2部より 第3幕「海の祠」
僕は、浮かんでいた。いや、浮かばされていたと今いる船の漁師に教えられた。なんでも人魚が抱えて近くを通る、今いる船まで運んでくれたらしい。僕は、かなりの海水を飲んだが、その人魚による救命処置で難を逃れた。また、僕を抱えて8時間近く抱えていたと人魚が言ったそうだが、僕は、気絶していたのでわからない。
さらに、たくさんいたイカも追い払ってくれたさうだ。
つまり僕は、その人魚に命を救われたそうだ。その後、船は、翌朝港についた。船に拾われたのは、夜の10時なのだがあまり疲れてないこととこれから漁をするそうなので手伝わされた。さんざんコキつかわされたが、最後に取ったばかりの魚で新鮮なまかない食を食べたのでまぁいい思い出になった。
港に着くなり周りでは騒然とした。北から来た民が、あの人魚に助けられたのだ。普通その人魚は、魔法を使う人を嫌いまず助けないそうだ。だが、僕は、助けられた。つまり僕は、北ではなく南の人ということだ。このことは、漁師間から噂で広がり僕の北のスパイ説は、あっという間に払拭されてしまった。
僕は、宿に戻るとコクハがすやすやとベッドの上で寝ていた。僕も疲れたので起こす気にもなれずそのうえに覆いかぶさるように寝た。
「重いカー」
コクハは、跳び起きた。
目が覚めたら午後12時を過ぎている・・・そしたら、チェクアウトの時間に遅れてもう一泊することになった。コクハも
「まぁ仕方がないカーこういうこともあるカー」
と笑いながらいった。
「さて、これからどうするカー本来なら村を出て別の村を目指しているのだが昨日いろいろあり今にいたるわけだがカー」
今の時間は、午前の12時で、パスタ専門店でシーフードパスタを食べている僕に聞いて来た。
「人魚に会いたい」
「な、何を言い出す!!」
コクハは、語尾のカーを忘れるぐらいに驚いた。
「昨日助けられたみたいだから、この村にいるうちにお礼をいいたい」
「それは、無茶苦茶カー」
「そうかな?」
「人魚は、この村の守護神みたいな存在カーそう簡単に会える存在じゃないカー」
「僕は、昨日あったよ」
「でも記憶がないカー」
「うっ」
「おとなしくまた森で、資金稼ぎカー」
「もしかしてコクハは、海が嫌なの?」
「そ、そんなことないカー」
「じゃ決まりだね」
「わ、わかったカーそのかわり私は、なんも口だししないカー」
「?」
僕は、その意味があまり理解できないまま、パスタを食べた。
そして、食べ終わり自力で人魚に着いて情報を集めることになった。
だが、多くなの人に聞いても軽くあしらえ中には、僕の顔を見るなりに逃げ出すものさえいた。そして、わかったことはこの村では人魚が魚を呼び、この村の宝であることだ。たがらよそ者である僕になにも教えようとしない。で村を一周した。
子供にも聞いてみたが、「知らない」「わからない」「知らないおじさんと話してはいけない」などいって逃げられた。
「僕は、まだ15何だけどな−」
コクハが笑いを堪えながら見ている。
「あーもうどうすれば人魚に会えるんだ!」
「諦めて森にいくカー」
コクハから諦めるという間の言葉が聞こえて来た。
「いや、まだ頑張る」
「それは威勢のいいことカーでも早く森に行き稼がないと有り金使い果たして旅できなくなるカー」
「うっ」
「人魚探しも諦めるカーそれにこの村では買い取り主なんかないカー」
「僕は、人魚を殺さない。ただ、お礼をいいたいだけだ」
「本当カー?この村では売れなくとも別の村ならそれなり売れるカー」
「人魚は、僕の命の恩人だ!」
コクハは、僕の目の前で大きい声で言った。
「君は、いくらそう思うが、周りはそんなことちっとも信じない。逆に私が、言ったそのことを誰もが、思っている。ぶが悪いここはもう諦めるカー」
僕は、コクハの言う通かもしれない。
「僕は、ただ・・・」
「しっかり言わない。君は、心の底で人魚は、高く売れる。だからあって捕まえないただそれだけ何だろ?会って御礼がいいたいでもそれは、単なる表立てだ。人魚が売れればこの先の旅が楽になるからな」
「僕は、そんなつもりない!!」
コクハが、強い口調で言うので僕も強い口調でい返してしまった。
「!」
僕たちが、声を荒げて話すものだからまわりにギャラリーが形成した。
「君は、本当に儲けなど考えずに人魚を探すんだな
」
「そのつもりだ!!」
「勝手にするカー」
コクハは、どこかに飛んだ。
「あっ、まって」
僕の声も聞かずに建物を越えて僕の視界から消えた。
「まって・・・」
僕の声は、コクハに聞こえない。やはり探すのをやめるべきだろうか?・・・でもあれだけ大口を叩いたのだからここで引き下がるわけにもいかない。
まわりのギャラリーは、しゃべるカラスが飛び去るのを見て去り始めた。
どうしよう・・・おそらくだれも僕に人魚の情報をくれないだろう。コクハも行ってしまいなにも聞くことが、出来ない。自力で探すとは、言ってもここの町に来たばかりなのだからわからない。だからといっていつまでもこの町にいる気はさらさらない。
「どうしました?」
振り向くとそこには、昨日いろいろ教えてくれた、漁師のタカシだ。
「いやそれが・・・コクハと喧嘩してしまいまして」
多分見られたのだからごまかすのが面倒になった。
「それは、大変ですね。追い掛けなくていいの?」
確かに追い掛けるべきなのだがそれは、つまり人魚にお礼をいうことを諦めるようでいやだ。
「コクハは、早くて僕では追いつけないんで・・」
「何で喧嘩してたの?」
「人魚探しを諦めろと」
「なるほど、確かにこの村では、前に話しましたが、人魚はこの海域に魚を集める神ですからね」
「神ですか・・・」
人魚に会えない気がする。昨日会えたのは単なる気まぐれだったのか・・・
「それに人魚に会うことが、出来るのはこの村でもほんの一部の人だけですからね。それに会ったのは、たまたま海面に顔を出しているときですから」
「つまり・・・」
「滅多に会えませんね、アハハハ」
「そうですか」
この村の人達が、人魚のことについてなにも言わないことがわかった気がする。滅多に会えないつまりどこかにいるかわからないわけだ。コクハに謝りに行くべきかな?
