弐
『不安定My heart』
不安定My heart
地震発生 震度7強
隆起して 陥没して
私の心は壊れてゆく
最初は些細なズレだった
真っ白な紙に落ちた黒い一滴
小さな、ほんの小さなトゲ
他意の無い、無邪気な一言
僅かに走った亀裂
だけどそれは次第に深くなり
取り返しのつかないほど大きくなる
気づいた時には割れていた
不安定My heart
波のように ゆらゆらと
浮いて沈んでを繰り返す
私の心はつぶれてゆく
ちっぽけなイレモノから
溢れ出す何か
継ぎ接ぎだらけ 穴だらけ
音の無い悲鳴が響く
倒れても 倒れても
いつの間にか立ち上がる
でもそこは不安定で……
『コマの無い漫画』
法も国家も秩序も無い
そこにあるのは確かな混沌
ある者は悲嘆し
ある者は狂喜し
救済と殺戮が交差する
コマの無いページを
無秩序に 無計画に
縦横無尽に歩き出す
背後には紅い足跡が
ばらばらと続いている
『鏡』
鏡に映る自分
面白味の無い、無表情な顔
瞳だけが、光を帯びていた
鏡に映った自分が、自分の瞳に映る
虚ろな瞳の、小さな自分
それが本当の自分な気がした
『制服』
初めて制服に袖を通したあの日
包まれるような安心感と同時に、背中を押される不安も感じた
自分を導く道標であり、未知の世界への扉
自らを守る鎧であり、自分と他人を傷つける諸刃の剣だった
自分で道を見つけられるまで
未知の世界への扉を開けるまで
鎧を脱ぎ捨て
剣を下ろせるようになるまで
自分のナニカを掴めるまで
『時間』
万物に平等に無差別に与えられたもの
生まれた時にはそれに身を委ね
ただただ流れに沿って歩んで来た
どんなに足掻いても戻りはしない
後ろに倒れることは赦されない
過去に身を預けるのは 罪
進行方向は 前
足を向けるべきは未来
時は平等に流れる
どんな悪人にも、どんな善人にも
死にも似ていて、まるで違って
導くでもなく、置き去るわけでもない
ただ、静かに流れ続ける