のことなどしらない。それ以前に部屋にはいってないな」
「間違えて捨てたかもしくは、もう送ったんじゃないのか?」
「捨てたりしない。それにまだお守りもまだ家にある」
お母さんの言葉にわたくしは、頭にきた。
「ならどんなお守りなの?」
「もってくる」
わたくしは、自分の部屋に駆け込んだ。
「ねぇあなた、娘の部屋にはいったの?」
「お茶」
「ねぇあなた!」
「お茶」
「わかりました」
お父さんは、新聞を見ながら、「チーターの毛皮の値段が、上がったんだ」とか、ぶつくさ言っている。
「はい、とうぞ」
机の上に熱いお茶が置かれた。
「出来れば冷たいほうがいいんだけど」
「何言ってんの、季節は、まだ冬よ」
「そうでした。ありがとう」
タッタッタッタッッ、わたくしは、リビングに戻った。
「大変大変、お守りもない」
「それは、大変ねぇ、せっかく作ったのに」
「ねぇお父さん、知らない?」
「知らないな」
「う〜」
「もう送ったんじゃないのか?今日の朝は、見たのか?」
わたくしは、首を横に降った。
「寝坊したからね」
お母さんが、一言付け加えた。
「どうしよう」
「安心しなさい。もし送ったとして運がよければ届いているし、そうでもなければ、宛先不明で家に帰ってくるか、探していたらそのうちでてくるさ」
わたくしは、納得できないまま部屋に戻った。
「ねぇあなた本当に知らないの?」
お母さんの問いかけに対しお父さんは、お茶を飲んでいた。
「アツッ」
お母さんも見兼ねて娘の部屋に向かった。
「あ−入らないで」と娘の叫び声に近い声が聞こえる。
「さぁね」
誰も自分を除いて聞こえてない。熱いお茶を飲み干しながら、お父さんは、壁にかけている時計をチラッと見た。
「・・・・いま2時5分カー」
とボソッと言った。お父さんのポケットに入っている石が、少し赤く輝いている。
その日、僕とコクハは、翡翠村についた。
2章 終わり
そのうち次回作書きます。
そのときはまた読んでください。
それではまた