「でもおよそですが、どこにいるかはわかります」
「ッ!!」
「確か向こうに大分前に作られた洞窟があるけど」
町の端の方角を指した。
「そこは、本来古代遺跡にから海に繋がる水道だったんだけど最近では海に繋がる道が地盤沈下など別に出来てあってその先に海の祠があるんだけど」
「人魚の住家」
海の祠に人魚が、いる誰からも聞いたことがないけど何となくそう思う。
「その通り、だくどかなり強い魔物が住み着いて普通の人では近づけないよ」
「チーターよりも?」
「正確にいうとほとんどか水に浸かっていて泳ぎ回る魔物が、多いんだ」
「つまり水中で息継ぎが出来ない。僕たちには、通り抜けることが難しいこと?」
「そう、だけどこの村の神の使い、神主さんは、別に安全な方法で祠に向かうらしんだがそれは、関係者以外全くわからないんだ」
「別の道?」
「魔物に全く襲われずに行くことが出来るんだ」
「それ、知りたい」
「それは、僕でもわからない。何せいつ向かうかは、ランダムで全く法則がないし、それに船でも行くことが出来ない」
「でその神主に会えば言い訳だね」
「それは無理だね」
「なんで」
「神主さんは、10年前に亡くなってるし、その法則を知る人は誰もいないし、子もいない」
「八方塞がりか」
「人魚に会うことや助けてもらえるなんて普通に滅多にあることじゃないからな」
「その遺跡は、ここから近いの?」
でもその遺跡に興味があった。魔物が強いのだからギルドもそれなりの報酬がもらえるからだ。
「いちよう入口を教えるけど危ないから無理だと思ったらすぐに引き換えして」
「わかった」
その遺跡は、村の中に森の方角から後ろに海が繋がっている。大きさは3Mぐらいで今でちょろちょろと川幅15センチくらいの水が流れている。そしてなんか臭い。
「ここは、古代遺跡からの下水の出口だからね。今では遺跡だけどでもまだニオイは、あるよ」
下水道か・・・それだけで帰りたくなった。
「ここを真っすぐいってすぐに右に穴があるからそこから祠に繋ぐ道があるから」
「わかった」
「あとそれと・・・」
「何?」
「なかは、当然電気も太陽もないから、真っ暗だからなんか明かりになるものを持っていくといいよ」
「ありがとう」
僕は、魔石の明かりがあるから別にいらない。
「じゃ私は、次の漁があるから、人魚に会えるといいね」
「うん」
お礼を言うとタカシは、自分の家に帰った。
「さて、行くか」
僕は、穴を見ながらいった。
「君は、少しも疑いを持たないみたいカー」
バササッと、羽音を立てながら、真後ろに下りて来た。
「あっコクハ」
普通にコクハがいた。
「昨日のおまえを見捨てた漁師が、今日は道案内カー」
「コクハは、宿で一人で待ってて祠には、僕一人で行くから」
「本当に行くのカー、中には強い魔物がたくさんいるカー」
「当然」
「今の君じゃボコボコにされるだけカー」
「うらさいな。僕の自由にさせてよ」
コクハが、ぼくの目の前に立ちとおせんぼをした。
「もしかしたら、かえって来れないかもしれないカーそれにさっきの漁師がいやこの町全体の罠かもしれないカー」
「コクハは、人を信じなさすぎ」
「じゃなんで漁師は、無償でこのことを教えたのカー」
僕は、少し悩んで答えを出した。
「昨日見捨てて逃げた。詫びかな」
「カーもしかしたらこの村全員で君を罠にかけるためかもしれないカー」
僕は、コクハがここまで止めようとしたのかわかららない。別に人魚を捕まえたり食べたりするわけではない。それに道が海に沈んで進めないのなら引き換えして諦めればいいだけの話だと思う。なのにどうしてそこまで・・・
「僕を罠にはめる意味あるの?」
「着てるもの剥がされるカー」
「コクハは、心配しすぎ」
僕は、穴に入った。
「まぁいいカーあと、どうやらあの三文芝居はそれなりに効果あった見たいカー」
「ん?」
「さっき君に本当に人魚を殺す気があるのか?強く聞いたカー」
「僕は、そんな気はない」
「当然知ってるカーでもあの時大声でいったから多くの町人が、足を止めて聞いたカー」
「ギャラリー多かったね」
「そのおかげで多くの人が君のことを信じてくれ見たいカーおかげでここのことも知ることが出来たカー」
「じゃなに?さっきのわざと?」
「当然カー」
「ところでランプはどうするカー?」
「大丈夫、持ってるから」
「?」
「早く行くよ」
「待ってカー烏は、暗いところ見えないカー」
コクハが、僕の肩に乗った。
歩き出して、すぐに暗くなった。
「これからどうするカーなにも見えないカー」
「何も見えないね」
「当然カー」
水が、流れる音がする。そして、なによりも臭い。
「我に道しるべとなるべく光をともせ」
目の前が、明るくなり出した。
「君には驚かされることが多いカー」
夢で見た通りの呪文をいうとペンダントが、緑色の光出して辺りが明るくなった。
「これでランプはいらない」
