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『アイシテル』




『アイシテル』

あなたに何度も言われた五文字

私が一度も言った事がない五文字

『アイシテル』

私がいつも渇望していた五文字

私がいつも与えられない五文字

『アイシテル』

一度は言いたい五文字

簡単には言えない五文字



『アイシテル』

あなたに言いたい、大切な五文字






『香り』




ふとしたときに香る、仄かな香り

挨拶したとき

手を繋いだとき

抱き合ったとき

花のように柔らかで、いつも僕を優しく包み込む



一度触れると、忘れられない

一度掴むと、永遠に離せない

それは繊細な細工

それは甘美な蜜



気がついたら、虜になっている

キスしたとき

髪に顔を埋めるとき

一晩中、愛を語らうとき

華のように艶やかで、いつも僕を絡めとる



一度嵌まると、抜けられない

一度迷うと、永遠に戻れない

それは狡猾な罠

それは難解な迷宮



君の香りは僕を癒し、僕を惑わせる






『キャッチボール』




君はボールを投げてくる

僕は上手くキャッチ出来ない



ボールは君の手を離れ

美しい放物線を描く

僕はグラブを空にかざし

君のボールを待つ


『ねえ。私のこと、どう思ってる?』


揺らぐ

僕の手が、僕の目が

答えを言えなくて

答えを形に出来なくて


『どうって…別に。悪くないよ』


ボールが顔の横を通りすぎる

地に落ちて、小さく跳ねる

いつもいつも、この繰り返し



僕は何時、君のボールをキャッチ出来るだろうか






『help me』




助けて

初めて言ったのは、何時だろうか

遠い遠い、記憶の彼方


助けて

そう叫んだのは、何時だろうか

荒んだ記憶の、奥の奥


助けて

貴方の耳許で、そう囁いたのは何時だろうか

甘い甘い、二人だけの記憶


助けて

この言葉を聞いてくれたのは、何時だろうか

記憶の海に、沈んで見えない






『沈黙と喧騒と』




君はよく喋る

息つく暇もないくらい

コロコロコロと、表情を変えて

楽しそうに、嬉しそうに

満面の笑みを絶やさずに



君はよく黙る

取りつく島もないくらい

パチパチパチと、瞬きをして

悲しそうに、悔しそうに

その瞳から落ちる涙を止められずに



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