僕は、さらに奥を目指した。すると臭い理由が、わかった。目の前に骨と腐っている肉が、散乱している。
「いけにえカー」
「すべて人魚が食べたの?」
「すべてかどうかわからないカーでも人魚へのお供え物ということは確かカー」
「もしかしたらこの先の魔物かも・・・」
「そうかもしれないカーどうするカー?」
ここで引き下がる気なんかない。
「行くさ」
「さすがカーでも無理は、ほどほどカー」
「無理なんかしてない」
僕は、そこを強く強調して穴の奥深くを目指した。
「オイ横道が、あるカー」
「・・・・」
ニオイと歩きにくい骨ですぐに気付かなかった。今通っている穴に比べると半分ぐらいの大きさしかない。
「早く行くカーのんびりしていたら日が沈むカー」
「わかってる」
それから道は、ひたすらに深く傾斜していた。
「何でこんな道があるのかな、コクハ?」
「聞かれてもわからないカー特に昔の人が作った物は意味わからないカー」
「コクハもわからないの」
「何でも知っているて大間違いカー」
「ところでここが大昔に作られたって何でわかるの?もしかしたらつい最近に作られたかもしれないのに」
「・・・・・・」
「それにさっき全く知らないて矛盾してない」
さっきからなにか知っているような気がする。横の抜け穴も普通初めてではわかりにくいところにあった。
「・・・・・さて先に行くカー」
「ここについてなんか知ってんの?」
「何も知らないカー」
コクハは、飛んだ。
「まって、なんか知ってるでしょう?」
「知らないカー」
コクハをおいかけるために僕は、走った。
ボスッバサッ、コクハが、なにかに当たった。
「カー」
「大丈夫?」
「頭がクラクラするカー」
「高く飛ぼうとするからだよ」
どうやら天井にぶつかったらしい。僕は、コクハを広い上げ腰にある鞄に詰め込んだ。顔だけ外に出した。
「頭が、クラクラするカー」
「静かにしててね」
僕は、さらに穴の奥へ突き進んだ。
急に辺りが、開けた。ものすごく
「広い」
さっきまで魔石の光で見えていた、天井が見えない。光が、行き届かない。壁も見当たらない。
「大きな体育館・・・・」
「それは、違うカー」
コクハが、目を覚まし辺りを見回す。
「ここはなんだかわかる?」
「うーん、このまま真っすぐ行けばわかるかもしれないカー」
「真っすぐね−」
辺りは、ぼくの光を除いて真っ暗だ。前に本で人が目をつぶったり、真っ暗な道を歩くと以外と聞き手のほうに曲がり真っすぐ歩くことは出来ない。そんなことを本で読んだ気がする。
「そうだ!コクハ」
「何カー?」
「とりあえず高く飛んでどれだけ高いか調べて来てよ」
「それはように死んでこいとカー?」
「そんなことは言ってないよ」
「カラスは、くらいと目が利かないカーもし飛んだらどれだけ高い天井にぶつかって落ちるカー」
「大丈夫だよまた拾うから」
「高いとこから落ちたらそれに比例して重くなるカー君には、無理カー」
「そうか」
「とりあえず真っすぐ進むカー」
「道なき道を突き進めか」
そして歩くとすぐに建物が見えて来た。何かの小屋みたいだ。
「何の小屋かな」
「誰もいなそうだカー横を見てカー 」
「えっ」
「畑カー」
「本当だ」
小屋に集中して気付かなかった。辺り一面が、畦道のある畑の跡だ。
「こんな暗いところで植物が育つの」
「どうかなカーもし天井にかなり明るい光を出す蛍光灯があれば、少しは、自家栽培出来るかもしれないカー」
「だけどここは真っ暗だよ」
「今は、誰もいないからついていないだけカーここで栽培するより外で栽培したほうが、コスト安いカー」
「じゃ何でこんな施設が・・・」
「君は、ここについていくらか教わってるカー」
「コクハは、やっぱりここについて何か知ってるの」
「知るも知らないもここについては、大まかに有名カー」
「??」
「古代大戦カー」
「指令部?」
「違うカー、この辺りは、昔古代文化のとき巨大工業遺跡カーそのことは、学校でたのなら誰もが知ってる常識カー」
「じゃここは、核シェルター?」
「そういうことになるカー」
「だけど古代大戦なんて10世紀以上昔の話じゃんそれが何でまだあるの?」
「再利用されたかもしれないカー」
「再利用?」
「今は、そのことについてとやかくいうべきじゃないカー人魚に会うことが優先カー違うカー?」
「うん、そうだね」
ちなみにここは、話が変わるが以前ここで新人類プロジェクトというふざけたがあり、その飼育として戦争直前まで使われていたがそれはまた別の話である。
それからいくつもの畑を越えて反対側の壁に行き着いた。何もないただのコンクリート
で出来ている壁である。
「壁だね」
「壁カー」
左右見ても光が、弱く遠くまで見えない。同じ壁が続いてる。
「もっと光を強く出来ないカー」
「少しなら出来るけどかなり疲れる。帰りの分までに体力を使い渡すよ」
「体力ないカー引きこもりが」
最後を小声でいった。
「なんか言った?」
「何もいってないカー」
「疲れた」
僕は、壁に背もたれながら座った。
「重いカー」
腰にいるコクハのことをすっかり忘れて、コクハを圧し潰すように座った。
コクハは、あばれながら鞄から抜け出た。
「体は精密なんだからもっと丁寧に扱ってほしいカー」
「次から気をつけるよ」
そういうと辺りが、急に暗くなった。
「あっ、少し休んでもいい?」
「本当に体力ないカー」
「光りよ消えよ」
本当に何も見えなくなった。
「こんなペースだと今日中には、会えないカー」
「仕方ないさ」
真っ暗なのに声だけが、聞こえる。一昨日の全く聞こえないの逆だ。全く見えない。
「ねぇ何で聞こえたり、見えたりするのかな?」
「何をぶっきらぼうにカー」
「だって最初から見えたり聞こえなければ、例え見えなくなっても聞こえなくとも困ることはなかったにね」
「それは違うカー見えたから聞こえたから生まれたものがあるカーもし何も見えずに聞こえなかったらここまで何も感じなかったカー」
「そうすれば戦争もなかったかもしれないだよ」
「もし人間更なる感覚が、あればそれが無ければ機械と科学で戦争しなかったかもしれないカー」
「何がいいたいの?更なる感覚って何?」
暗闇で何も見えないはずなのにコクハが笑ったように見えた。
「それは、自分で考えるカー」
「・・・・・」
考えたそして、一つの答えがでた。
「何かわかったカー」
「例えそれがあろうがなかろうが、また別の感覚で同じことを話すだろう」
「そういうことカーさぁまた進むカー」
「なんか考えて余計に疲れた気がする」
「なら早く帰るカー」
「断る。我に道しるべとなるべく光をともせ」
さっきの光りより明るい。
「それでも光りは、弱いカー」
「これでも200%増量なんだけどな」
また、光が弱まりさっきと同じ光りになった。
「もっと強い光を出すカー」
「疲れるカー」
「真似するなカー」
「いてっ」
コクハのクチバシが、僕のすねに当たり、急に光が弱くなり暗くなった。
「早く行くカー」
「行くってどっちだよ」
「君は、右利きか左利きカー」
「右利きだけど」
僕は、すねを押さえながら答えた。イテテッ
「ならここから左君の右に進むカー」
「真っすぐ歩いていても体が自然と利き手のほうに向かう性質か」
「そういうことカー」
ガツガツ、コクハは、クチバシでその場に穴を掘り出した。
「?何しているの?」
「万が一戻って来ても元に戻れるように目印を作っているカー」
「ふーん」
「君もいつかこれが役に立つとき来るカー」
「それがないといいけど」
それから、コクハの言われたとおりに壁に沿って歩いた。
またこの目印は、使うことはなかった。
「ここカーこれが、ここの出口カー」
「・・・・・」
僕は、光りという魔法を使い続けているから疲れて声がでない。ちなみにコクハは、この施設の入口と出口が一直線上にあるということについて何で知っているのかと僕は、何も疑いを持たなかった。
「次に進むカー」
コクハは、腰の鞄に飛び乗った。多分これも疲れの原因かもしれない。
扉を開けるとそこは、下りの階段がある。
「もっと地下深く目指すの?」
「嫌ならすぐに引き返すカー」
時計を見ると午後の3時を指していた。
「行くよ。祠に着くまで」
それからぐるぐると階段を下り、迷路みたいな道をコクハの道案内に従い進んだ。であることに気がついた。
「次の道は、左に進むカー」
「コクハは−」
「何カー?」
「やっぱりもしかしてここに来たことあるんじゃない?」
「そんなことないカー」
コクハは、別に動揺する事なく答えた。
「じゃなんでこの道だと言えるの?」
「それは、適当だからカー」
「適当?じゃもしかして道迷ってる?」
「それは、大丈夫カー道は、しっかり覚えてるカー」
「じゃなんでこの道だと言えるのさっきから上がったり下がったり、右にいったり左にいったり」
「それは、安全通路だからカー」
「安全?」
「でも次は、無理カー」
「無理って何が、この先の道にはすべてに魔物の気配がするカー」
「魔物?」
「今まで出来るだけ会わない道を探してたけど次ばかりは、無理カー」
「コクハに魔物の気配わかるの?」
さっきから魔物に遭遇しないのは、コクハのおかげだ。
「当たり前カーそれがないと生きてここから抜けられないカー」
「すごいな」
「褒めてもダメカー次の道には、どこにも魔物だらけカー右には、2体、左には、1体カー」
本当にいるのか確かめたかったけど、左に曲がった、真っすぐの道には、何体いるか気になるが・・・
「なんじゃこりゃ」
足元に黒い物体が、うねうねと動いている。
「ナマコカー」
「でかくない?」
大きさは、ゆうに1Mを超えて、芋虫みたいにモゾモゾ動いている。
「気味ワル」
僕は、後退りした。
「こいつは、動き遅いしあまり強くないカーそれにナイフで簡単に切れるカー」
「そうなら」
僕は、ナイフを出した。
「まて、切るなカー」
コクハの警告より先にナマコを輪切りにした。バシュ、何か血みたいなものが僕のかかった。
「どんなもんだい」
「バカ、どこか直接皮膚にかからなかったカー?」
「少し腕に」
少し右腕にかかった。
「すぐに拭き取るカー」
「クサ」
辺りが、急に臭くなった。
「ナマコの消化液カーすぐにこの場を離れるカー」
「わかった」
僕は、ナイフを待ったままナマコを飛び越えて走った。
「痛い」
右腕に痛みが走った。魔石でかざすとかかったところが赤くなっている。
「服で拭き取るカーそれは、タンパク質だけを溶かすから服までは、溶けないカー」
服で拭き取ると次第に痛みが、納まった。
「何なの?さっきのあれは」
「昔、特殊な液体を作る生物で作られたカーちなみにあの液体を飲むと痺れて1週間は動けなくなるカー」
「1週間も」
こんなところで1週間もいたら餓えて死ぬか、溶けるなと思って身震いした。
「次にあったら何もしないですぐ逃げるカー!」
「なんか皮とか皮膚みたいの村で売れないの?」
「あのナマコを・・・体液なら売れるカーだけど今の君ならそれをもって帰る術が、ないカー」
「諦めるしかないのか」
「!ッカー」
コクハが、急に辺りをキョロキョロ見回し動揺した。そして何かに怯え出した。
「どうしたの?」
「奴ら思っていたよりも智恵があるカー」
「智恵?」
「前からも後ろからも数をなして集まってきてるカー」
「何で・・・つまり囲まれたいうこと」
「そういうとカーそれに殺気があるカー」
「ナマコって下等な生き物じゃないの?」
「自然界のは、下等でもここにいるもの人間によって進化させられた。魔物カー」
「普通じゃないのか・・・これからどうしよう・・・・」
「逃げるカー例え智恵があってもあまり強くないカー」
「わかったそうする。うっ」
また、右手に激痛が走った。僕は、痛さに堪えられなくてナイフを落とした。
「どうしたカー?」
「右腕が痛い。それとなんか痺れる」
「よく見せるカー」
「しみる・・・」
袖をめくり上げてコクハに見やすいように見せた。
「はれているカーさっきの毒カー」
「拭けば痛いみが納まるんじゃないの?」
「そんなに毒が強いなんて聞いたことないカー」
「あれ?」
何故か痛みが、納まった。
「大丈夫カー?」
「痛くなくなった」
「心配させるなカー」
僕は、落としたナイフをまた広い上げようとした。
「痛い」
力を入れようとしたらまた痛みが、強くなった。僕は、このナイフにのろいがかけられたような気がした。だが、左手で拾ったが別に変化がなかった。
「痛いカー?」
「今は、痛くないけど右腕に力をいれるとかなり痛い」
右腕が赤く腫れている。だが急いで病院に行くまでではない。
「仕方ないカーナイフは利き手じゃないけど左手で持つしかないカー」
「うん」
ナイフを軽く振るが、いつもと少し違う感覚だ。
「集まって来たカー」
僕は、コクハの言う先に魔石の光を強めて照らした。さっきのナマコが、6匹見える。
「たくさんいる・・・」
「ここにいるとさらに数が集まってくるカー」
生唾を飲み込んだ。これ以上体液をかけられないように抜けなければいけない。もし誤って体液を飲むようなことがあれば、動けない僕を溶かされながら食べられるに違いない。
「怖いカー?」
コクリ、僕は、首を上下に動かした。
「大丈夫カー相手は、おそらく倒した仲間に向かうカー」
「魔物の性質を本当に知っているねコクハは」
「そんなこと当然で常識カーさぁ走って通り過ぎるカー」
「わかった」
僕は、コクハに言われたとおり刺激をしないようにナマコの魔物を抜けた。ぐにゃ・・・
「あっ・・・」
3匹目を飛び越えて4匹目の影にいた5匹目を何もためらわずに踏んだ。
「〜〜〜〜〜ッ!!」
ナマコは、声にもならないようにないた。口を向けて消化液をかけてきた。僕は、慌てて服でよけた。背中から強烈に臭い匂いがする。
「何もたもたしているカー早く逃げるカー」
「わかってる」
ナマコの仲間も消化液を一斉に僕たちにかけてきた。僕たちに向かって追い掛けた。だけどかなり遅いので容易に逃げ切れた。
「ハァハァハァハ、疲れた−」
「もう村に戻るカーこれ以上進むのは、危ないカー」
「いやまだ戻らない」
「なら諦めるまで進むカー」
さらに廊下を歩き続けると部屋がある。だが鍵がかかって入れない。
「開かない」
「鍵を探さないと入れないみたいカー」
僕は、ドアをよく見た。
「なんか電気式みたいだから軽く電気を流せば開くかもしれない」
「君が電気を使う魔法が出来たとして、細かく調節出来るのカーもし壊したら帰るしかなくなるカー」
「鍵あっても開くの?」
「鍵があれば手動で開くカーこんなこと常識カー」
「僕の村にそんなハイテクな製品なんかないよ」
「君の村は、田舎カー」
僕は、何のためらいもなく左手のナイフでドアに指した。
「我に力を」
左でナイフを持ち突き刺した。一度ではダメで何度の突きたてた。
「何するカー」
「道がないなら作ればいい。BYだれか」
ナイフの先端が扉の隙間に刺さった。僕は、見えないナイフでこじ開けた。
「どんなもんだい」
「無茶するカー」
「あー疲れた」
僕は、死んだ目をしながら次の部屋に進んだ。
「右手は、痛くないカー?」
「大丈夫、左手だし大丈夫だよあと・・・」
「あと?」
「僕は、大丈夫ここまで来て引き下がらないよ」
僕は、親指を上に立ててガッツポーズをした。だがコクハは、すぐ隣の部屋に鍵がかけられていることが多いと言いそびれた。また、こういうように頑丈に閉じられている扉の奥には、かなり強い魔物がうようよいることを・・・
「待ってカー」
コクハは、飛んで追い掛けた。つまり言わなかった。
「さて次は」
「まだこの先あるの?」
「当然カーすぐには人魚に会えないカー」
僕は、かなり疲れていた。正直このまま帰る余力があるのか不安だ。
「この後何があるの?」
「この先には、一本橋があるカー」
「一本橋?ここ地下の施設だよ。それになんでわかるの?」
「目の前にあるカー」
目の前に広い施設と狭い通路があり、回りには一面海だ。潮の匂いがするだけだが・・・
「ここは、何だ」
「ドッグカー」
「ドッグ?」
「船、特に潜水艦専用カー」
2隻の上半分が丸い船が見える。町で見たものと全く違う。
「潜水艦?」
「海に潜ることが、出来る船カー」
「そんなこと出来るの?」
回りを木に囲まれた村で育った僕には、昔に46cmもの大砲を詰んだ戦艦や戦闘機が飛ぶための滑走路がある潜水艦があるなどしるはずもない。
「そんなこと出来るのじゃ村にもって帰れば高く売れない?」
「だいぶ昔の船カー動くかわからないカーそれに一人で動くものでもないカー」
「じゃみんなで」
「数世紀前カー穴が開いてないほうがおかしいカー」
「ふーん」
だが困った。ここは、もう行き止まりだ。ドッグしかない。これといって村で売れそうなものもない。
「祠はどこだ?」
僕は、コクハを睨んだ。
「そんなこと言われても困るカー」
「そうだよね。知るわけないよね」
「諦めて帰るカー?」
腕時計をみると夕方の6時を指している。
「そうだね」
計画制がなく失敗した。
「んっ!」
「どうしたのコクハ?」
「なんかさっきと違う気配がするカー」
「どんなの?」
「さっきと比べものにならないぐらい早いカー」
「さっきは、かなり遅かったよ」
「さっきより村の外にいた魔物より早いカー」
「どこから?」
「気配を消しているからわからないカー」
「じゃどうやって近づいているのがわかるの?」
「君に気付いて気配を隠したカー」
「じゃどこかに僕を狙って隠れてるの?」
「そういうことカー」
僕は、ナイフを力強く持った。さらに僕たちは、来た道からはなれて出来るだけ海を背にして来る魔物に備えた。
「光を消すカー」
「そんなことしたら全く見えないよ」
「今は、姿をさらけ出しているようなものカー自ら狙ってくださいといっているようなもんカー」
「だけど」
「いいから消すカー」
「わかった。導きよ消えよ」
光が、消えたとたん後ろから気配がした。
「後ろからカーすぐによけるカー」
「わかってる」
僕は、コクハが言うより先に前に逃げた。
なにか物凄い気配だ。殺気に近い。
「我の導き」
「光を出すな!狙われるぞ!」
コクハの語尾のカーがない。絶対やってはいけない。
ギャルルル、この世のものではない泣き声だ。海にすむ魔物だろうか?
バサササッ、ギャ、ギャル、カー、光が、全くなく全然見えないがコクハと得体の知れない魔物が戦っているのが何となくわかる。
「今だカー切るカー」
「切るってどこを?」
「横にナイフを振り切れカー」
僕は、言われたとおりナイフを力いっぱいに横に切った。ザクッ、!!なんか当たった。
「喰らえ」
そのままナイフでキリ口を開いた。
「ギャー−−−」
物凄い叫び声が、部屋全体に響く。僕は、さらにナイフで切り付けた。ザクッ、
「よしっ」
うまく刺さったが抜けなくなった。
「やったカー?」
「喰らえ焔」
魔隻が赤く光、魔物を照らしながら顔を焼いた。得体の知れない鱗があって足が二つ体は、銀光りしてなんか人間の出来損ないだ。
「ギャー」
魔物は、顔を焼かれながら叫び海に飛び込んだ。腰にナイフが刺さったままだ。
「まてっ」
火は、海に飛び込むとまた、辺りが暗くなった。
「我を導く光を照らせ!」
魔石が光り辺りを照らしたが、腰にナイフが、刺さっていて顔が焼けた魔物がいない。そのかわり、あたりに複数の魔物が、こちらを黙ってみている。
「ナイフが」
「一旦戻るカーこんな数相手にしないほうがいいカー」
「だけどナイフが・・・」
「こんな数相手に出来ないカー相手がなんだかわからないカー」
「うっうん」
僕達は、急いでその場逃げ出した。魔物達もその背中を追いかけようとして海からはいでて来た。
僕は、さっきドアをぶち壊さなければと後悔した。道を曲がっても後ろから追いかけてくる。
「焼き払うよ」
「君の体力を考えるカー力を使い果たしたら逃げることも出来なくなるカー」
僕は、道を曲がり階段を上りさらに別の階段を下がり、通路をひたすらにジグザグに逃げた。
「なんか最近逃げっぱなし」
「仕方ないカー無傷だけでも運がいいカー」
通路を曲がりようやく足を止めた。
「ハァハァ、走ったり戦ったり今日は、一段と疲れる。ナイフを奪われたし」
来た道を少し見て魔物から逃げ切ったかを確認した。どうやらうまく逃げれたようだ。
「何であの時、ナイフを抜かなかったカー?」
「固くて動かなかった」
「力不足カー」
「そうかもねハァハァ」
「今は、ナイフのことを諦めてここから出ることを優先にするカー」
「うん、そうしよう。で出口はどっち?」
「君が、ジグザグに逃げたからどうやって来たのかどこが出口なのかわからないカー」
「えっじゃ道に迷った」
「道に迷う以前に道なんかないカー」
「まぁそうだけど」
つまり手当たり次第歩き回って出口に向かうしかない。それ以前に今日中に出られるかも不安だ。
僕は、その場に座ると魔石の光が消えた。
「どうしたカー」
コクハの問い掛けに小さないびき声がした。
「疲れたカー?」
返答がない。
「仕方がないカー」
コクハは、僕を起こそうかと思ったがやめた。そのかわり目が使えない代わりに耳をすませて、魔物が近づいていないかに気を配った。
それから30分ぐらいしてたたき起こした。その時5、6回近く僕は、寝ていないといったらしい。
ザクッ、
「いって−−」
コクハのクチバシが僕の足を刺した。
「起きたカー?」
「体が、重いし暗くて何も見えない」
「光が、ないから当然カー」
「今日は、ここで一泊留まろう」
「水と食料あるのカー?」
「・・・・・早く村に帰ろう」
「そのいきカー」
「我を導く光よ出ろ」
魔石が、辺りを照らす。
「さっきと魔法の呪文が違うカー」
「なんか慣れた。本当は、もっと長い呪文だけど慣れれば短くていいんだよ」
「魔法はそんなもんカー?」
「お母さんなんて何も言ってないのに魔法が使えるからね」
「北の人でもそういう人あまりいないというカー」
「コクハは、北の国にいったことあるの?」
「行ったことないカーでも有名カー」
「じゃ僕のお母さんはすごいの」
「見たことがないからわからないカーそれより早く移動するカー魔物が近づいているカー」
「たくさん?」
「多分1匹カーまだ君に気付いてないカーだけど来た道は、使えないカー別路で地上に出るしかないカー」
「わかってる。行くよ」
コクハは、僕の肩に乗りさらにこの遺跡を探索した。ある程度進むと道の雰囲気が、がらりとかわった。今までは、大分前に作られたが施設だがこの先は、明らかに掘られたばかりの洞窟だ。村とは、正反対の方角だが明らかにこの先に祠がありそうだ。
「戻らないカー」
「気がかわった」
「いうと思ったカー」
「会いに行こう人魚のいるところで」
「もう引き換えせないカー」
「当然」
なんか気配がする。
「わかるカー」
「知ってた?」
「起こす少し前からカー」
僕は、また走った。その気配も僕が走るのに合わせ走り出した。この速度は、さっきのナマコじゃない。魚人?だ。
「行き止まりだったらどうするカー?」
「本当に行き止まりだった戦う」
「いい心掛けカー」
走ると目の前の道が、海水に浸かっている。だが、まだ進むことが出来そうだ。
「引き返すカー」
「目の前にまだ道があるのに?」
この先に人魚が、いる気がした。
「海水では不利カー」
数が、さっきより増えている気がする。このまま戦うべきかそれとも先に進むか?戦うにしても武器のナイフがない。たとえ氷のナイフを作ったとしても体力をかなり消費するから全員を相手に出来ない。微かに足音がする。
「すべてを相手に出来ないから先に進む」
「もう任せるカー」
最初靴より低かった海水が、奥に進に連れ膝辺りまで深くなった。
「歩きにくい」
「急ぐカーあいつら泳いでくるカー」
腰に信号用の銃があるが閃光弾や音響弾を買うのを忘れた。
「今更だよな」
「?なんかいったカー」
「なんでもない。この通路から早くでないと」
先が、薄暗く見える。
「出口だ」
「もうすぐカー」
出口の先で少し陸の上に人魚がいた。も少しで会える。だが、人魚は、こちらを見ると驚いて奥に消えた。
「待って」
通路から出た。だがそこは、岩のドームになっていて、上が吹き抜けでそこらから月が見えドーム全体を照らしている。
人魚の姿は、見えないが足元にさっきナイフを刺した魚人が、仰向けに息絶えている。人魚が、看病していたのか?
「囲まれたカー」
周りが、深く海水に浸っていてそこに魚人が、ぐるぐる泳いでいる。どんどん数が増えてる。
「コクハは、あの吹き抜けから外に出て助けを呼んで来て」
「こんな数どうするカー?」
僕は、ナイフが刺さっている魚人の腹に足を乗せて力いっぱいにナイフを抜いた。
「ナイフがあるから大丈夫」
「わかったすぐに呼んでくるカー無理するなカー」
コクハは、吹き抜けに向かって飛んだ。
「無理をしないほうが無理だよ」
魚人の動きが次第に速くなっている。
「光よ消えよ。我に力を」
魔石が、月夜より明るく光る。僕は、海水に手を突っ込みなにか見えないものを取り出した。その二つを高々く上げて、月に照らされた。左手には、父からもらったナイフで右手には、海水を魔石で凍らした即席のナイフ、空気を固めるより比較的簡単だ。そういえば一番上のお兄ちゃんも刀とバスタードブレイドの二つの剣を使う軍人だと思い出した。その時、戦うときは、複数を相手にしないで単体を倒すと教えてくれた。
「来るなら来い。まとめてぶった切ってやる!!」
それに反応したように一斉に集まって来た。
「かっぱしから相手にしてやるぞ!」
もうやけだ。だけどそれぐらいの気持ちてまなければ心が勝てない。
その頃、コクハは、吹き抜け出ると少し前に入った遺跡の入口を見つけた。吹き抜けから入口まで100Mも離れていない。また、すぐに人を集めることが出来た。僕が、なかなか戻らないので漁師のタカシを中心に軽く装備をした町人が、遺跡の出口近くに集まっていた。
そして、すぐに事情を説明して、何人かにロープをとって来てもらい。他の大人数で吹き抜けに来てもらった。この数が、いればまず負ける気がしない。
吹き抜けを覗くと僕が、複数の魚人と戦っていた。だが、吹き抜けから僕のところまで10Mぐらいあり、すぐに助けに迎えない。
「ここから離れろ。足場が、持たない」
ドームは、たくさんの町人の重さに耐え切れず揺れ出した。みんな慌てて逃げ出した。そこから離れると、揺れと地盤沈下が激しくなった。
「おい、今すぐ逃げるカー」
僕は、上を見ると天井が近づいて来た。助けが来たと思ったがそれより先に崩れるようだ。ドーン、うしろに天井の一部が、落ちて来てそこにいた魚人の姿が消えた。またここにはいった入口が、塞がれた。次は、自分だと悟った。次第に天井が下りてくる。僕は、思わず人魚が飛び込んで消えた方に飛び込んだ。そこから海に繋がっている気がした。周りにいた魚人も我先に人魚が出た入口に群がる。
僕が飛び込んでドームが、崩れて物凄い水圧が背中から来た。だが、まだ意識を保って泳いだ。昨日のクラーケンより弱い。だが、このトンネルは、思ったより長い。周りにいた魚人は、次々に先に進む。僕は、魔石を光らせて後を追うが追いつけない。
−息が続かない−
魔石の光が消えるのを見て意識を失った。
昨日の大雨で水かさが、増しているけど新しく作ったルアーで絶対、川の主を釣れる。
ただ一つの不安は、今日も懲りずにまた妹とお兄ちゃんが、きたことだ。
昨日と少し違うとっこを目掛けて仕掛けを投げた。
また、妹が川に近づこうとした。
「待っていくな」
僕は、釣竿を投げて妹に向かった。お兄ちゃん達が先に近づいたが姿が消えた。妹もそれに近づき姿を消した。
「いったそばから」
僕は、飛び込んだ。水かさが、昨日の2倍近くで濁ってて見えない。手探りで泳いだ。
手になんか掴んだ。でかい魚だ。だがするりと手から逃げた。
−川の主−
いた。川の主の泳ぐ先に妹がいた。体を押さえて何とか外に出た。そして、死に物狂いで岸についた。
息をしていない。お兄ちゃん達もまだ川から出て来てない。
木陰からお母さんがでてきた。
「どうしよう。息をしてない。お兄ちゃん達もまだ川から出てきてないよ」
「今日は、川にいっちゃダメだといったでしょう」
こんな状況なのに冷静だ。
「お母さん!!」
「わかってるわよ」
お母さんは、川に向かって掌を出した。なにか念じているようだ。
「なにをしているの」
「うるさい気が散る」
「・・・・・」
「いた」
なにか釣りをするような仕種をした。すると川から二つの塊が超に浮いた。お兄ちゃん達だ。
「・・・・」
なにがなんだか理解できない。お母さんは、こちらに手招きをする仕種をするとお兄ちゃん達が、中に浮かびながらこちらに来て下ろした。二人とも息をしてない。
「みんな息をしてないよ」
「そんなこと知ってるわよ」
宙でなにかを取り出す仕種をするとみんな水を吹き出した。
「・・・」
「よしっ。さて次は」
木に向かって指を鳴らすと木が妹に目掛けて切れて倒れてきた。
「危ない」
「はいっ」
だけど、ぶつかる直前木は、粉々に砕けて枝みたいになった。
「???」
「これを並べて」
砕けた木は、倒れている3人の中心に置かれた。まるでキャンプヒァイヤ−の土台のようだ。
「お母さんってもしかして」
「燃えちゃえ」
お母さんの言葉に答えて急に木が、燃え出した。
「どうして」
お母さんは、僕に口に一差し指をつけていった。
「今見たことを誰かに言ったら燃やしちゃうからね」
僕は、頷くことしか出来ない。
「指すが我が子、じゃ帰ったら川に行ったことについて折檻ね」
そういうと木陰にはいるなり姿を消した。僕も後を追おうとしたら妹が唸った。別に大丈夫みたいだ。振り向くとお母さんの姿は、もうない。
僕は、お母さんが魔女だと初めて知った。周りは、もうみんなもう知っていたらしい。
次回僕のたび
旅人の「僕」と人魚の「桜」の幕が開く。
第4幕「島の見える風景」
それではまた




